瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(243)

同盟通信社調査部 編『國際宣傳戦』(1)
 私はこの本のことを、2019年4月12日付(175)に述べたように、ナカネくんの2019年4月2日22:04の tweet に拠って知りました。
 しかし、国立国会図書館には所蔵がなく、国立国会図書館サーチで検索するに、都内で所蔵しているのは東京女子大学図書館だけのようです。
 大学図書館は一般人であっても公立図書館で紹介状を発行してもらえれば利用出来るはずですが、どのような按配になっているかと思って東京女子大学図書館HPを見るに、「利用案内> 学外の方へ」に、近隣地域在住・在勤の18歳以上の女性であれば「閲覧席の利用および開架資料の閲覧、貸出」が可能で「貸出条件冊数:3冊まで 期間:2週間以内」だと云うのです。本書は戦前刊行の稀覯書ですが、CiNii から東京女子大学図書館の OPAC を見るに、本書の「配架場所」は何と「2F一般書(和書)」つまり一般書扱いで開架に並んでいると出ていましたから、私が近隣地域在住・在勤の女性であれば、貸出を受けて手許にしばらく置いて検討することも出来たのです。しかしながら、私がそんな良いところの住人のはずもなく(?)、そもそもオッサンですから通常通り、市立図書館を通じて利用申請して「資料はカウンターに取り置きます。 (館内閲覧のみ。閲覧場所はカウンタースタッフの指示に従ってください。)」との条件で閲覧するしかなかった訳です。
 4月16日に市立図書館名で照会FAXを出してもらい、当日のうちに閲覧許可の返答、20日に市立図書館に紹介状を発行してもらって、指定された23日に閲覧に出向きました。
 晴れた日の昼前に、吉祥寺駅東改札から歩いて、コロナウィルスではなく花粉症のためにマスクをして、女子大通り(都道113号)の細い歩道をのんびり歩いて、この辺りは初めて来るのだけれども落ち着いた住宅街で、気分良く東京女子大学の正門に着いて、守衛に断って紹介状を示して入構する。芝の青々とした広場があって、それを取り囲む年月を重ねた風情の白い洋館も低層で、とにかく広い。初めてであり、かつこの後用事があるとも思えないから、出来ればいろいろ見て回りたいところだけれども、真っ直ぐに図書館を目指して、図書館の入口で来意を告げると、カードを利用して入館させるゲートの脇から中に入れてくれる。そしてカウンターで本書を渡され、1階の入口付近の閲覧席で閲覧するよう、複写は1枚10円でカウンター近くの複写機で可能であること、とにかく入口・カウンター附近にいて、それ以外の場所には立ち入らぬよう、注意を受ける。大学図書館では書庫以外自由に立ち入っても構わない、と云うところも多いが、女子大の図書館はそうも行かないらしい。以前、大妻女子大学の図書館で貴重書扱いの本を閲覧したことがあったけれども、そのときは書庫の中の閲覧席のようなところにずっと籠もって、確か入口も別だったような気がする。もう20年以上前のことなので、記憶も曖昧だが‥‥。
 今、Googleストリートビューで2019年3月撮影の女子大通りを辿り、ついでにキャンパスを一周して見た。当日は、閲覧が終わっても、正門を入ったところの広場を、本館寄りに歩いて見たくらいで、早々に退去したのだったが、新入生歓迎の諸行事が終わった頃のキャンパスは学生の数も多くなく(東京女子大の学生数が何人なのか知らないが、しかし高層建築もないからキャンパスの面積に比して少なそうだ)本当に伸び伸びとして、私がお嬢様だったらこんなところで4年間過ごすのも悪くないな、と思ったのである。
 それからかつて研究会で毎月通ったこともある大妻女子大学Googleストリートビューで眺めて見たのだが、こちらはすっかり変わってしまって、私のような者でも浦島の子の昔の心持の、至って小さなようなものが、腹の底から込み上げて来るようであった。(以下続稿)
附記】以下も続けて書いて行ったのだけれども、それ以前に文体が敬体から常体に変わって、内容の方もどんどん離れてしまいましたのでここで一旦仕切って置きました。しかし実はそのまま続けて、流れで書き上げたものであることをお断りしておきます。赤マントとは全く関係がありませんので、お時間に余裕のない方はお読みにならぬように。

