瑣事加減

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赤いマント(212)

・朝里樹 監修『大迫力! 日本の都市伝説大百科』(2)
 西東社の「大迫力!」シリーズは、初めA4判の「写真と絵でわかる」シリーズが出て、次いでA5判のイラスト「大百科」シリーズが現在も続刊中で、「日本の都市伝説」は最新刊である。

大判ビジュアル図解 大迫力! 写真と絵でわかる日本史

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大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本の合戦

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大判ビジュアル図解 大迫力! 写真と絵でわかる 日本史人物ナンバー2列伝

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大迫力!  日本の妖怪大百科

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大判ビジュアル図解 大迫力!  写真と絵でわかる三国志

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大判ビジュアル図解 大迫力! 写真と絵でわかる古事記・日本書紀

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大迫力!世界の妖怪大百科

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大判ビジュアル 図解 大迫力!  写真と絵でわかる 日本の城・城合戦

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大迫力! 世界のUMA 未確認生物大百科

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大迫力!  恐竜・古生物大百科

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大迫力! 日本の神々大百科

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大迫力! 世界の天使と悪魔大百科

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 さて、昨日図柄を紹介したイラストだが、気になるのは軍服姿の若い男が、やや蟹股に立ち、そして右手は赤いマントから出して右肩の辺りでマントを押さえ、そして左手は腰の高さの辺りで、マントの中に何か隠し持っているのか、少しマントを前方に膨らませている。この何を持っているのか、何をしようとしているのか隠している辺り、中々巧みな構図だが、それ以上に気になるのは、上半身が異様に前のめりに見えるところである。すなわち佝僂で、脊柱が背中に湾曲して、それで前のめりになっていると云う描写かも知れない、と思ったのだが、視点が斜め右前の低い位置からこの男を見上げるように設定されているので、背中がどうなっているのかは全く分からない。
 私がそんなことを気にするのは、当ブログで発掘して来たように、昭和14年(1939)2月下旬頃、東京でこの流言が広まったときに「赤マントの佝僂男」との呼称が尤も流布していたと思われるのだが、その点を取り入れたのかと思ったのである。
 しかし、本書のライターが依拠したはずの朝里樹『日本現代怪異事典』は、赤マント「発生の背景」として唱えられている「いろいろな説」に触れているが、流言当時の報道に頻出する「赤マントの佝僂男」には触れていない(時期を特定出来ていないから当然なのだけれども)。だから急いで取り上げて批判する必要を感じなかったので、これまで放置して来たのであった。
 しかしながら、このイラストを見て、赤マントが軍服姿なのは朝倉喬司の、二・二六事件に参加した陸軍将校の赤マントに由来すると云う説を踏まえたものであろうが、これにイラスト担当者が「佝僂男」の要素を、当ブログで流言発生当時の報道を目にして( !? )取り入れたのだろうか。だとしたら、2015年9月10日付「山本禾太郎『小笛事件』(3)」述べたように、私が常々問題視している、混ぜてはいけない(両立しない)2つの説を混ぜて新たな、元々存在しなかった説を拵えてしまったことになるかも知れない、と思って俄然、取り上げて検討する準備をしないといけない、そんな気分になったのである。
 尤も、ただでさえ過疎ブログの上に「赤いマント」の記事は殆ど参照されていないらしいので、影響があったとは思い上がりかも知れない。しかし、そんな取り越し苦労(?)をさせるほどに、このイラストの、若い軍人の前のめりは尋常ではないのである。(以下続稿)