瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

田辺貞之助『女木川界隈』(1)

 私はカバーの掛かったものと掛かっていないものの、2冊を見た。
田辺貞之助『女木川界隈』昭和37年7月1日初版発行・定価340円・実業之日本社・286頁・B6判上製本
 カバー表紙は、11月29日付「田辺貞之助『江東昔ばなし』(5)」に引用した生駒散人のブログ「古本ときどき音楽」の2010-01-30「■[最近読んだ本]:田辺貞之助『女木川界隈』」や、三頌亭のブログ「三頌亭日乗」の2012/8/1「田辺貞之助「女木川界隈」」に示されている。
 この三井永一(1920〜2013.6.1)のカバー装画はカバー背表紙からカバー裏表紙にまで続いている(折返しにも1.0cm程度割り込む)。
 カバー表紙には上部に横組みで大きく明朝体太字で「女木川界隈」とあり、下に明朝体でごく小さく「お な・ぎ・が わ・か い・わ い」とルビ。その下、右半分の幅に明朝体で「田辺貞之助」。
 カバー背表紙は縦組みで、標題と著者名はカバー表紙と同じ字体の縮小で、上部に「女 木 川 界 隈」とあって右傍に明朝体でごくごく小さく「お な・ぎ・が わ・か い・わ い」とルビ。中央やや上に「田辺貞之助」。最下部に横並びで小さく「実業之日本社」とあるが、幅に収まらずに1字分、裏表紙にはみ出している。
 カバー裏表紙、右下にゴシック体で小さく「¥340」とある。
 なお、本体の表紙は横縞模様の鶯色の厚紙で、文字は背表紙に紺色で少し窪ませて、上部(カバーよりはやや下から)に「女 木 川 界 隈」とあってルビはない。著者名は下部に小さく「田 辺 貞 之 助」とあるらしいが、私の見た本は1字めとその下の空白が見えるだけで2字め以下は分類表貼付のため見えない。最下部にゴシック体でごく小さく横並びで「実業之日本社」とあるのだが、小さくし過ぎて「業」は潰れて殆ど判読出来ないし「社」は偏は完全だが旁は幅が狭いので収まっておらず、最終画の左端が辛うじて窪んでいる程度で、ないと云って良い。なお、見返し(力紙・遊紙)は同じ横縞模様で茶色。
 カバー表紙折返しは白地に右側やや上寄りに縦組みで、

田 辺 貞 之 助
明治三十八年東京に生まれる。昭和三年東京大学仏文学科を卒業後、浦和高校教/授を経て、現在東京大学教養学部教授。訳書に『ボードレェル論』(創元社((この括弧の前後の二重鍵括弧閉じ・開きは半角。))『ポー/ルとヴィルジニー』『アタラ・ルネ』(新潮社)『現代フランス文法』((この行の二重鍵括弧は半角。))大修館)など。/著書には『のぞき眼鏡』『*1東西艶笑くらべ』(実業之日本社)がある。
 
                     装幀・カット   三井永一

とある。ゴシック体を含む行の文字は一回り大きい。
 カバー裏表紙折返しには、白地の中央上部に本文に比して5字半下げでやや大きく「田辺君の近業」とあり、その下に下寄せで大きく「辰 野   隆 」とあって、本文は表紙折返しよりも一回り大きい明朝体で、

 実に終始楽しく読めるまれな随筆集である。著者はフランス文学専攻の錚/錚たる教授、今の砂町、昔の砂村の産である。砂村は江戸時代から東都南端/の水郷で、大名の下屋敷や富豪の寮も散在しながら、又極めて庶民的な一地/区だが、それが田辺君の古里で、生れ、育ち、夫となり、父となった古里のミラ/ージュなのである。本書の前半は散文詩とも呼びたい砂村回顧、後半は古里/を去った著者の社会観や女性観が裏芸たる小話を交えて読者の微笑を誘うて/已まない。宜い哉!

とある。辰野隆(1888.3.1〜1964.2.28)は田辺氏が入学した当時の東京帝國大學文學部佛文科教授、すなわち田辺氏の師匠である。(以下続稿)

*1:この二重鍵括弧の閉じ・開きの連続はそれぞれ半角。