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 緊急事態宣言が(経済的に苦しくなって)解除されても、登校はしばらく出来ないだろう。夏までの部活の大会がほぼ全て中止になった。祇園祭阿波踊りなど夏の祭礼行事も軒並み中止になっている。学校なんて常に祭りみたいなものである。学校によっては少子化で空き教室があって、クラスを分割したり時間差登校でそれほど密接させずに済むかも知れない。しかし、それも徒歩通学の公立小中学校までだろう。大都市圏での電車通学は、とてもでないが再開させられない。首相の全国一斉休校のおかげで3月4月と通勤電車に生徒たちが混ざらなかったから車輌内の密集の度合いを下げることに成功していたのに、通学者が戻ったら大変なことになる。富山では登校日クラスターも発生している*1。電車、通学路、朝の下駄箱(学校によっては地下ロッカー)、机の脇に鞄を吊すと机間巡視もままならない詰まった教室、昼休みの食堂の喧騒、‥‥
 しかし、休校になった分、夏休みを休まず授業するとか、土日にも授業をするとか、教育関係者は正気なのだろうか。夏休みには正常化出来ているつもりなのだろうか。そもそも夏に授業が出来るだろうか。今年の夏は若干涼しくなるかも知れないが。マスクはどうする? 私は例年5月連休明けまでマスクが外せなくて、それまでに夏日になることもあるから外を歩いていると恐ろしく暑いのだが、外すと息苦しくなるから我慢して着けていた。子供たちが夏の盛りにマスクをして登校出来るだろうか。――5月再開が6月再開になり、それも無駄になって結局9月になりそうな気がする。いや、9月に再開させられるか分からないが、そこまで行ったら腹を括って登校させられなくても始業せざるを得なくなるだろう。そして、9月に始業しても何のかのと休校などが重なって、大都市圏では今年度の終業が2022年3月になって、結局9月入学を回避させられるかも知れない。
 どこかの私立中高の校長が、学校は9月入学でも構わないが、外部の行事がそうはならない、として、部活の大会や受験のスケジュール、大学生なら就職活動を理由として挙げていた。私は見ながら、この人は今年度、部活の大会が出来ると思っているのか、と仰天したのである。どうしてこうも教育関係者には想像力に欠ける人が多いのだろう。緊急事態宣言が5月6日まで、それが5月31日までになって、そこから直ちに学校を再開させようと考えているらしい、その妙な律儀さに、私のような好い加減な人間は戦慄するのである。この人たちに考える余裕を与えるためにも、早急に今年度は9月始業と宣言するべきではないのか。そうでないと3月末までにカリキュラムを終えようとして、ただでさえ自分で健康維持して免疫力で防衛せざるを得ない状況に置かれている生徒、その家族や教職員を弱らせて、今度こそ学校を蔓延の震源地にしかねない。
 いや、女子高で小論文の担当をしていた頃、差当り試験問題に示されたデータで組み立てても、それで良いか、報道や読書で獲得した、試験問題には示されていないデータも加味して、たとえ内容に盛り込めなくとも、そこまで考えた上で書いた、と云う事実が内容にも深みとして生きて来るのだ、と云ったような指導をしたのだが、どうしてこうも、都道府県の休校期間を信頼しきって(?)すぐに再開しようとするのだろう。それこそ、そんな小論文を書いたら底の浅さ、考えのなさ、想像力の欠如を見透かされて落とされるぞ、と指導したのだけれども。
 教育関係者はまづ、安心して学校を再開させるために検査体制の充実を訴えるべきだろう。そういうアピールが教育現場から一向に聞こえて来ず、9月入学というトピックについての賛否しか聞こえて来ない。正直、この人たちに子供たちを任せられない気がする。ビジネスとして、受験のことしか気にしていないのだろうか。
 官僚がこう云った議論にやる気がなくて、とにかく再開させたがっているように見えるのは、3月に終えられないと会計年度とズレるからだろう。しかし予算制度が諸悪の根源の1つと思っている私は、ここで会計年度に風穴を開けて、それから一斉採用みたいな慣例も崩れれば良いと思っている。いや、就職活動、出来るのだろうか。それなのに、これまでの社会の構造のままで発想しようとする人の多さに、私は違和感を覚えざるを得ない。もっと先を見通して対策してもらわないと、――それが出来なかった結果が、これである。Go to キャンペーンとか、横浜市議会がカジノ・リゾートの調査費用で数億予算計上したのも狂っているのかと思った。そんなもの作っても客が来ないだろう。海外からも来ない、日本人には元からそんな金がなかったが、いよいよなくなる。しかし予算は使い切らないといけないから、みすみす要りもしない数億をドブに捨てるようなことになるのだ。
 こうなったら、どうせ出来っこないんだから、せめて一刻も早く東京オリンピックを返上して下さい。
5月13日追記】カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を運営する米ラスベガス・サンズが日本へのIR進出を断念した、と云うニュースが出た。横浜市議会は3月24日にIR推進予算4億円を含む今年度の予算案を可決している。予算案を出した当時ならともかく、3月24日の段階ではドブに捨てるようなものだと分かっていただろう。4億円まるまるコロナウィルス対策に早急に組み替えるべきだった。終熄するまでどのくらい掛かるか分からないし、コロナウィルスが居座りでもしようものなら世界的に長期にわたってインバウンド需要は落ち込む。そんな見通しも立てられずに愚行に走った市長及びIR推進会派の議員連中は、次の選挙で落選させるべきだろう。

*1:富山市はその後、学外での感染だとして登校日クラスターを否定しているが、生徒たちだけでなく担任も感染しており、責任逃れの疑いが残る。登校日の感染ではない、との主張を認めるとしても、無症状の生徒たちに蔓延して、家族や教員に感染、軽症(その後重症化したかは不明)ながら発症させていることに注意するべきである。若者は殆どが無症状だから学校は再開した方が良い、と考える人もいるらしいし、私の家の近所でも若者が集まって騒いでいるけれども、この連中が通勤電車に混ざって、今保たれている危うい均衡が崩れたときに第二波が生ずるかも知れない。