瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(44)

銀河テレビ小説たけしくんハイ!」シナリオとの異同(34)
 昨日の続き。
・第10回(2)苺飴
 たけし(小磯勝弥)は、東郷晴子が店主の駄菓子屋に行って、苺飴を引く。これは原作本にも出ていてTVドラマもほぼ『シナリオ』の通りであったと思う。『シナリオ』から補足すべき記述としては、TVドラマでは特に説明はなく見ているうちに諒解出来るように作ってあったが、132頁上段14~16行め、

  大小のいちごあめに糸がついていて、ひもを引/  くと大きいあめが当たったり、時にカラくじも/  あるというもの。

とあることで、TVドラマでは大きな飴のみ赤く、他は飴色だったように思う。形はいづれも苺型、下が尖った円錐形で底辺にかなりの長さの紐が付いている。――原作本の記述も引きたいところだが、取り敢えず現在の形式で最後まで見てしまってから、原作本の対応する箇所と比較することとしよう。
 それからもう1点、値段について、18~19行め、

たけし「十円置いたよ。(十円玉をガラスケースの上/ に置く。)」

とあるが、TVドラマでは「五円置いたよ」と言っていた。
 私はさすがにこのような籤引きの飴を買ったことはない。静岡県清水市で過ごした小学校低学年の頃、近所の、駄菓子屋ではないのだが、駄菓子も扱っているような店で、店頭のガムのガチャガチャが当たりつきで、白い球形のガムが殆どなのだが、偶に形・大きさは同じだが赤紫のガムが出る。そうすると店内に入って店主のおばさん(当時で50前くらいだったろうか)を呼ぶと、おばさんはその赤紫のガムを受け取って自分の口の中に放り込み、代わりに10円玉をくれる。そして私らはもう一度ガチャガチャをやって、今度は白いガムが出るのでそれを自分の口の中に放り込んで、おしまいであった。――こう書いてみると、何が当たりなんだか分からない。赤紫のガムを食べさせてくれた上で、10円返してくれるのなら話は分かるのだが、それとも何か別にくれたのだろうか。確かに記憶も定かではないのだが。そして私らは一度赤紫のガムを食べたいと思いながら、しかし出たらおばさんに上げる決まりになっていたので、たまに出ても律儀に店内でおばさんに献上して、一度も食べることがなかったのであった。今、Google earth で確認するに、2018年1月撮影で建物は(恐らく)そのままであるが疾うに仕舞た屋で、テント看板は橙色の無地になっている。
 『シナリオ』では続いて、133頁下段7行め~134頁上段17行め「●道」で大介(仙田信也)に会う場面があったが、TVドラマでは省略されている。133頁下段8行めから抜いて置こう。

  たけしが歩いている。
  口からいちごあめのひもが下がっている。
  大介が赤ン坊を背負って一人でメンコをしてい/  る。
たけし「何やってんだ?」
大 介「見りゃ判るだろ。」
たけし「やろうぜ。(自分もメンコを出す。)」
大 介「あ、いちごあめ。」
たけし「エヘヘ、ああうめえ。ホラ。(口を開けて見せ/ る。)」
  口の中にひもつきのいちごあめ。
  大介、いきなりいちごあめのひもを引っ張る。
たけし「あッ」【133】
  大介、素早くあめを自分の口の中に入れる。
たけし「何するんだよ
大 介「ああ、うめえ。」
  と、二、三度しゃぶって口から出す。
大 介「ホラ、返してやるよ。」
たけし「誰がいるか、そんな汚ねえの。ああ汚ねえ。」
大 介「じゃ、いいんだな? 俺貰っちゃっていい/ んだな?(あめを自分の口の中に入れようとする。)」
  瞬間、あめをひったくるたけし。
たけし「ざまあ見ろ。(と、自分の口に放り込む。)」
大 介「あ、汚ねえ、人の口に入ったものを食っち/ ゃって、ああ汚ねえ、バイキンついてるぞ、俺の/ ツバがついてるぞ。」
たけし「平気だもん、ああうめえ、いちごあめうめ/ えなあ。」
  と、これみよがしにしゃぶって見せながら、メ/  ンコをパチンと叩きつける。


 そう云えば、私なぞも昭和末の子供時代、うっかり人が口を付けたストローや牛乳瓶、ジュースの缶に口を付ける奴がいると、何かの歌の節で「間接、きっす~」とか言って囃したものだった。日本でコロナウィルスが割合抑えられているのは、このようにして子供の頃から潔癖症が植え付けられたせいかも知れない。(以下続稿)