瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

三遊亭圓生『明治の寄席芸人』(1)

 本書は10月24日付「人力車の後押しをする幽霊(2)」に取り上げたが、初版と新装改訂版の異同を詳しく見て置こう。
・青蛙選書38(昭和四六年一二月二五日発行・定価千五百円・青蛙房・353頁・A5判上製本
・新装改訂版(平成13年6月30日初版・定価3500円・青蛙房・353頁・A5判上製本
 初版には函があるが私の参照した図書館蔵書は函を廃棄してしまうので、未見。画像検索すると、黄色い帯の掛かった函が幾つかヒットする。新装改訂版には函がなく、カバーが掛かっている。これにも黄色い帯が掛かっていたのだが、図書館蔵書は大抵帯を廃棄してしまうので、未見。
 初版の本体表紙は木綿の布装、表紙は左下に穴を開けた箱に収まった湯呑み(?)を茶色の線で描き、裏表紙の左下にも何か描いてあるらしいがバーコードが貼付されていて不明。背表紙にもやはり茶色で、上部に函と同じ毛筆の文字の標題、中央やや下に明朝体で「三遊亭 圓生」、最下部に明朝体横並びで小さく「青蛙房」。
 新装改訂版のカバーの用紙は布目模様でクリーム色地、カバー表紙は書影の通り、カバー背表紙は上部、天から1.5cm下に濃い桃色の四角(9.0×2.5cm)に明朝体太字白抜きで標題、僅かに空けて黒の四角(4.5×2.5cm)に明朝体太字白抜きで「六代目三遊亭圓生」、最下部に丸ゴシック体横並びで小さく「青蛙房」その上に、カバー表紙下部中央と同じ、白く蛙の形を抜いた濃い桃色の扇形を縮小して収める。カバー裏表紙は上部左寄りに丸ゴシック体横組みで「青蛙房/定価:本体3500円+税/ISBN4-7905-0138-8 C0076 \3500E」とあり、中央右寄りに桃色で著者の書画、右下に「圓生」に朱文方印「三遊/亭/圓生」、その左に燃える蝋燭を立てた燭台、そして「根なし草/語る浮世を/圓く生き」の句を添える。カバー折返しには文字等印刷されていない。
 見返しは初版は橙色、新装改訂版は濃い桃色。
 扉、初版は白い毛を漉き込んだ和紙で、茶色で中央上部に本体背表紙と同じ標題、その右に本体背表紙と同じ著者名、下部に手書き風の横組みで「青蛙選書38」とある。新装改訂版は細かく雪を散らしたような和紙風で、濃い桃色で中央上部に明朝体太字で標題、その右に明朝体で「六代目三遊亭圓生」下部中央に丸ゴシック体横組みで小さく「青蛙房」とあって、シリーズ名はなくなっている。
 初版にはアート紙の口絵があり、表には、上部に新装改訂版カバー表紙に載る写真を載せ、その下に明朝体縦組みで写っている20人の藝名(代数、本名)を並べ、最下部に明朝体横組みで「「三遊連中并講談家肖像」〔百花園第206号(明治31・1)所載〕」とある。これは新装改訂版では6頁(頁付なし)にやや縮小されて再録されている。裏には「著 者 蔵」の三遊亭圓朝肖像画の写真と、画中の漢詩や句の釈文があり、これも新装改訂版では7頁(頁付なし)にやや縮小されて再録されている。新装改訂版には口絵はない。
 初版1頁(頁付なし)は目次の扉で左上に明朝体で「明治の寄席芸人  目次」とあるが、新装改訂版1頁(頁付なし)には5段組の名簿の影印を載せ、下部に明朝体横組みでキャプション「「三遊社一覧」(明治27年1月)」。これは初版ではB3判で別に刷られて附録されていた。B3判をA5判に縮小したので、小さい文字は潰れている。
 初版2〜5頁は3段組の目次。新装改訂版も同じだが2頁の右上、1段めのやや上から明朝体で「明治の寄席芸人  目次」を足している。
 初版6頁(頁付なし)は白紙、7頁(頁付なし)は中扉で上部中央に明朝体で「明治の寄席芸人」とあったが、新装改訂版はここに口絵を再録していた。この中扉は新装改訂版では組み直して11頁(頁付なし)に配されている。
 初版8頁(頁付なし)は白紙、9〜11頁が目次に拠れば「はじめに」。新装改訂版は8〜10頁が目次に拠れば「はじめに」。初版は中扉の次だから「はじめに」と題していなくても違和感はないが、新装改訂版は図版の見開きの次にいきなり文章が始まるので少々戸惑わされる。
・初版9頁(17行)→新装改訂版8頁(17行)
 行数は同じだが、6〜7行めが異なる。5行めから抜いて置こう。初版は、

 近ごろ、橘右近さんが、明治二十七年一月の「三遊社一覧」というものを見せてくれまし/た。これは、複製して、付録につけましたが、それを見ると、あたくしにはまことになつか/しい人たちの名前が出ております。

とあったが、新装改訂版は、

 近ごろ、橘右近さんが、明治二十七年一月の「三遊社一覧」というものを見せてくれまし/た。
 それを見ると、あたくしにはまことになつかしい人たちの名前が出ております。

となっていて「これは、複製して、付録につけましたが、」を削除しているのだが、新装改訂版では付録にするのを止めて1頁(頁付なし)に載せたからである。
・初版10頁(19行)=新装改訂版9頁(19行)
・初版11頁(9行)=新装改訂版10頁(9行)
 12頁から353頁までは一致。細かい比較はしていないので、訂正の有無は未確認。(以下続稿)