瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

校舎屋上の焼身自殺(3)

・鶴川学「恐怖の"焼身自殺実況ビデオテープ"」(1)
 昨日の続きで、2016年1月25日付「稲川淳二「生き人形」(2)」に紹介した不思議ナックルズ・恐怖コレクション『日本“怪奇”伝説』141〜190頁「第三章 怪伝説の真相」の2節め(150〜155頁)鶴川学「恐怖の"焼身自殺実況ビデオテープ"」の内容を見て行くこととしましょう。
 150頁(頁付なし)の右側半分強は黒地で、明朝体白抜きで縦組み2行「恐 怖 の "焼 身 自 殺/実 況 ビ デ オ テ ー プ"」とあり、その左に暗い灰色で1行、副題「美術大学に伝わる戦慄の都市伝説の真相」があります。
 その左、上部に白抜きでリード文、

美術大学に伝わる恐怖伝説がある。/そしてその伝説はある意味関係者の間では"実話"として流布している。/一人の美大生が苦悩の末、壮絶な死に方を選び、/さらに身の毛のよだつ後日談まで存在する究極の恐怖譚/――果たして、この伝説の真相とは……?

があり、下部、黒地の左下隅にやはり明朝体で「文●鶴川 学イラスト●塙 興子」とあります(●は○で囲う)。鶴川氏については他に執筆歴がヒットしないのですが、塙氏はブログ「塙興子の「 さ か し ま 」」の「プロフィール」に拠ると「女子美術大学中退。/セツ・モード・セミナー、/文化服装学院卒。」そして「1984年〜2011年まで、/イラストレーターとして/おもにSM系官能小説、/オカルト物を中心に活動。」とのことで、女子美術大学に在籍していたのは焼身自殺より以前のようです。
 続いて1項めの題、150頁9〜10行め「「10年位前に学生が自分の死ぬ様子を /ビデオに撮影して卒業制作で提出した」」があって、151頁左上に塙氏のイラストがあります。背後に4階建ての校舎らしき建物のある、中庭のようなところで、三脚に据えた今では見ない大きさのビデオカメラの前で、全身を炎に包まれた人物が両腕を振り上げ、飛び跳ねるような按配で左脚を上げて今や断末魔と云った趣です。身体は黒い線で塗り潰されるようになって既に着衣も焼けた状態で性別不明ですが、よく見ると胸が2つ盛り上がっているようですので女性として描いているようです。しかし顔面は既に焼けて髪の毛も縮れて、こうなる前はどのような外見だったのかを偲ばせる要素はまるでありません。
 さて、この項では「T大」すなわち多摩美術大学に伝わる「都市伝説」が紹介されています。まづ、150頁13行め〜151頁2行めに、諸説を綜合したらしき150頁12行め「要諦」が示されます。

《かつて、卒業間際にひとりの学生が自殺した。学生は自身に灯油をかけて、焼身自殺を図り、【150】そのまま大学校舎の屋上から飛び下りて死亡した。しかし、自殺した学生は自身が死んでゆく様/子を三脚に固定した8ミリカメラで記録し、卒業制作として友人を介して大学に提出させた》


 塙氏のイラストは、或いはこの学生が飛び下りて地面に右脚が着いた瞬間を捉えたものだったのかも知れません。校舎から距離が窪塚洋介(1979.5.7生)並に離れているのが気になりますが、まぁそれはともかくとして、しかし「固定」した8ミリカメラで屋上から着地するまでを追うことが出来るのか、と思ってしまうのです。距離があれば収まるでしょうけれども、それこそ「友人」にカメラマンとして撮影に協力してもらわないと無理でしょう。しかしそうなると友人は自殺幇助として逮捕されてしまいそうです。(以下続稿)