・田辺聖子『私の大阪八景』(12)
前回引用した数え歌だが、何か元歌があってその節で歌ったのだろうか。「三ぴん」は漢字だと「三一」。
それでは、赤マント小説の一件の最後*1。『全集』第一巻33頁4~12行め(長篇全集219頁上段11行め~下段2行め・岩波現代文庫36頁14行め~35頁9行め・角川文庫(改版)40頁1~10行め)、ついでに次の挿話の冒頭も抜いて置こう。
「席にかえってよろしい。あとで職員室に立たせる」【岩36】
トキコは頭をあげてツカツカと歩いた。ちっとも気にし]てないぞ、というように目/を丸|くして鼻の穴へ指/をつっこ]みながら、スタコラと歩いてわざとドカンと席へ坐*2っ/た。]それ|から国語の本をついたてにしてノー/トをひろげ、鉛筆]をなめなめ、コキコキ/と彫るように|強くかき出した。
「きょうふの赤マント現わる !!
そのすじのしらべによると、赤マントはすでにタヌキ先生]をかみくだいていた」*3
○*4
トキコはこの正月には十三になる。それでもう〈セウガ]ク六年生〉はやめて、新年/号か|ら〈少女の友〉を/とっても]らった*5。‥‥
小学6年生が「正月」に「十三になる」、と云うのは2010年12月31日付「年齢と数字」等に述べたように数えだからである。但し大半の小学6年生は2013年12月10日付(50)に引いた「都新聞」昭和14年2月28日付(27日夕刊)にあるように年明けには十四歳になるので、ここに十三歳とあるところから主人公のトキコが田辺氏と同じく早生まれであることが分かるのである。(以下続稿)