瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

宮澤賢治『注文の多い料理店』(10)

・角川文庫924(8)
 昨日の続き。
 改版四十五版の「解説」の次、186〜191頁「主要参考文献/――主として童話を中心に――」については、既に7月25日付(05)に触れたように、末尾の2行(191頁9〜10行め)に「(昭五八・一・一五 改稿)」1行空白があって「(奥 田 弘 編)」とある。186頁3行め〜188頁6行め「一 作品研究」、188頁7行め〜189頁5行め「二 作家研究(一部作品研究を含む)」、189頁6〜12行め「三 伝記」、189頁13行め〜191頁6行め「四 総合研究単行書・専門誌・月報・特集誌・研究文献目録」に分かれ、191頁7〜8行め、2字下げで、

<付記> 近代文学事典、百科事典、文学史、大学紀要、新聞、少年少女向け全集・選集等所収解説、論考/は原則として省き、昭和二〇年以降のものを収録した。紙幅の都合で割愛したものが多い。

と添えている。細かくは昭和58年(1983)1月の「改稿」前のものを見る機会を得て比較しつつ述べて見ようと思っているが、ここでは「一 作品研究」の後半(187頁11行め〜188頁6行め)、文庫など作品集の解説が集められている箇所に注目したい。すなわち、角川文庫では昭和40年代前半に本字・歴史的仮名遣いから、常用漢字・現代仮名遣いに改版されたと思われるのだが、奥付には改版発行日が表示されておらず、7月24日付(04)等に見たように、何故か改版前の最後の増刷らしき版の発行年月日が示されるばかりである。大体の見当は付くが、正確な発行時期は分からない。その改版の発行年月が判明するのである。まぁ専門書を見たらすぐに分かったことかも知れないのだけれども。――それはともかく、角川文庫についてここに挙がっているものを列挙して置こう。まず187頁14行め「小 倉 豊 文 『ポランの広場』解説(昭三三・九 角川文庫)」これは改版ではないが、次に18行め「小倉豊文他 『セロ弾きのゴーシュ』解説(昭四四・二改版 角川文庫)」20行め「小倉豊文他 『銀河鉄道の夜』解説(昭四四・七改版 角川文庫)」その次の行である188頁1行めに「小倉豊文他 『注文の多い料理店』解説(昭四四・八改版 角川文庫)」とある。
 すなわち角川文庫924『注文の多い料理店』初版は昭和31年(1956)5月20日発行で昭和44年(1969)3月30日発行の十四版まで、そして昭和44年8月に改版が発行され、これもこの「主要参考文献」が昭和58年(1983)1月15日付で「改稿」されているように、全くそのままではないが、8月23日付(06)の改版初版の奥付にあるように、この201頁の改版が平成7年(1995)2月20日発行の改版六十二版まで増刷されたようだ。そして、平成7年6月15日発行の改版初版(249頁)を挟んで、現在増刷されているのは7月22日付(02)で見た平成8年(1996)6月25日発行の改訂新版(234頁)である。(以下続稿)