瑣事加減

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大島廣志 編『野村純一 怪異伝承を読み解く』(1)

・やま かわ うみ 別冊『野村純一 怪異伝承を読み解く』 2016年7月7日 第1版第1刷発行・定価1800円・アーツアンドクラフツ・171頁・A5判並製本

野村純一 怪異伝承を読み解く

野村純一 怪異伝承を読み解く

 カバー表紙にあるように「野村純一[論考エッセイ]選」として11本、それから門下生4人の「[書き下ろし]論考エッセイ」が収録されている。
●大島廣志「「怪異伝承論」の周辺」4〜11頁
・6頁下段右の図版の下に「民話と文学の会「かいほう」No.50(1987年7月)」とのゴシック体横組みのキャプションがある。これにより2月1日付「大島廣志『民話――伝承の現実』(1)」等にて取り上げながら全く現物に接することが出来なかった「民話と文学の会会報」について、ある程度の察しが付けられるようになった。――図版は表紙(恐らく1頁)で左上の子持枠に横書きで「民話と文学の会/かいほう」とあり、右上に「No.50 〈1987年7月発行民話と文学の会〉」とあり、大半は「目     次」、全て横組み。恐らく全16頁で、16頁はたぶん裏表紙。「■若者たちの こ・わ・い・話   / そのⅣ………………大島広志 (14) 」*1とあり、恐らく14〜15頁の2頁分。
●飯倉義之「口裂け女の誘い 野村純一の都市伝説研究」12〜18頁
・14頁上段6〜19行め、

 一つには、松谷みよ子の『現代民話考』の活動があった/ろう。児童文学者の松谷は「日本民話の会」(一九六九〜)/を組織して、全国の同好の士と民話の採集活動や語りの活/動や勉強会を行った。同会の機関誌『民話の手帖』で松谷/が会員に呼び掛けたのが「現代の民話」の収集であった。/身近で今まさに生まれつつある民話、つまりは世間話を誌/上で募ったこの活動は、『現代民話考』全一二巻立風書房一九八五〜一九九五、のち筑摩書房ちくま文庫]、二〇〇三〜〇四)に結実する。野村は松谷と親交が深く、日本民話の会/の勉強会などにも何度も招かれているし、ちくま文庫版刊/行の際にはパンフレットに「「現在の事実」に戦慄する」/と題した推薦文も寄せている。松谷の「現代の民話」収集/が、野村が再び世間話に注意を払うようになった一つの要/因ではあるまいか。

とあるのだが「「現在の事実」に戦慄する」はちくま文庫版刊行に際して書かれたものではなく、立風書房刊の単行本『現代民話考』各冊のカバー裏表紙に横組みで載る3本の推薦文の、木下順二「『現代民話考』を推す」、色川大吉「"現代の民衆の心意現象を表現"」に続く3本めとして掲載されているものと同じであろう。パンフレットは未見だが、文庫版刊行に当たって再録したのであろう。なお、書き出しは当初「松谷みよ子さんの『現代民話考』全五冊は、‥‥」であったのが[第二期]刊行に際し「全八冊」に改められ、最終的に「全12冊」になっている。――ちくま文庫版のパンフレットの同題の文章が全くの同内容ではないにしても、松谷氏との関係の深さを指摘する文脈で云えばここは単行本(立風書房)の推薦文を書いていることを指摘するべきなのであって、この段落は全面的に改稿するべきである*2
●米屋陽一「【野村語録】から見た野村学」19〜27頁
・21頁下段12行め『醒酔笑』は『醒睡笑』。引用箇所であるが、原文のママだとしたら訂正すべきだし、引用に際しての入力ミスだとしたら不注意である。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 きちんと読む前に返却することになったので、差当り気になった箇所のみメモして置いた。(以下続稿)

*1:括弧数字は1字分。

*2:執筆者の見落としに、編者のチェックが入らなかったのは残念である。