瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

川端康成『朝雲』(6)

・「文學ト云フ事」(2)
 さて、菊井先生を演じた緒川たまき(1971.2.11生)は満23歳。
 yen-rakuウェブサイト「interzone」の「『文學ト云フ事』アーカイヴズ」の「第17回 川端康成『朝雲』 」の、yen-raku氏の「■所感・その他」には、「内容的には美人教師・菊井先生に 緒川たまき、教師にほのかな恋をする女学生・宮子に 井出薫、と鉄壁の布陣である。」とある。
 緒川氏の身長は Wikipedia に拠ると169cm、井出氏はやはりyen-rakuウェブサイトの「井出薫嬢のページ」に拠ると160cmである。井出氏も小さい方ではないが(戦前の女学生としては尚更)見上げるような按配で、憧憬にはこの、見上げるような角度が必須なのではないか、と思わせる。
 予告編は時間は短いが場面が多いので、先に1場面だけを切り取った名場面の方から検討して置こう。今、手許に新潮文庫版がないのでyen-raku氏の「■名場面」を抜いて置く。

◆ 宮子が菊井先生と一緒に縄跳びの輪に入る場面。 (新潮文庫* p.151~152)
◆学芸会の帰り、菊井先生と宮子と母が、夜道を3人で歩く場面。 (p.162~163)
  
*「朝雲」は新潮文庫『花のワルツ』に収録されています。


 この2つの場面ではそれぞれ、Canada の作曲家 André Gagnon(アンドレ・ギャニオン、1942.8.1生)の曲を使っている。
 縄跳びの場面で流れるのは “Lettre à Clara”(クララへの手紙)*1、日本盤では「突然の手紙」と云う題である。原曲は3分38秒あるが、本作では中間部が省略されて1分32秒くらいになっている。
 バザアの帰りに夜道を歩く場面*2では “L'eternel retour”(永劫回帰)が流れる。これも原曲は5分18秒あるが、本作ではやはり少々派手な作りになっている中間部を省略して2分40秒くらいになっている。
 題名からして、ギャニオン氏はカナダのフランス語圏(ケベック州)の人らしい。
 2曲とも収録するアルバム。

再会

再会

再会

再会

再会

再会

 “L'eternel retour” のみを収録するアルバム。
イマージュ

イマージュ

 これのみ「はじめから」と云う邦題で*3、以下は「かすかな予感」となっている。
ザ・ベリー・ベスト・オブ・アンドレ・ギャニオン

ザ・ベリー・ベスト・オブ・アンドレ・ギャニオン

アンドレ・ギャニオンのすべて

アンドレ・ギャニオンのすべて

 “Lettre à Clara” のみを収録するアルバム。
ピアノ・メッセージ?ありがとうを言いたくて

ピアノ・メッセージ?ありがとうを言いたくて

 ギャニオン氏は日本で大変人気があり、アルバム『再会』や『イマージュ』、それから各種ベスト盤にも日本のみで発売されたものが少なくない。
Age,35(TVサントラ)

Age,35(TVサントラ)

 少し後にフジテレビのドラマ『Age,35 恋しくて』が流行って、ギャニオン氏の曲が挿入曲として使われていたそうだが、私はドラマを見なかったので全く気付いていなかった。今でも冠婚葬祭のスピーチ場面などのBGMとして良く使われているらしい。
 『再会』と『ピアノ・メッセージ』は図書館で借りることが出来た。(以下続稿)

*1:yen-raku氏の「■使用された音楽」には、この曲のみ挙がっていない。

*2:学芸会ではない。演出上の効果を狙ってか夜道の場面になっているが、原作では夜道ではない。

*3:上に貼付した、同じエピックレコードジャパンから同年に出た『再会』で、既に「かすかな予感」と云う題になっている。