瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

田辺貞之助『うろか船』(1)

 11月29日付「田辺貞之助『江東昔ばなし』(5)」に言及した、生駒散人のブログ「古本ときどき音楽」の2010-02-07「■[最近買った古本]:島田謹二『マノン物語』ほか」に貼付される書影は、カバーらしい。今、私の手許にある某市立図書館蔵書は、横縞模様の入った緑色の本体表紙にフィルムが被せてある。表紙の左下に降り光琳鶴の丸(直径4.5cm)を型押しする。左下が空いており、頭も左下を向く。文字は背表紙のみ、カバー表紙にあるのと同じ標題と著者名が金文字で縦に入る(最下部は分類表貼付のため、版元名が入っているか等不明)。見返しは淡い黄色。
 扉は菱形の透かしを入れた半透明の和紙で、印刷は緑で上部中央に「う ろ か 船」その右に「随 筆」、その左に「か」字の高さからやや小さく「田辺貞之助」とある。下部中央に円錐形で口が拡がった線描の花瓶に、先端に葉の付いた茎が3本挿してあるカットで、背後にテーブルの縁らしき横線、右下に影らしき短い縦線が10本余描かれる。下部右に小さく「青 蛙 房」文字は全て明朝体
 次いでアート紙の口絵、左上に白黒写真(9.2×9.3cm)がある他は余白。写真の下、中央揃えで明朝体横組みのキャプション「箱根にて 著者夫妻/(昭和34年3月)」。バスの前に立つ笑みを浮かべた2人で、左に和装の女性、暗い色の着物の上に柄物の羽織、さらにストールを肩に掛け、腹の前に手を組んで、バッグを抱え持っている。右に着帽(ハンチング)、丸眼鏡、ワイシャツにネクタイ、コートのポケットに両手を入れている。
 裏の左下に明朝体縦組みで、

    著者紹介
 下町生まれの江戸っ子教授、五十四歳。瘠形で、ひよわそうに見えて芯が強く、あたり/がやわらかそうでいて、向う意気が強くて喧嘩っ早い。劣等感を口をしながら、負け嫌い/で無類の勉強家、フランス文学専攻ながら間口もひろく、小咄やことわざ俗語に研究が深/い。よくもわるくも江戸っ子気性まるだし、学生に人気のあるのは、その気取らない庶民/性にある。著訳書多く、ゴーチェ、モーパッサン、ゾラ等の小説、名訳を以て聞え、「現/代フランス文法」「教養フランス語」など名著として知られる。第一高等学校より東大仏/文科卒。暁星中学・浦和高校をへて、目下東大教養学部教授、中央大学早稲田大学講師。/家に三女あり、愛妻家のほまれ高し。

とある。暁星中学と浦和高校は旧制。
 1〜5頁「まえがき」は四隅の切れた匡郭(12.7×9.2cm)に、冒頭、3行取り4字下げで大きく「ま え が き」とある。1頁16行、1行43字。標題を「うろか船」に決めるまでの経緯を記す。1行空けて5頁11行め、4字下げで小さく「昭和三十四年三月吉日」、1行空けて12行めは下寄せでやや大きく「田 辺 貞 之 助  」。6頁(頁付なし)は白紙。
 7頁(頁付なし)は「目次」の扉、8〜10頁(頁付なし)に10章が列挙される。
 11頁(頁付なし)は中扉で上部中央に大きく「う ろ か 船」。12頁(頁付なし)は白紙。(以下続稿)