瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

田中康弘『山怪』(7)

・『山怪』の関連本(2)
 昨日の続き。
東雅夫 編『文豪山怪奇譚 山の怪談名作選二〇一六年二月二日初版第一刷発行・定価900円・山と溪谷社・203頁・四六判並製本

文豪山怪奇譚 山の怪談名作選

文豪山怪奇譚 山の怪談名作選

 前回引用した東雅夫 編『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』の「編者解説」冒頭、二二三頁2〜3行めに、

 二〇一六年の二月に上梓した『文豪山怪奇譚』が、幸いにも好評の由*1で、このほど続篇と/なる本書を編纂刊行するはこびとなった。

とあり、4〜7行め、

 ただし、続篇といってもコンセプトは大きく異なる。
 前著は近現代の文豪たち十二名が手がけた、山にまつわる幻想と怪奇の小説と散文詩を精/選収録したアンソロジーだったが、今回は実話――俗に実話怪談とか実録怪談などと称され/る分野の作品のみに的を絞ったセレクションとなっているのだ。

と、コンセプトの違いを説明する。
 収録作品については後で纏めて検討することにするが、『山怪実話大全』については、その「編者解説」の末尾(二三五頁12〜14行め)に、

 なお、山と溪谷社の〈黒い本〉シリーズ中にも、秀逸な山の怪談実話を収めた本は多いが、/今回は収録対象から外したことを付言しておきたい。つい先ごろ河出書房新社から復刊され/た『山の怪奇・百物語』についても同断である。

とある。
 これは懐かしい書名が出た。
・シリーズ 山と民俗6『山の怪奇・百物語』一九八九年五月二十五日発行・定価二、〇〇〇円・エンタプライズ・243頁・四六判上製本

山の怪奇・百物語 (シリーズ山と民俗)

山の怪奇・百物語 (シリーズ山と民俗)

 山村民俗の会 編、産学社 発売。――この本については別に記事にするつもりだが、図書館でもそんなに貸し出されている風でもなく、実際そんなに面白いとも思えず、かつ、資料としても扱いづらいところがあるので、……先頃復刊されているのに気付いて吃驚したのである。
・山村民俗の会 編『山の怪奇 百物語』二〇一七年 五 月二〇日 初版印刷・二〇一七年 五 月三〇日 初版発行・定価1200円・河出書房新社・215頁・四六判並製本
山の怪奇 百物語

山の怪奇 百物語

 そして、河出書房新社では同様の体裁で山の怪異小説・怪異談を集めた本を続刊中なのである。
岡本綺堂 『山の怪談』二〇一七年 八 月二〇日 初版印刷・二〇一七年 八 月三〇日 初版発行・定価1200円・河出書房新社・190頁・四六判並製本
山の怪談

山の怪談

・山の怪と民俗研究会 編『山の怪異譚』二〇一七年一一月二〇日 初版印刷・二〇一七年一一月三〇日 初版発行・定価1200円・河出書房新社・188頁・四六判並製本
山の怪異譚

山の怪異譚

 「山の怪と民俗研究会」とは「山村民俗の会」よりもマニアックで、このシリーズ(?)続刊のため仮に拵えたのではないとするなら、そのくらい山の怪異談が流行っていることになるのだけれども、しかし解説のような文章がないので実態が全く分からない。(以下続稿)

*1:ルビ「よし」。