・「不思議な世界を考える会会報」(2)
さて、昨日挙げた①~④のうち、②③④はいづれも①「不思議な世界を考える会会報」20号を典拠としているので、検討のための資料としては①を参照出来ればそれが最善なのですが、大学図書館や博物館なども含め「不思議な世界を考える会会報」が閲覧出来る施設は存在しないらしいのです。そこで次善の策として、②③④のどれかを使用することになりますが、ちょっと気になる異同があるのです。
②『夢で田中にふりむくな』と③ 日本の現代伝説『走るお婆さん』については、2016年12月19日付「『夢で田中にふりむくな』(1)」及び2017年2月12日付「『夢で田中にふりむくな』(3)」に刊年や章立てなどを紹介しました。②の本文については岩倉千春「あとがき」の236頁2〜15行めに、後者に引いたような説明がありました。③の本文については、『走るお婆さん』189〜201頁、大島広志「解説・現代伝説の分析」の、198頁8行め~201頁、当初3冊で完結予定だったらしい「日本の現代伝説」シリーズ全体の纏めになっている「四 現代伝説のアンソロジーの成果」に、以下のような説明があります。199頁14行め~200頁4行め、
本書を初めて手にする人のために、全体構成を説明する。ひとまとまりのハナシのグループとみな/される中で、メインテクストを「例話」として各冒頭にかかげ、これと共通する要素をもつ他のハナ/シは「類話」とした。かなり古いハナシや文芸作品等は「参考」とした。刊行物からとった資料はそ/のソースを示した。また、明らかな誤字をのぞいて、表記は原則的にいじらないことにした。したが【199】って、ハナシにより文字遣いが異なる場合もある。インフォーマントは、直接に語った人を「話者」、/アンケートなどの回答者を「報告者」とし、テープに集録したハナシを翻字したのを「録音記録」、/筆録したハナシを「記録」と表記して区別してある。これらは、類似のアンソロジーとの大きな違い/であり、本書の特色といえる。
冒頭の「本書」は「本シリーズ」とするべきでしょう。「閉じ込められた女子学生」の話は11〜54頁「Ⅰ 新たな恐怖」に出ており、担当しているのは渡辺節子です。
④ いまに語りつぐ 日本民話集 伝説・現代民話⑪『学校の怪談』2003年4月10日初版第一刷発行・作品社・235頁・A5判上製本
さて「第三集」=「伝説・現代民話」の⑪『学校の怪談』は、2~3頁「はじめに」の最後に(岩倉千春)とあり、奥付にも「監修:野村純一・松谷みよ子」の次の行に「編集:岩倉千春」とあって、③で「閉じ込められた女子学生」の話を収録する章を担当している渡辺氏と共に、②の編著者として名を連ねていた人物なのです。すなわち本書も(出典が①「不思議な世界を考える会会報」であるところから容易に見当が付くでしょうけれども)227~235頁「話名および出典」を見るに、やはり渡辺氏が主宰する「不思議な世界を考える会」の会報から、その多くを得ているのでした*1。(以下続稿)
*1:出典の詳細については、前記の通り『日本民話集』第三集の「現代民話」全6冊を一括して検討することとします。