瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(193)

田辺聖子『私の大阪八景』(12)
 前回引用した数え歌だが、何か元歌があってその節で歌ったのだろうか。「三ぴん」は漢字だと「三一」。
 それでは、赤マント小説の一件の最後*1『全集』第一巻33頁4~12行め(長篇全集219頁上段11行め~下段2行め・岩波現代文庫36頁14行め~35頁9行め・角川文庫(改版)40頁1~10行め)、ついでに次の挿話の冒頭も抜いて置こう。

「席にかえってよろしい。あとで職員室に立たせる」【岩36】
 トキコは頭をあげてツカツカと歩いた。ちっとも気にし]てないぞ、というように目/を丸|くして鼻の穴へ指/をつっこ]みながら、スタコラと歩いてわざとドカンと席へ坐*2っ/た。]それ|から国語の本をついたてにしてノー/トをひろげ、鉛筆]をなめなめ、コキコキ/と彫るように|強くかき出した。
「きょうふの赤マント現わる !!
 そのすじのしらべによると、赤マントはすでにタヌキ先生]をかみくだいていた」*3
 
          ○*4
 
 トキコはこの正月には十三になる。それでもう〈セウガ]ク六年生〉はやめて、新年/号か|ら〈少女の友〉を/とっても]らった*5。‥‥


 小学6年生が「正月」に「十三になる」、と云うのは2010年12月31日付「年齢と数字」等に述べたように数えだからである。但し大半の小学6年生は2013年12月10日付(50)に引いた「都新聞」昭和14年2月28日付(27日夕刊)にあるように年明けには十四歳になるので、ここに十三歳とあるところから主人公のトキコが田辺氏と同じく早生まれであることが分かるのである。(以下続稿)

*1:8月17日追記田辺聖子長篇全集1『花狩 感傷旅行 私の大阪八景』の本文も見た。一々新たな註で追加を断ると煩いので、以下、括弧の岩波現代文庫の前に長篇全集として追加した。また本文の改行位置も「 ]」で追加した。

*2:ルビ「すわ」。岩波現代文庫・角川文庫(改版)ルビなし。

*3:岩波現代文庫はこの行、字下げなし。長篇全集も字下げなし。

*4:3行取り10字下げ。岩波現代文庫2行取り7字下げ。角川文庫(改版)3行取り7字下げ。長篇全集は2行取り7字下げ。

*5:雑誌名、岩波現代文庫・角川文庫(改版)は鍵括弧。長篇全集も鉤括弧。なおこの引用箇所にルビなし。