瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(158)

・青春BEST文庫『笑いの缶詰本――噂のうわさ ウソのような本当の話 無責任な流言飛語にみんな大混乱 1991年6月5日第1刷・定価447円・青春出版社・254頁

 ユーモア人間倶楽部[編]。ユーモア人間倶楽部は平成3年(1991)から平成5年(1993)に掛けて青春BEST文庫(青春出版社)にて17冊の、本書に類する本を刊行し、平成5年(1993)からKawade夢文庫(河出書房新社)に移って平成9年(1997)まで年数冊のペースで新刊を出していたが、その後ペースダウンし、今は活動していないようだ。
 本文は8つの章に分かれており、赤マントについては107〜頁「 たった一つの噂で奈落の底に落ちた面々 ●こんなハズじゃなかったのに――」として24項目挙がるうちの8項めに、118頁8行め〜119頁7行め、

 ■赤マントのウワサを流してつかまった銀行員*1
 戦前、子供たちのあいだにウワサとなって広がっていた怪談に、「赤マント」の話/がある。
 学校の便所に、マントを着た男が出没。
「赤いマントがほしいか、青いマントがほしいか」とたずねる。
「赤いマントがほしい」と答えると、ナイフで刺されて真っ赤な血に染まって死ぬ。
「青いマントがほしい」と答えると、体中の血を吸われ、真っ青になって死ぬ。
 戦時中、この「赤マント」のウワサを流した犯人として、銀行員の男性が逮捕さ【118】れた。当時の新聞の報道によると、男は社会主義者で、/銃後の人心を動揺させるのが目的だったとか。「赤マント」/の「赤」は、左翼思想の「アカ」だというオチがついて/いる。
 もっとも、当時は、悪名高い治安維持法の時代、この/男がはたして本当にウワサを流したのかどうかは、あや/しいものだ。

とある。119頁の1行字数が少ないのは上部に小学生男子を脅かす、背広にマントの男のイラストがあるからで、マントの中に隠れるようにもう1人の、色眼鏡に帽子・コートの男が、マントの男の二の腕を掴んで、操っているような按配になっている。
 イラストについては、1頁(頁付なし)扉の裏、2頁(頁付なし)の下部にゴシック体横組みでごく小さく、

カバーイラスト◆田中靖夫
 本文イラスト◆森田拳次
       ◆樋口太郎
       ◆イサヲシマダ
     協力◆ロム・インターナショナル

とあって、赤マントのイラストを描いたのは、画風から見て漫画家の森田拳次(1939.5.11生)のようだ。
 内容の検討は次回に回す。以下、ぱらぱら眺めて見て気付いた点をいくつか挙げて置く。
・67頁4行めに「箇老痢*2」とあるが、66頁右のお札のイラストは、2文字めと3文字めが「老痢」であるのは良いとして、1文字めは「筒」と「箇」を混ぜたような、「竹」冠に「冂」構えに「古」と云う字になっている。
・169頁5行め「天保三年(一九三二年)のこと。‥‥」は、西暦1832年。(以下続稿)

*1:カンジはゴシック体、仮名は明朝体太字。

*2:ルビ「ころり」。