この話を現代の怪異談と関連付けて見せた本としては、小池氏以前に次の本がある。
・広坂朋信『東京怪談ディテクション――都市伝説の現場検証』1998年8月20日初版第1刷発行
書影は2016年8月30日付「広坂朋信『東京怪談ディテクション』(1)」に貼付した。
本書に関しては内容の細目と、引用文献の索引を作成するつもりであったのだが、なかなか仕上げられないでいる。
35〜122頁「二 東京怪談探索」の章の最後、103頁10行め〜122頁15行め「6 妖怪都市・池袋」の節は、103頁11行め〜104頁4行め、
池袋は、裏も表もある町である。表とは、言わずと知れたパルコ、サンシャインに代表される西武/グループの本拠地としての顔、明るいショッピングの町としてのそれであり、裏とは、ロサ会館周辺/の飲み屋や、今は無き文芸坐の周りの安キャバレーや小さなストリップ小屋など、話に聞く闇市時代/の雰囲気を残している部分である。【103】
風俗産業もこの頃は援助交際という娘っこの素人売春に押されて勢いがないが、それでも真っ昼間/からいかにもポン引き風のオニイサンがうろついていたりする裏の顔を持つ池袋は、怪談の発生条件/である人間臭さがプンプンにおう町なのである。おまけに南側には、大墓地、雑司が谷霊園が控えて/おり、何か出ないほうがおかしい。そして期待通りよく出るのである、ここは。
と云う前置きで始まっている。
池袋については2014年11月25日付「周防正行『シコふんじゃった。』(1)」に、文芸坐で映画を見たこととともに印象を述べたことがある。文芸坐は平成9年(1997)3月に閉館しており、本書が刊行されたのは平成12年(2000)12月の新文芸坐開館前であった。
学部生時代、東武東上線で通学していたサークルの先輩が、高校時代から東京に出る度に遊んでいたとて文芸坐近くのハイパーレーンで何度かプレイしたことがある。ロサ会館でも、2月11日付「小池壮彦『怪談 FINAL EDITION』(19)」に触れた短期間、池袋駅から通った職場の同僚と、1度だけボーリングをしたことがある。しばらく働いて見ても、渋谷や新宿に比べるといかがわしいところと云う以前から抱いていた印象は揺るがなかった。尤も、新宿も歌舞伎町や新宿二丁目は日中に何度か通ったことがあるくらいで、酒も飲まないし財力も精力もないから、そもそもが「裏」に足を踏み入れるようなことをしないので、本当に池袋が特にいかがわしいのかどうかは、分からないのだけれども。
以下、1行空けて字下げなしのゴシック体の見出しが10箇、
「四面塔と首くくりの松」104頁5行め〜
「池袋の女」106頁10行め〜109頁15行め
「お茶あがれ地蔵とホステスの幽霊」110頁1行め〜
「サンシャインの幽霊騒動」112頁16行め〜
「巣鴨プリズン」114頁2行め〜
「弱さの責任」115頁12行め〜
「巨大な慰霊塔」117頁8行め〜
「皿屋敷物件と化した巣鴨プリズン跡地」118頁12行め〜
「皇室御用達」120頁8行め〜
「最後の戦争責任」122頁2行め〜
前半の3項が江戸時代以来の因縁で、後半7項は巣鴨プリズン(東京拘置所)の跡地であるサンシャインシティ及び池袋東口中央公園について。この辺りの怪異スポットは小池壮彦の著書で馴染みがある。(以下続稿)