瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

周防正行『シコふんじゃった。』(09)

 5月18日付(08)の最後に、ジャン・コクトー旅行記の、堀口大學訳の書影を補って置いたが、主題曲「林檎の木の下で」及び挿入曲「悲しくてやりきれない」を収録するアルバム(1992年1月22日発売)を示して置こう。
おおたか静流『REPEAT PERFORMANCE』

リピート・パフォーマンスI

リピート・パフォーマンスI

 映画公開の1週間後の発売で、同時に映画に使用した2曲をシングルカットして発売している。シングル盤については nakamura8cm のブログ「失われたメディア-8cmCDシングルの世界-」の2009-03-03「「悲しくてやりきれない」 ザ・フォーク・クルセダーズ、おおたか静流、ばんばひろふみ」に詳しい*1

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 私は『ファンシイダンス』*2と『シコふんじゃった。』をほぼ同じ頃に見て、どちらを先に見たか忘れてしまったが、多分『シコふんじゃった。』の方が先だったと思うのだが、基本的なパターンが共通するように思ったのである。
・塩野洋平〈兄〉(本木雅弘) = 山本秋平〈兄〉
 要領良く困難を避けているが、いざ直面させられたときに不器用になる。
・塩野郁生〈弟〉(大沢健) = 山本春雄〈弟〉(宝井誠明
 可愛げがあって大人しくしているが、実は兄以上に要領が良い。
・信田珍来(田口浩正)≒ 田中豊
 不器用なデブの同輩。
・北川光輝(竹中直人)≒ 青木富夫
 少し意地悪で、抜けたところのある先輩。
・役名なしの古参(宮坂ひろし)≒ 北東学院大学相撲部主将倉高二段
 肉体派、武闘派。
・明軽寺住職南拓然(村上冬樹)≒ 峰安二郎
・マドンナ(広岡由里子)≒ 間宮正子(梅本律子
 純粋な醜女。
・赤石真朱(鈴木保奈美)≒ 川村夏子(清水美砂
 ヒロイン*3
 特に兄弟の設定は酷似する*4。他は(同じ人がやっているから、と云うのもあるけれども)何処か似たような印象を与えるのである。すなわち、『ファンシイダンス』と云う原作のあった前作を、オリジナルの設定でヴァージョンアップさせたのが『シコふんじゃった。』のように感じられるのである。
 下手をすると『ファンシイダンス』の二番煎じになりかねないところを、上手く乗り越えて見せたところに、周防監督が巨匠(!)への道を歩み始める分岐点としての『シコふんじゃった。』の意義があるように思う。
 しかしながら「立教大学体育会相撲部」HP「周防正行さん特別インタビュー」を聞くと、結果的に似て来たので、最初はかなり違うものだったらしいことが分かる。
 いづれも2018年3月13日、周防正行立教大学相撲部名誉監督就任、映画プロデューサー・アルタミラピクチャーズ代表桝井省志の名誉部員就任の会見に伴って、立教大学セントポールズ会館にて収録されたものである。公式サイトからの限定公開となっているのでリンクは貼付しない。
周防正行監督の特別インタビュー。立教大学相撲部「名誉監督」就任記念の特別企画。(2018/03/13公開)周防正行さん(相撲部名誉監督)と坂田直明(相撲部監督)の「監督」対談
周防正行さん特別対談(音声のみ)立教大学相撲部「名誉監督」就任記念。(2018/03/20公開)周防正行さん(相撲部名誉監督)と相撲部OBたちの対談
③桝井省志プロデューサーの特別インタビュー。立教大学相撲部「名誉部員」就任記念の特別企画。(2018/03/15公開)桝井省志さん(相撲部名誉部員)と相撲部監督・坂田との対談
 仮に丸数字で番号を附した。まづ②を音声のみで収録して、これを元に、撮影しながら相撲部監督と対談の体の①を収録したらしい。(以下続稿)

*1:ザ・フォーク・クルセダーズ」と「ばんばひろふみ」盤は「おおたか静流」盤のジャケットと並べて撮った写真が掲載されているのみで、詳細はそれぞれ別記事となっている。

*2:本作も BSプレミアムで、5月16日付(06)に触れた『シコふんじゃった。』の1週間後、4月20日21:00~22:43 に、斎藤道三関連番組(?)として放送されている。むしろこちらの方が関連度が高い。しかし斎藤道三の頭は特殊メイクで剃髪していないとのこと。

*3:2020年6月1日追記】この他にも、穴山教授・柄本明が『ファンシイダンス』では赤石真朱の上司(課長?)で真朱のことをお茶汲みの綺麗所くらいにしか考えていない中年男性として登場していた。

*4:シコふんじゃった。』で大沢健が外れたのは、他の撮影と重なったのかも知れないし、当時既に本木雅弘よりも背が高くなっていた(或いは、そんなに違わないくらいに伸びていた)からかも知れない。