瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小金井喜美子『森鴎外の系族』(2)

 1月1日付(1)の続き。
 単行本とその復刻版は扉から奥付まで一致。奥付の裏に目録等はない。単行本は続いて見返し(遊紙)になるが、復刻版には10頁、長谷川泉(1918.2.25〜2004.11.10)による「解説」が追加されている。
 1頁(頁付なし)は扉で上部中央に「解  説」下部中央に「長谷川 泉」とある。裏は白紙。
 3〜10頁、小口側の下端の文字の、1字分下・1字外側にゴシック体算用数字の頁付がある。1頁15行、1行43字。
 3頁は初め4行分空白にして1行め、1字下げで「底本の書誌的事項」とあって見出しの文字も明朝体で本文と区別していない。これが4頁1行めまで、1行分空けて4頁2行め、1字下げで「本  論」。4頁3〜14行めは内容全体についての評価で、5〜10頁(8行め)は個々の文章・短歌について、題の下の括弧にやや小さく初出を示し、内容について解説している。最後(10頁9行め)に下寄せでやや小さく「(学習院大学講師)」とある。
 次いで復刻版としての奥付があり、下半分の中央に横組みで標題と定価のみゴシック体。裏は白紙。
 さて、単行本の装幀については、復刻版「解説」3頁9行め〜4頁1行め、

 表・裏の両見返しには石井柏亭画の同一絵がある。この絵については、著者自身の「後記」中/に「装幀を給はりました」石井柏亭氏として謝辞が述べられている。表紙は黒の紙クロースに金/文字で背文字「森鴎外の系族 小金井喜美子」とあり、白に黒印刷のカバーがかけられていた。/【3】戦時中の刊行のため、かがり上製本であるが、用紙など素材はよくない。

と説明されている。
 これを単行本にて確認するに、紙クロースは薄く、背の上下は破損している。文字は背の金文字だけであるが既に半ば剥離し、残存部も色褪せている。長谷川氏は書体について触れるところがないが行書体で、上半分に標題、2字分ほど空けて下部に著者名。カバーは保存されていない。
 復刻版には書影を示していない。カバーを外した状態では黒いだけだからともかく、カバーについてはもう少し説明が欲しいような気がする。
 背表紙の文字も、1月2日付「小金井喜美子『鴎外の思ひ出』(1)」に見た『鴎外の思ひ出』背表紙の、銀文字の標題のように扉に転用されなかったためか、岩波文庫版には利用されていない。国立国会図書館デジタルコレクションでは初めから公開対象外だし(かつ、恐らく原装で保存されていない)私の手許にある本は標題はかろうじて存しているが分類票が貼付されて著者名の最後「子」が隠れている。すなわち、ここのところを見ることは現在非常に困難なので、誰か状態の良い本で(と云うか、そんな本があるとして状態の良いうちに)写真に撮って置いてもらえやしないだろうか、と思うのである。(以下続稿)