先日、NHKで放映されていた『トミーとタペンス―2人で探偵を―』の「MかNか」全3回を見た*1。もちろんアガサ・クリスティーの原作は読んでいない。かつてNHKで放映されていた『シャーロック・ホームズの冒険』は完全版DVDで全て見たし、今は『名探偵ポワロ』完全版DVDをせっせと見ている。それで多少期待していたのだが、期待外れであった。渡辺徹・榊原郁恵夫妻に見えてしまう(※別に榊原さんたちが嫌いという訳ではありません)。一緒に見ていた家人はイギリス贔屓なのでトミーはともかくタペンスがお洒落だと言ってこの見立に激しく抵抗していたが、第2回、第3回と進むうちに認めざるを得なくなった(ようだ)。タペンスは頼まれもしないのに危険なスパイ業務に身を乗り出して行って、しくじっては何度も頭に銃口を突き付けられる。ところが最後に解決して見ると全てタペンスの直観で見抜いた通りであったという展開なので、不快なこと極まりなかった。――手柄を自慢してるけどあんた、あいつらのうちの誰かが引き金を引いてたら死んでたんだから。いや、本当に、終いには、頼むから誰かそのままこいつを撃ち殺してくれ、と(私の心の中に棲む鬼が)思わず願ってしまったくらい、そそっかしく危なっかしく結果オーライの癖してドヤ顔するヒロインが不快なのであった。
海外ドラマ「アガサ・クリスティー トミーとタペンス ―2人で探偵を―」見どころ紹介*2
海外ドラマ「アガサ・クリスティー トミーとタペンス ―2人で探偵を―」見どころ紹介(5分版)*3
「新たにドラマ化」と云っているのは過去にTVドラマ化され、やはりNHKで放映されていたからである。
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昔のシリーズ(1983〜1984)には全く気付いていなかった。と云うか、実家にいた時分にはテレビをあまり見なかったし、チャンネル権を握っていた親が海外ドラマに興味がなかったせいか、当時はホームズやポワロも殆ど意識していなかったと思う。
* * * * * * * * * *
それはともかく、少し浮気して見たもののハラハラドキドキよりもイライラさせられてしまって、――やっぱりポワロだと思い直した次第である。
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このTVドラマ版の「ナイルに死す」は、映画版にあった不自然な会話の場面(冒頭近く、首謀者が自分の婚約者を被害者に引き合わせるために自動車で被害者の屋敷へ向かうシーン)はない。被害者リネットは嫌味な長身金髪美女で、顔は不機嫌な小沢真珠といったところである(※個人の見解です。体型は違います)。最初に相当な毒舌ぶりを発揮しているので、被害者の欠点の描写が弱かった映画版に比して、これなら確かに誰からも恨まれそうである。
首謀者は、映画版では痩せて個性的な顔立ちで、見た目からしてエキセントリックなキャラクターだったが、TVドラマ版はむっちりしていて柔和な顔立ちで見た目は普通である。映画版の首謀者のように一寸イッてしまったような雰囲気はない。普通の人が婚約者を略奪されたことでストーカーになるのを抑えられない、という理屈になっていた。
つまり映画版に比して被害者の個性を強調し、首謀者のそれを弱めることで、映画版から受けた、首謀者への同情が一気に冷め、むしろ被害者にそれを感じる、という印象は弱まっている。しかしトリックを知って見ているので、同情心を返せ、などという気持ちには今更なりようがないのだが、やっぱり物凄い計画だな。日本の御伽草子にも『あきみち』というのがあるが、そこまでするのか、というのが正直なところである。『オリエント急行』のわざとらしさに比べれば格段に自然だけれども。(以下続稿)
*1:「秘密機関」の地上波放送には気付かなかった。地上波再放送を録画しようかと思ったのだが止めにした。
*2:【12月24日追記】今日確認して見たところ、投稿時に貼った動画が2つとも砂嵐に「この動画は非公開です。」との文字が出て、再生されなくなってしまった。但し右下の[↑D]をクリックすると紹介文は表示されるので、動画の題を太字にして示した上で、しばらくそのままにして置く。【2018年9月21日追記】紹介文も表示されなくなったので次に貼付してあったリンク()を外した。
*3:【12月24日追記】前の動画と同じ事情から、ここに動画の題を示して置いた。【2018年9月21日追記】前の動画と同じ事情から、リンク()を外した。