瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

長沢武『北アルプス夜話』(2)

・復刻版「あとがき」
 昨日の続き。――久し振りに改版の確認をしたので、初版と改版を①②と仮に番号を附して整理していたことなど、要領を色々と忘れていた。そこで昨日の記事に番号を補って置いた。改めて示すと、
①初版 昭和52年(1977)刊・信濃路(長野市
②復刻版 平成20年(2008)刊・長崎出版(東京都千代田区
と云うことになる。②は復刻版と謳っているけれども、原本をそのまま覆刻した「復刻版」でないことは、頁数の違いからも察せられるであろう。
 ただ、内容はこれから細かく検討するけれども、②復刻版は①初版をほぼそのまま承け継いでいるようである。増補されたのは285~286頁「あとがき――復刊にあたって」のみである。「増補改訂版」と云う訳でもなく、装幀を変えたのみの「新装版」でもないから、やはり「復刻版」と云うことになるのであろうか。
 冒頭部を抜いて見よう。285頁2~5行め、

 この本は、今から三〇年前の昭和五二年に第一刷りが発刊になったもので、私にとって処/女出版でした。今、改めて読んでみますと、当時が思い出されて懐しく感じます。本の中身/の各章の物語りについても、当時と現在では大部状況が変わってきているものが多くあります。
 たとえば、「雪形考」などは、‥‥


 3行めは無理に詰めて他の行より2字多く、しかもまだ半角分余裕がある。なお「大部」は「大分」。
 以下、環境の変化について幾つか挙げて説明しているのであるが、その中に、286頁5~6行め、

 秘境蓮華温泉は、今は温泉まで車道が開通し、白馬連峰への登山の季節には、一日にバス/が何往復もする時代となりました。

との記述のあることを「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺」との関連から注意して置こう。幾つか材料はあるのだけれども、2021年1月2日付(173)から半年空いてしまった。最後も抜いて置こう。286頁10~16行め、

 今回の復刻版の出版については、友人の㈱プロジット・アソシエイツの中尾堯さんのご厚/意で話が進み、出版社との交渉など全て中尾さんに任せっ切りで、私は写真の用意と校正を/したのみでした。
 私もあと二カ月で喜寿を迎える年となりました。今回の復刻版の出版で、北アルプスの歴/史や民俗などについて、より多くの方に読んでいただけることができ、知っていただけたら/最高の幸せだと感じております。ほんとうに有難うございました。厚くお礼申し上げます。
 
 平成一九年一一月吉日                         長沢 武


 プロジット・アソシエイツは名古屋にある高齢者の執筆活動等の支援を行っている会社(2006年9月1日設立)のようだ。
 版も組み直している訳だから「写真」も改めて「用意」したのである。
 平成19年(2007)11月に「あと二カ月で喜寿」と云うのだから、長沢氏は昭和6年(1931)1月生れ、②復刻版が刊行された頃に満年齢の喜寿を迎えたことになる。(以下続稿)