瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

朝里樹『日本現代怪異事典』(06)

浅川駅(5)
 昨日の続きで、典拠である「ニュース速報VIP+@2ch新機能実験場」の過去ログ倉庫に格納されているスレッド「駅から異世界に行ってきた話」の、今回は書き込み「27」番について検討して見ましょう。書き出しは

これはヤバいんじゃないか。ひょっとして平行世界とかいうやつじゃないか。/2ちゃんで読んだことあるけどそんなもんあってたまるか。

となっておりますが、全くその通りです。――体験者(?)がそんなことを思っているうちに列車は八王子、西八王子と進んだところで、朝里氏が着目している浅川駅が登場します。

そして今の私に追い打ちをかけるように、車内放送が入りました。/こもった声で「次は浅川…浅川…京王線を御利用のお客様はこちらで…」と聞こえます。/浅川なんて駅は聞いたことがありません。しかし、扉の上にある画面にも「次は浅川」と書いてあります。/ここはどこだと思いGoogleMapを開きましたが、現在地を示す水色のドットが出てきません。/地図も読み込みが終わらず、一向に出てきません。/諦めてふと外に目を向けると、雲一つ無い青空が広がっています。/気持ち悪い位に青いんですよこれが。まるでディスプレイに映し出した空色みたいに。/電車は浅川駅に着きました。どうやら屋根付きのホームのようです。辺りは何もありません。/人の気配も全く感じません。どこか遠くから、小鳥のさえずりが聞こえてきます。/ぽかーんとして何もできずにいると、何も音がせずに電車は発車しました。/いきなり、素っ頓狂に明るい声でアナウンスがありました。「次は!!相模湖!!相模湖です!!」と、明るい女性の声です。/とりあえず知ってる駅名が出てきた、この電車を降りようとして扉の前に立ちました。電車が駅に着きます。


 さて、大月行の中央線で立川駅を発して「日野、豊田」そして「八王子、西八王子」と来て「浅川駅」があり、その次が「相模湖」駅です。現実の中央線で、西八王子駅相模湖駅の間にある駅は高尾駅です。この高尾駅の辺りは昭和34年(1959)4月に八王子市に編入されるまで東京都南多摩郡浅川町でした。そして高尾駅昭和36年(1961)3月まで「浅川駅」だったのです。
 ですから、ここでは12月24日付(04)に注意した「氷川駅」と同じく、タイムスリップのような按配になっているかと思いきや、立川駅で乗車した「全面オレンジ色の電車」の車輌には「扉の上にある画面にも「次は浅川」と書いてあ」ると云うのです。現在のJR東日本E233系電車のような液晶画面ではなく、それ以前の黒地に橙色と黄緑色のLED表示でしょう。国鉄101系電車にはそんなものはなかったはずですが、国鉄201系電車は末期には装備されていたのでしょうか。
 それ以上に奇妙なのは「次は浅川…浅川…京王線を御利用のお客様はこちらで…」との車内アナウンスです。京王帝都電鉄京王高尾線は昭和42年(1967)10月開業ですから、浅川駅時代にはこのような案内があったはずがないのです。(以下続稿)