瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『梁塵秘抄』の文庫本(1)

岩波文庫(1)佐佐木信綱 校訂
昭和 八 年八月三〇日 第 一 刷 発 行
昭和一六年七月二五日 第 七 刷改版発行
岩波文庫935―935a『新訂 梁塵秘抄(198頁)
・昭和四八年二月二〇日 第二一刷 発 行 定価★★
岩波文庫30-022-1『新訂 梁塵秘抄
・1976年7月10日 第25刷発行 ¥200
・1978年3月20日 第28刷発行 ¥200
・1982年1月30日 第31刷発行 定価300円*1

梁塵秘抄 (岩波文庫 黄 22-1)

梁塵秘抄 (岩波文庫 黄 22-1)

・1989年8月5日 第41刷発行 定価350円*2
・2000年1月7日 第54刷発行 定価500円
・2000年5月25日 第55刷発行 定価500円*3
・2001年6月15日 第56刷発行 定価500円
・2007年4月5日 第61刷発行 定価560円
・2013年4月5日 第66刷発行 定価600円
 私の見た7冊のうち奥付が横組みになっている6冊の発行日は、3行のうち2行めまでは「1933年8月30日 第1刷発行/1941年7月25日 第7刷改版発行」となっている。縦組みの1冊はこれが昭和で示してあるが、この表示は宜しくない。
 193〜198頁「解説」の197頁3行めの次、1行分空けて、4〜7行めに、

 以上は昭和八年八月に印行した岩波文庫本の奥にそえた文にいささか筆を加えたのであるが、/十六年二月に改訂版を公にすることとなり、研究の便のため新たに番號を加え、また底本の假名/書きなるに漢字を當てたものはルビを附し、なお本文中の疑義を、林古溪、筑土鈴寛、志田延義、/小西甚一君の注意によって訂正し、校正に小西君を煩わしたりもした。

とあって、昭和16年(1941)に②改訂版が出ていることは確かである。しかしながら、ここの「‥‥もした。」等という書き方、それから漢字は本字だが仮名遣いが現代仮名遣いになっているところからも察せられるように、この「解説」は昭和16年(1941)のものではないのである。1行空けてさらに続き、8〜10行め、

 このたび更にこの新訂本をいだすについては、小西博士の梁塵秘抄考、及び同君の日本古典全/集本梁塵秘抄の昭和三十年六月の再版本、志田延義君の梁塵秘抄評解等を參照し、また小西君と/語らって訂正した箇所もある。

とあって、昭和30年(1955)6月刊の本が参照されている。さらに1行空けて「解説」の最後、197頁11月めから残り6行(198頁2行めまで)を影印本の紹介に当てて、そして1行分空けて198頁3行めにやや小さく3字下げ「昭和三十一年十月」、4行め下寄せで「佐佐木 信 綱  」2つめの「佐」が左にズレている。それはともかく、現行の版は昭和16年(1941)の②改訂版ではなく、昭和31年(1956)の③新訂本なのである。或いは昭和32年(1957)に入ってから刊行されたのかも知れないが。そうすると、②改訂版の方が大きな改訂であったとしても、奥付に①初版と並べて示すべきは③新訂本の発行日の方であったろうと思うのである。(以下続稿)

*1:2017年8月3日追加。

*2:2017年4月25日追加。

*3:2017年5月10日追加。