瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山岸凉子『自選作品集』(4)

文春文庫ビジュアル版(4)
 5月19日付(1)にも触れた、カバー装画について。
 この「自選作品集」は短篇集であるが、殆どの作品は冒頭部がカラーであったようである。そのカラーの扉絵をこの「自選作品集」はカバー装画に利用している。
カバー表紙のカラーイラストが背表紙まで使用され、裏表紙は白地で一部に別にカラーイラストが縮小されて使用されているもの。
・『天人唐草』表紙:7頁「天人唐草」扉絵 裏表紙(右下):117頁「狐女」扉絵
・『わたしの人形は良い人形』表紙:本体になし 裏表紙(右上):本体になし
・『ハトシェプスト 古代エジプト王朝唯一人の女性ファラオ表紙:57頁「ハトシェプストII 古代エジプト王朝唯一人の女性ファラオ」扉絵 裏表紙(右上):109頁「キメィラ」扉絵
・『タイムスリップ』表紙:225頁「タイムスリップ」扉絵 裏表紙(右上):7頁「天鳥船」扉絵
・『ブルー・ロージス』表紙:129頁「ブルー・ロージス」見開き扉絵の左側 裏表紙(右上):47頁「星の素白き花束の…」扉絵
カバー表紙のカラーイラストがそのまま裏表紙の半分まで使用されているもの。
・『夜叉御前』 100〜101頁「鬼来迎」見開き扉絵
カバー表紙のカラーイラストがそのまま裏表紙の全面にまで使用されているもの。
・『月読』 160〜161頁「月読」見開き扉絵
・『シュリンクス・パーン』 50〜51頁「パニュキス」見開き扉絵
 以上、殆どの作品は本体の中に単色印刷でこれらカバーに使用された扉を収録しているが、『わたしの人形は良い人形』のみそれがない。153頁「わたしの人形は良い人形」の扉絵は、次の単行本のカバー表紙に同じである。

わたしの人形は良い人形 (あすかコミックス 5-2)

わたしの人形は良い人形 (あすかコミックス 5-2)

 この作品に登場する人形は文庫版カバーの市松人形であって、西洋人形ではない。巻末の「初出誌一覧」を見るに「わたしの人形は良い人形……「ASUKA」1986年3月〜5月号」とあるので、この市松人形は、収録されなかった連載2回めか3回めのカラー扉絵だったのであろうか。ところで、メディアファクトリーから出た『アラベスク』や『日出処の天子』の〈完全版〉は扉絵を一々収録しているが、筋に関係ないイメージ画像が所々挿入される訳で、ひと月の間が空く連載時ならともかく、本にまとまった形で話に集中して一気に読みたいと思っているときにはやはり興を殺がれてしまう。そのつもりで接してはいるのだけれども。
 ところで、5月23日付「山岸凉子『ゆうれい談』(1)」に取り上げたMF文庫『パイド・パイパー』も、やはり扉絵とは違うカラーイラストが単行本以来カバー装画となっている。ちなみに「パイド・パイパー」は読切りで、連載ではない。カラフルな衣装は「pied」すなわち形容詞「まだらの、多色の」に由来するが、「piper」は「笛を吹く人」という名詞だから「パイパー」の方は視覚化されていない。というか「pied piper」は見開き扉絵にもあるように「The Pied Piper of Hamelin(ハーメルンの笛吹き男)」のことなのに、ここで豊かな胸を露出させた女性に描かれているのは「パイパイパー」の語感からの駄洒落的イメージ画なのであろうか。*1(以下続稿)

*1:私の参照した本は、バーコードがこのオッパイを(上手い具合に)隠すように貼付されていたので、貸出カウンターで照れずに借りることが出来た。