瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(44)赤川次郎①

カッパ・ノベルス 光文社
・㉗-8『三毛猫ホームズの恐怖館』昭和57年7月10日 初版1刷発行・昭和57年7月20日   2刷発行・定価680円・268頁

※ 帯あり「●最新刊・書き下ろし・長編推理小説」書影に同じ
カドカワ ノベルス 角川書店
・10-3『晴れ、ときどき殺人』昭和五十七年十一月二十五日初版発行・昭和五十七年十一月 二十 日再版発行・定価600円・252頁 再版の方が初版よりも早いと云う、奇怪な奥付になっている。
・10-8『愛情物語』昭和五十八年十一月二十五日初版発行・昭和五十八年十一月 三十 日再版発行・定価640円・210頁※ 帯あり「娯楽対策フェア/映 画 化」裏表紙側「創刊2周年を飾るビッグ10」3点めが本書
 書影の下部に「角川映画化」とあるが、これは帯ではない。次の映画のポスターにほぼ同じ写真が使用されている。 カバー表紙にはスニーカーまで写っており、また手の位置も顎を挟むようにしている。口が少し開いて歯が覗いている。首を傾げて、目も覗き込むように見開いている。
 で、これが当初からのカバーなのか、少々疑問に思ったのである。すなわち、カバー表紙折返しやや上寄りにある明朝体縦組み8行の紹介文の最後に「‥‥。角川映画化決定。<監督・角川春樹 主演・原田知世>」とあって、映画公開前のカバーであることは間違いないが、映画『愛情物語』は昭和59年(1984)7月14日公開だから随分前である。しかし次の「昭和五十九年 一 月三十一日五版発行」の本が、既に別のカバーに改装されているぐらいだから、やはり当初からのカバーなのだろう。 いや「日本の古本屋」に祖母の蔵書と同じカバーに同じ帯の掛かった「初版」が出品されているから、間違いないのであろう。
 ポスターと初版カバー表紙に僅かに違う写真を使用したり、じきに改装したり、角川書店社長・角川春樹事務所の所長(?)角川春樹キモイリで、恐ろしく力が入っていたことがひしひしと感ぜられる。
新潮文庫(1) 新潮社
新潮文庫4183/あ-13-13『勝手にしゃべる女』平成元年 二 月二十五日 発  行・平成三年 三 月 十 五 日 五  刷・定価350円・223頁※ 帯あり「私の時間」裏表紙側は淡い桃色地に「〝私の時間〟フェアの新刊」7点(著者名標題)列挙して「その他既刊精選32冊」と添える。
 本書は既刊32冊のうちの1冊なのであろう。7点のうち3点めに挙がる次の本の書影に、同じデザインの帯が掛かっていたので参考までに示して置こう。 新潮文庫は昭和末から「私の時間」と云うフェアを何度も打っていたらしいが、これら7点が平成3年(1991)3月の新刊であることからこの帯の時期も判明する。本書の帯には「」の下の斜めの楕円「新刊」がなく、左上の丸ゴシック体横組み2行の紹介文も当然異なる。背表紙側は淡い桃色地で白く抜いたところに整理番号、そして太い下線を引いた税込み価格「360」とあるのはカバー背表紙の緑色地と同じ。裏表紙側折返しは少し淡い桃色地(1.0cm)が入り込み、残りは白地、その左下に明朝体縦組みでごく小さく「勝手にしゃべる女」とある。これらのオリジナル部分だけのためにこの帯を新刊7冊と既刊32冊の合計39冊に準備したとは、なんと豊かな時代であったことか。(以下続稿)