瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(184)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(7)『彩雨の屑籠』正・続・新
 2019年9月12日付(115)の後半に抜いた箇条からも察せられるように、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』にはかなり細かい、編集部「【解題】」があったが、本書にはそれがない。「新 坊ちゃん伝」と「女学校物語」はそれぞれの扉に書影を示しているばかりで、その版元と刊年が作品末尾の註記と「底本一覧」によって分かるだけである。版元が仙台の出版社であることも示されていない。
 他に刊年から執筆時期が分かるものは医家芸術クラブの機関誌「医家芸術」掲載の2篇のみである。医家芸術クラブは昭和28年(1953)創立、「医家芸術」は昭和32年(1957)9月創刊で当初月刊だったが近年は年3回発行になっている。
・255~278頁「纏の銀次捕物控 拾った印籠」1964年6月号・7月号
・279~320頁「纏の銀次捕物控 牡丹近江」1965年6~9月号
 他の9篇は晩年に刊行した私家版の文集に収録されているので、執筆時期は俄に分からない。「底本一覧」に「『彩雨の屑籠』私家版/1986年」とある*1のが次の3作。
・7~48頁「伊達政宗の手紙」※オール讀物新人賞最終候補作品
・49~70頁「松尾芭蕉の手紙」※小説サンデー毎日新人賞最終候補作品
・71~96頁「車夫の行方」
「『続 彩雨の屑籠』私家版/1988年」となっているのは次の4作。
・97~130頁「悪縁」
・131~174頁「吾妻おろし」
・175~192頁「巷談 お梅報恩記」
・193~220頁「遠花火」
「『新 彩雨の屑籠』私家版/1989年」となっているのは次の2作。
・221~235頁「鯉菴日記」
・237~254頁「八重一重」
 この3冊は非売品で80代半ばになろうとする杉村氏が、旧稿(新稿もあるかも知れぬが)を取り纏めて親類知己に配布したものらしい。宮城県立図書館には『彩雨の屑籠』のみが、国立国会図書館仙台文学館には3冊揃いで所蔵されている。仙台文学館HPの所蔵資料検索にて、
・『彩雨の屑籠』1986/12/01発行・杉村顕道・159p・200部限定 非売品
・『続 彩雨の屑籠』1988/09/01発行・杉村顕道・119p・200部限定 非売品
・『新 彩雨の屑籠』1989/09/01発行・杉村顕道・134p・200部限定 非売品
と、もう少々詳しい書誌が判明する。大きさは国立国会図書館オンラインに拠れば「21cm」つまりA5判である。杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』381頁(頁付なし)「彩雨亭鬼談拾遺」の扉の左下に、382頁(頁付なし)の下部中央に小さく「前頁写真は『彩雨の屑籠』(私家版・昭和六一年)」とあるように1冊めの書影が掲出されている。かなり濃い地色の用紙で、上部中央に明朝体太字で大きく「彩 雨 の 屑 籠」と標題、左下に「杉 村 顕 道」とある。巻末の編集部「【解題】」に拠れば、407頁7行め~413頁「木綿針」414~420頁1行め「咳」420頁2行め~428頁3行め「囁く人」の3篇が「『彩雨の屑籠』(私家版)  昭和六一年一二月一日」から採られている。(以下続稿)

*1:各作品末には「・・・・/一九八六年」、「底本一覧」では2つめ以降は「同上」。