瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

手塚治虫『ブラック・ジャック』(09)

大林宣彦監督『瞳の中の訪問者』(8)
 昨日の続きで、11月11日付「水島新司『ドカベン』(45)」に書影を貼付し、11月17日付「水島新司『ドカベン』(51)」に目次を紹介した映画秘宝セレクション『漫画+映画! 漫画原作映画の現在地には、当然のことながら『ドカベン』と同年の漫画原作映画である『瞳の中の訪問者』についても1節を割いてあった。
 高鳥都(1980生)執筆の「第3章/映画と劇画の70年代/エロスと血しぶきと衝動の時代」の昨日見た13節めに続く14節めが、084頁5行め〜085頁(12行め)「アイドル映画への橋渡し『瞳の中の訪問者』」である。
 この本は概説書と云った趣なので、内容に関する細かい指摘は殆どない。ここでは、今後私が本作を考える上で参考になりそうな記述をメモして置く。参考にしないかも知れないけれども。085頁2〜8行め、

‥‥、興行も苦戦。また、「シナリオ」(78年2号)山根貞男が寄稿した「青春映画の彼方へ 山根成之の近作に期待する」で《あま/りのくだらなさに、うんざりした。腹立たしくなった》《凡庸というよりも愚鈍》と酷評/されたことに大林は「映画を語るときには、表情をやわらげて語ろう。山根貞男さんへの/手紙」と題して猛反論、そこへ映画評論家の山田宏一が参入し、また大林が応戦、ついに/沈黙していた山根も長文を投じ、さらにまたまた大林が――と、同誌において監督VS評/論家の論争が引用たっぷり、エキサイティングに展開された。


 すなわち「シナリオ」は月刊誌なので2月号(30〜34頁)である。
 山根成之(1936.6.14〜1991.12.27)の近作は、昭和53年(1978)4月29日公開『ダブル・クラッチ』であろう。8月15日付「幸田文『おとうと』(2)」に取り上げた『おとうと』と同じ郷ひろみ(1955.10.18生)主演である。

ダブル・クラッチ [VHS]

ダブル・クラッチ [VHS]

 山根貞男(1939.10.15生)に対する大林宣彦(1938.1.9生)の猛反論は5月号156〜160頁に〈寄稿〉として掲載されており、山田宏一(1938.9.13生)の参入は6月号176〜181頁「〔寄稿〕ネコとネズミ 映画批評とは何か?大林宣彦氏への手紙」、これに対する大林氏の応戦が7月号160〜165頁「〔寄稿〕山田宏一氏への反論」、そして山根氏の「〔寄稿〕大林宣彦における表現思想の錯誤」が8月号162〜165頁に掲載される。さらにまた、の大林氏の反論は10月号158〜164頁に「〔寄稿〕再び、山根貞男さんへの手紙 いま、真に問われるべきは、何か」として掲載されている。
 別に資料発掘と云う訳ではないから、すぐに勇んで見に行くつもりもないのだけれども。(以下続稿)