瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

水島新司『ドカベン』(27)

・東郷学園の1番バッターと6番バッター
 山田の鷹丘中と対戦することになった東郷学園中野球部では*1、主将の小林の指示の下、部員が皆バテてしまうような特訓を始める(文庫版⑤233〜236頁)。部員の福本たちが「や……やりすぎの特訓だぜ」と文句を言っている(234頁3コマめ)うち、ようやく終わったと思ったら、235頁3コマめ〜236頁1コマめ、

小林:「よーし5分休憩 つづいてウサギ跳びだ」
部員A:「げっ」
福本:「小林 ま まだやるのか」
田丸?:「いったいこうも特訓して鷹丘のなにを恐れているんですか」
小林:「福本」
福本:「なんだ」
小林:「おまえ チーム一の俊足だったな」
下田:「主将 今さらなにを」
福本:「だからこそ一番を打たせてるんじゃないのかい」
小林:「その自信は山田の肩をかいくぐってからいうんだな」
福本:「あの四角いふくれた男かい/冗談はやめてくれ やつに刺されるようじゃ おれは野球をやめるぜ」
小林:「ばかやろう 思いあがるな!! 【235】 おまえの足を重要視すればこそ忠告するのだ/きさまら山田をなめるとたいへんなことになるぜ!!」
福本:「小林!!」

と、特訓の続行を指示される。小林は負傷する前に山田と対戦しているはずなのだが、他の部員たちは(下級生の間は小林のようにレギュラーになれなかったのかも知れないが)全く知らないのである。10月13日付(24)に見たように高校野球部の主将たちは知っていたのに。いったいどこから山田の評判は密かに広まって行ったのか。
 なお、ここには部員として「福本」の他に「山中」「田丸」「川江」「下田」「島…」「中…」が登場する。
 そして実際に試合が始まって見るに「一|6|下田/二|4|遠土/三|7|古河/四|1|小林|五|9|江上/六|5|佐野/七|2|五十嵐/八|3|山本/九|8|小池」(文庫版⑤298頁1コマめ)と云うスターティングメンバーで、特訓を受けていた連中はやっぱり「やりすぎ」で故障したのか「下田」しか出ていない。――「地区予選まであと5日」(文庫版⑤208頁)よりも後、4日くらいしか経っていないはずなのに。
 そんな訳で、福本の足が山田に刺される場面はない。
 試合はまづ1回表・東郷学園の攻撃、岩鬼が3者連続デッドボールで満塁になったところで「四番ピッチャー小林くん」の満塁ホームランでいきなり4点先制されてしまうのだが、続く凡退した「5番ライト江上くん」の打席(文庫版⑤304〜308頁)の次はサード佐野のはずなのだが、何故か背番号「2」がヒットで出て、この背番号「2」が2塁盗塁を試みて山田の強肩で刺されるのである(文庫版⑤314〜316頁)。そして次の「山本くん」のファウルフライを山田がうまく捌いて(文庫版⑤318〜321頁)3アウトになる。――佐野は、いや、佐野も、いったい何処に消えたんだ。(以下続稿)

*1:11月15日追記】ここともう1箇所「鷹岡」となっていたのを「鷹丘」に訂正した。