瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

丸山昭『まんがのカンヅメ』(1)

・単行本『まんがのカンヅメ――手塚治虫トキワ荘の仲間たちほるぷ出版

小学館文庫『トキワ荘実録――手塚治虫と漫画家たちの青春――
トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春 (小学館文庫)

トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春 (小学館文庫)

・一九九九年八月一日初版第一刷発行(256+16頁)定価476円
・二〇〇八年十二月二十九日第二刷発行 定価476円

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 単行本は未見なのだけれども*1、文庫版の標題で記事にしたくなかったので単行本を先に挙げて置く。内容については単行本を見た上で詳しく述べるつもりなのだけれども、文庫版の題が不当である理由としては、「第一章 手塚番日記」が本文の半ば以上を占めるているのだけれども、丸山昭(1930生)が担当編集者(手塚番)になったとき既に手塚治虫(1928.11.3〜1989.2.9)はトキワ荘を出ていたことを、第一に挙げて置こう。すなわち、単行本の副題のように「手塚治虫」と「トキワ荘の仲間たち」は別なのであって、文庫版のような標題では「トキワ荘」に「手塚治虫と漫画家たち」がいた時代のことのように、読めてしまう。尤も、手塚治虫と同時期にトキワ荘に入居していた漫画家は寺田ヒロオ(1931.8.4〜1992.9.24)のみで、その次に入居した漫画家は、手塚治虫のいた部屋を敷金ごと引き継いだ藤子不二雄になってしまうのだけれども。
 丸山氏はこの改題を承諾したのであろう。と云うのも、丸山氏本人の発案とは考えにくいからだ。文庫化に当たって加筆した部分でも標題については何も書いていない。小学館文庫編集部の「トキワ荘」を前面に押し出した方が良いという判断に、丸山氏も元編集者として従ったのではないか。――確かに「まんがのカンヅメ」では副題まで見ないことには内容が推測されないのだけれども、しかしながら必ずしもトキワ荘の実態ばかりを述べた訳でもない本書が「トキワ荘実録」と云うのも、やはり齟齬を来していて適当な題とは云い難いのである。(以下続稿)

*1:2016年1月3日追記】その後、見て気になっていた記述を2015年12月26日付「講談社別館の幽霊(1)」に取り上げた。なお単行本については2016年1月3日付(5)より記述している。