瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

閉じ込められた女子学生(22)

・「不思議な世界を考える会会報」(2)
 さて、昨日挙げたのうち、②③④いづれ①「不思議な世界を考える会会報」20号を典拠としているので、検討のための資料としてはを参照出来ればそれが最善なのですが、大学図書館や博物館なども含め「不思議な世界を考える会会報」が閲覧出来る施設は存在しないらしいのです。そこで次善の策として、②③④のどれかを使用することになりますが、ちょっと気になる異同があるのです。
 ②『夢で田中にふりむくな』③ 日本の現代伝説『走るお婆さん』については、2016年12月19日付「『夢で田中にふりむくな』(1)」及び2017年2月12日付「『夢で田中にふりむくな』(3)」に刊年や章立てなどを紹介しました。②の本文については岩倉千春「あとがき」の236頁2〜15行めに、後者に引いたような説明がありました。③の本文については、『走るお婆さん』189〜201頁、大島広志「解説・現代伝説の分析」の、198頁8行め~201頁、当初3冊で完結予定だったらしい「日本の現代伝説」シリーズ全体の纏めになっている「四 現代伝説のアンソロジーの成果」に、以下のような説明があります。199頁14行め~200頁4行め、

 本書を初めて手にする人のために、全体構成を説明する。ひとまとまりのハナシのグループとみな/される中で、メインテクストを「例話」として各冒頭にかかげ、これと共通する要素をもつ他のハナ/シは「類話」とした。かなり古いハナシや文芸作品等は「参考」とした。刊行物からとった資料はそ/のソースを示した。また、明らかな誤字をのぞいて、表記は原則的にいじらないことにした。したが【199】って、ハナシにより文字遣いが異なる場合もある。インフォーマントは、直接に語った人を「話者」、/アンケートなどの回答者を「報告者」とし、テープに集録したハナシを翻字したのを「録音記録」、/筆録したハナシを「記録」と表記して区別してある。これらは、類似のアンソロジーとの大きな違い/であり、本書の特色といえる。


 冒頭の「本書」は「本シリーズ」とするべきでしょう。「閉じ込められた女子学生」の話は11〜54頁「Ⅰ 新たな恐怖」に出ており、担当しているのは渡辺節子です。
いまに語りつぐ 日本民話集 伝説・現代民話⑪学校の怪談2003年4月10日初版第一刷発行・作品社・235頁・A5判上製本

 監修/野村純一・松谷みよ子『日本民話集』は、第一集(2001)全15巻、第二集(2002)全15巻、第三集(2003)全15巻で全45巻、以前、某図書館の書棚に並んでいるのを見ましたが、今、ちょっと行ける状態になく、行ったとしても45冊見て行くだけの滞在時間を、多分図書館側が認めていません(大抵30分以内で、と云うことになっています)から、全体の構成については機会があれば確認する機会を作ることとしましょう。第三集のうち①~⑨が「伝説」で、⑩~⑮の6冊が「現代民話」に充てられています。まづはこの6冊の構成や出典について、遠からず記事にすることを約束して置きましょう。
 さて「第三集」=「伝説・現代民話」の⑪『学校の怪談』は、2~3頁「はじめに」の最後に(岩倉千春)とあり、奥付にも「監修:野村純一・松谷みよ子」の次の行に「編集:岩倉千春」とあって、③で「閉じ込められた女子学生」の話を収録する章を担当している渡辺氏と共に、②の編著者として名を連ねていた人物なのです。すなわち本書も(出典が①「不思議な世界を考える会会報」であるところから容易に見当が付くでしょうけれども)227~235頁「話名および出典」を見るに、やはり渡辺氏が主宰する「不思議な世界を考える会」の会報から、その多くを得ているのでした*1。(以下続稿)

*1:出典の詳細については、前記の通り『日本民話集』第三集の「現代民話」全6冊を一括して検討することとします。