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映画パンフレット 「シコふんじゃった」 監督/脚本 周防正行
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【キネマ旬報】No.1074 1992年1月下旬号 シコふんじゃった。 [雑誌]
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公開直後ではなく、大学のサークルの友人に評判を聞いて、今なら池袋の文芸坐に掛かっているというので、わざわざ見に行った。確か1000円だった。新文芸坐ではなくもとの文芸坐である。当時、池袋には、やはりサークルの行事(?)でボーリング場に行ったことがあるくらいで、何の縁もなかった。大学から、近くもないのだが、先輩に埼玉県の某名門高校出身者がいて、実は一浪の私らよりも年下(高校まで同学年)で、それなのに何だか貫禄があって、その人が高校時代に早退して出て来ちゃ遊んでたというボーリング場だったのである。
私に文芸坐を教えた友人は、浪人時代に地方から東京の予備校の寮に入って、その頃から映画を見まくっていたらしい。私はそういうところに行かなかった。今からすると、――行って置けば良かった、と思うのだけれども、普段、財布の中に映画館に入れるくらいの金も入ってなかった。そもそも映画を観る習慣がなく、家にビデオデッキはあったが、殆ど使ったことがない。ビデオじゃ満足出来ないからスクリーンで見たい、などという欲求も持ちようがないのである。
私は今でも池袋というと一種の如何わしさを感じてしまうのだけれども、1人でのこのこ出掛けて、夕方か夜に入ってからの上映だったが、あまり客が入っていなくて、けれども結構ウケていた。私も笑った。それで、映画を観るのも悪くない、と思ったのだけれども、結局文芸坐には二度と行かなかった。しかし一度でも行って置いたのは、良かったと思うのである。
その後、映画を観るのは簡単になった。普通のパソコンでDVDが再生出来るのだから。画質も良くなったし、好きなところから再生出来る。確認したいところが何度でも見られる。
今観ると、――あの頃は呑気だったなぁ、と思う。あの長閑さは、殆ど時代劇なのではないか。いや、今となってはふざけているとしか思えない。(以下続稿)