・文春文庫ビジュアル版(4)
5月19日付(1)にも触れた、カバー装画について。
この「自選作品集」は短篇集であるが、殆どの作品は冒頭部がカラーであったようである。そのカラーの扉絵をこの「自選作品集」はカバー装画に利用している。
①カバー表紙のカラーイラストが背表紙まで使用され、裏表紙は白地で一部に別にカラーイラストが縮小されて使用されているもの。
・『天人唐草』表紙:7頁「天人唐草」扉絵 裏表紙(右下):117頁「狐女」扉絵
・『わたしの人形は良い人形』表紙:本体になし 裏表紙(右上):本体になし
・『ハトシェプスト 古代エジプト王朝唯一人の女性ファラオ』表紙:57頁「ハトシェプストII 古代エジプト王朝唯一人の女性ファラオ」扉絵 裏表紙(右上):109頁「キメィラ」扉絵
・『タイムスリップ』表紙:225頁「タイムスリップ」扉絵 裏表紙(右上):7頁「天鳥船」扉絵
・『ブルー・ロージス』表紙:129頁「ブルー・ロージス」見開き扉絵の左側 裏表紙(右上):47頁「星の素白き花束の…」扉絵
②カバー表紙のカラーイラストがそのまま裏表紙の半分まで使用されているもの。
・『夜叉御前』 100〜101頁「鬼来迎」見開き扉絵
③カバー表紙のカラーイラストがそのまま裏表紙の全面にまで使用されているもの。
・『月読』 160〜161頁「月読」見開き扉絵
・『シュリンクス・パーン』 50〜51頁「パニュキス」見開き扉絵
以上、殆どの作品は本体の中に単色印刷でこれらカバーに使用された扉を収録しているが、『わたしの人形は良い人形』のみそれがない。153頁「わたしの人形は良い人形」の扉絵は、次の単行本のカバー表紙に同じである。
- 作者: 山岸凉子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1987/06
- メディア: 新書
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ところで、5月23日付「山岸凉子『ゆうれい談』(1)」に取り上げたMF文庫『パイド・パイパー』も、やはり扉絵とは違うカラーイラストが単行本以来カバー装画となっている。ちなみに「パイド・パイパー」は読切りで、連載ではない。カラフルな衣装は「pied」すなわち形容詞「まだらの、多色の」に由来するが、「piper」は「笛を吹く人」という名詞だから「パイパー」の方は視覚化されていない。というか「pied piper」は見開き扉絵にもあるように「The Pied Piper of Hamelin(ハーメルンの笛吹き男)」のことなのに、ここで豊かな胸を露出させた女性に描かれているのは「パイドパイパー」の語感からの駄洒落的イメージ画なのであろうか。*1(以下続稿)
*1:私の参照した本は、バーコードがこのオッパイを(上手い具合に)隠すように貼付されていたので、貸出カウンターで照れずに借りることが出来た。