瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『夢十夜』の文庫本(3)

 近藤ようこ(1957.5.11生)の漫画は、当ブログでも2015年7月下旬に『説経 小栗判官』を6回にわたって取り上げた。本作の「近藤ようこ漫画夏目漱石原作」の漫画が存在することは知っていたが、文庫版まで出ているとは知らなかった。
岩波現代文庫 文芸315(2020年1月16日 第1刷発行・定価780円・岩波書店・156頁)

 156頁の次の頁に4項から成る但書き(明朝体縦組み)がある。その4項めに「一、本書は二〇一七年一月、岩波書店より刊行されました。」とある。
①単行本(2017年1月19日 第1刷発行・2017年2月6日 第2刷発行・定価1300円・岩波書店・147頁・A5判上製本 実は単行本も初めて手にしたのである。
 こちらは「目 次」の裏(前付・頁付なし)に同様の但書きが、灰色地に宋朝体で入っている。
 異同は1項め、①「一、本作品は『夢十夜 他二篇』(岩波文庫、一九八六年)を底本とし|ています。」の仮に灰色太字にしたところが②では「第一夜から第十夜」になっていることと「|」のところで改行(2行め2字下げ)されていることである。
 この異同の理由は②2項めに「一、第十一夜は描き下ろしです。」とあるように、追加(149~156頁)があるためである。すなわち、②カバー裏表紙中央右寄りに明朝体縦組みで、仮に太字にした1字めがドロップキャップ(3字×2行)、

んな夢を見た――。死/んでしまった美しい女/との百年後の邂逅、逃れられ/ない前世の因縁、自殺を試み/た瞬間に味わう激しい後悔、/断崖絶壁で豚の大群に追い詰/められる恐怖……。美しくて/恐ろしい漱石の夢の世界を、/名手近藤ようこが漫画に描く。/新たに描き下ろした原作への/オマージュ「第十一夜」を収録。

とある。書籍本体には「目次」及び「第十一夜」の扉(頁付なし)に「岩波現代文庫版あとがきにかえて」と添えてある以上の説明は、ない。
 ①2項め=②3項め「一、作品中、現在では問題を含む語句や表現のしようが見られますが、原文の/歴史性を考慮して、そのままといたしました。」
 ①は2項、②は以上4項だが、①は1行分空けて、

【初出】第一夜~第八夜は小社ウェブサイトに掲載
     第一夜 二〇一六年五月二五日
     第二夜      六月二五日
     第三夜      七月二五日
     第四夜      八月二五日
     第五夜      九月二五日
     第六夜      一〇月二五日
     第七夜      一一月二五日
     第八夜      一二月二五日

とあって2行取り4字下げで「*」を打って、最後「第九夜 描き下ろし/第十夜 描き下ろし」とある。新潮文庫もそうだが、岩波文庫が底本に示していた初出情報を文庫版に継承しない理由がよく分からない。145~147頁「あとがき」を読む際に、あった方が良いと思うのだけれども。
 それから次の行、下詰めで小さく「文様 ©Standart/123RF」とある。(以下続稿)

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 昨日の記事の続きを上げるべきでしたが『日本昔話通観』の他の巻も見てからにしようと云う気分になっております。差当りこんな御時世だから手許にある分だけで見当を付けて置いて、詳細は追々補って行けば良いと思っていたのですけれども。それから、やはり『日本昔話大成』或いはその前の『日本昔話集成』も一応見て置こうと思ったのです。もちろん遠田勝『〈転生〉する物語』の次の章の準備もしているし、ハーン研究者が見落としているらしい「白馬岳の雪女」に関連する研究も、幾つかピックアップしています。青木純二についても。けれども、やはり、少々草臥れました。同じことを長くやっていると飽きる性質なもので。――元々左程興味があって始めたのではなく、しかし先行研究には色々と問題があるので、好い加減に済ませる訳にも行かない。もちろん論文にはこんなにメモしない訳ですが、コピーも取らないので気になるところは控えて置かないと、後で何処が入り用になるか分からない。しかしその資料蒐集も(金を掛けられないので図書館に頼る訳ですが、思うように動けないので)捗々しくない。借りてもそのまま返してしまうようなことにもなりますし。
 そのうちぼちぼち再開します。