瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤い半纏(13)

 11月20日付「鉄道人身事故の怪異(11)」に稲川氏の怪談集を取り上げたので思い出して、8月16日に書いて、そのままになっていた草稿を上げて見ることにした。
 12頁の引用まではそのまま、以下ランキングについてはメモ程度だったので加筆した。恐らく、返却期限が来て返してしまったので、続きが書けなくなったのである。本を借りてもなかなか取り掛かれなくて、返却期限近くなってぱらぱらとめくってみて、慌ててメモを取り始めるのだが間に合わない……と云うのが、お定まりのパターンなのである。

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 話には尾鰭が付くと云いますが、同じ人が同じ話を繰り返し話しても、噺家のようにきっちり同じように繰り返す場合もあれば、一部の噺家がそうですが、話すたびにちょいちょい違うと云うこともあります。
 私は稲川淳二(1947.8.21生)の話はあまり多く聞いていないのですが、どこまでもきっちり同じに話すタイプではないようです。
 稲川氏の「赤い半纏」については、平成20年(2008)4月に平山夢明(1961.11.17生)との対談『怖い話はなぜモテる』で語ったものを1月15日付(01)に引いて置きました。しかしそれ以前に30年以上の歴史(?)があるわけで、差当り1月18日付(04)及び1月19日付(05)に引いた「後日談」が附いていなかった時期のものと比較して見たいと思っていました。動画サイトに幾つか上がっていて、もちろん全て視聴しましたが、問題化回避のためにデータも示されていませんし、典拠として使用出来ません*1。かといって、稲川氏のファンでもないのでDVDやCDを買い集めてまで完璧にやろうとは思っていないのです。
 そんな折、図書館の児童書コーナーに稲川氏の本がずらりと並んでいる(!)のを見て、目次を確認して行ったところ、次の本に「赤いはんてん」が載っていることに気付きました。
ザテレビジョン文庫42『稲川淳二の怖い話 ベストランキング!!』平成14年6月25日初版発行・定価476円・角川書店・188頁

 カバー裏表紙には「語りおろし/●私が最初に話した怖い話!/●私が選んだ怖い話!/●ライブツアーでの出来事!/●「生き人形」のこと!」とありますが、収録時期など細かい事情は本体を見ても明らかではありません。但しカバー裏表紙折返し中央やや上に横組みで「ザテレビジョン文庫/好評既刊!」の目録があり「稲川淳二の最新・超怖い話  稲川淳二| 稲川淳二の最新・超怖い話② 稲川淳二| 稲川淳二の絶叫・心霊写真    稲川淳二| 稲川淳二の最新・超怖い話―怪異― 稲川淳二| 稲川淳二の怖い話 ベストランキング!! 稲川淳二| 各定価:本体476円(税別)※印のみ定価:本体571円」が挙がっています。 稲川氏はこの頃「ザテレビジョン文庫」から毎年「最新」の、恐らく「語り下ろし」の新刊を出していたようで、翌年にも1冊刊行されています。 5〜12頁に導入として語られる「同じ出来事でも語る人によって……」の末尾、12頁11〜13行め、

 でね、今回は今までお話ししてきたものを、思い返しながら“ランキング”っていう/のも変なんですがね、私の心に残っているものを選んでみました。
 でも、これ怖いんだ。全部思い出しちゃうから。

と、本書の編集方針が語られています。
 そして53〜158頁「第二章 私が選んだ怖い話 ザ・ベスト」の前置きの節、54〜66頁「私が選んだ怖い話 ザ・ベスト」に、ランキングが示されます。54頁12行め〜55頁8行め、

 まああえて、一位から十位まで順位をつけるとしたら、
 一 生き人形         【① 55頁9行め〜57頁】
 二 ユキちゃん        【③ 68〜72頁15行め】
 三 死の旅館         【② 73〜79頁13行め】
 四 ビバーク         【⑪】
 五 東北地方の大学生のアパート   【⑧ 80〜90頁8行め】
 六 女王様の歩道橋      【⑨ 92〜100頁13行め】
 七 悪魔が来る
 八 足止めされた旅館の怪   【⑩】
 九 207号室の患者     【⑤ 102〜119頁9行め】
 十 森末さんから貰った話   【⑥ 120〜143頁16行め】
になるのかなあ。


 【 】に括って収録位置等を添えました。丸数字はランキングの直前、54頁2〜11行めに挙げて行った順序でここには「七 悪魔が来る」は挙がっておらず、ランキングに入っていない「赤い日記帳【④ 144〜158頁4行め】」と「富士の樹海【⑦】」が挙がっています。同じく【 】の中の頁は本書の収録位置です。「目次」では「第二章」には「ユキちゃん」から「赤い日記帳」まで7話が並んでおり、「生き人形」は独立の節ではなくこの前置きの節に後日談が少し収録されるだけで、続く58〜66頁には最近の話(無題)が2話収録されています。
 「赤いはんてん」はランキングには入っておらず、13〜52頁「第一章 一番最初に語った怖い話」に収録されています。確かに、編集方針の「心に残っているもの」には合致していると云えましょう。――次回、この章の前置き、14〜15頁「一番最初に語った怖い話」の節を確認した上で、後日談が追加される以前の「赤いはんてん」の内容を検討して置きましょう。
 ちなみに、159〜187頁「第三章 ツアーで体験した不思議な出来事」には、稲川氏が地方で体験した5話(無題)が収録されています。(以下続稿)

*1:文字起こしするのも聞き取りづらい箇所も少なくなく、面倒である。