瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(26)

 2月16日付(23)に紹介した豊田善敬・戸田学桂米朝集成』全四巻(岩波書店・四六判上製本)に続いて、次の2冊が刊行された。
・豊田善敬・戸田学 編『桂米朝座談』全二巻(岩波書店・四六判上製本
『1』 2005年12月14日 第1刷発行・222頁

桂米朝座談〈1〉

桂米朝座談〈1〉

『2』 2006年1月20日 第1刷発行・224頁
桂米朝座談〈2〉

桂米朝座談〈2〉

 書影は函で、未見。『1』の前付v頁に桂米朝「はじめに」があるが「いっさい、編者にお任せしました」と云う断りになっている。そして『1』vi〜vii頁『2』v〜vi頁の編者「まえがき」は『桂米朝集成』と同じく、前半が一致している。

 人間国宝(重要無形文化財保持者)にして文化功労者である桂米朝師が、上方落語を再興させた、今日/のような隆盛をもたらした功労者であることは広く知られている。と同時に、芸能・文化の分野に/おいても、作家・研究家として広範で貴重な仕事をされている。
 その主な著作物は、『桂米朝集成』全四巻に集大成されているが、頁数の関係で残念ながら収め/ることの出来なかった原稿も多く、またその後、重要と思われる資料・録音も新たに発見されたた/め、続編を刊行するべきという結論に至った。
桂米朝集成』未収録原稿の中から、特に貴重と思われる対談・座談・講演録をさらに精選、新/たに『桂米朝座談』と題してここに刊行する。『桂米朝集成』『桂米朝座談』合計六巻により、文化/人桂米朝の著作・発言・行動の全貌が初めて明らかになる。


 ここに『桂米朝集成』に「主な著作物」が「集大成されている」とあるが、やはり単行本未収録の文章を集めたものであって、確かに配慮された編成・配列、そして新たなインタビューなどの編者による準備で、早くに纏められた『上方落語ノート』全四冊(青蛙房)よりも「文化人桂米朝の著作・発言・行動の全貌」を浮かび上がらせるべきものとなっているのであるが、やはり『米朝落語全集』や『落語と私』『米朝ばなし 上方落語地図』等の名著こそ「主な著作物」に該当するはずなので、若干だけれども抵抗がある。
 それから「厳選」「精選」と云うのであるから、ここから漏れたものがあるはずだが、『桂米朝集成』第四巻に、385〜406頁「八 桂米朝 音源・映像一覧」はあるのだが「著作目録」がない。これではここに漏れたものを見付けたとき、それが新発見なのか、それとも豊田・戸田両氏は知っていて、収録を見送ったものなのかの判断が出来ない。
 その後、さらなる発見もあろうから、新たに「桂米朝著作総目録」を主にした7巻めが刊行されることを期待したい(或いはもう何処かにあるのかも知れないが、出来ればこの「合計六巻」に収めて欲しかった)。もちろん、初出誌から単行本収録への流れ、そして初出原本は稀覯書が多いはずだから、初出誌に当たらなくとも内容が確認出来るよう、再録を細かく挙げたものとして欲しい。
 それはともかく『1』『2』ともに正岡容について述べたところがあり、『艷色落語講談鑑賞』や宝塚若手落語会に触れたところもあるのである。(以下続稿)