瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(10)

 丁度一年前、2022年3月13日付(09)まで、当時刊行されたばかりだった『昔話・伝説を知る事典』が殆ど改訂もなされていない上に*1、一部執筆者が恐らくこうした安易な復刊計画に反対してか、自分の執筆項目ごと引き上げたために重要な項目が幾つもなくなっており、それが殆ど(と云うか全く)補われていないことを指摘して置いた。こういう復刊は書物や学問に対する信用を失墜させるものでしかないのだから、本当にやめて欲しい。しかし私の訴え(?)も空しく、改悪版の『昔話・伝説を知る事典』を買ってしまった公立図書館が少なくないようで、書架で目にしては心底げんなりしている。もし儲けが出ているなら、今度こそきちんとみずうみ書房版『昔話・伝説小事典』のしっかりした改訂版を作って、誠意を見せて欲しいと思う。
 さて、今回久し振りに本書を取り上げることにしたのは上記の件につき改めて注意喚起するとともに、これまで気付いていなかった訂正の紙を紹介して置きたいと思ったのである。
 すなわち、今私の手許にある某市立図書館の書庫に仕舞い込まれているみずうみ書房版『昔話・伝説小事典』初版1刷は、表紙見返しの遊紙に、次のような紙片(8.0×10.0cm)が貼付してある。その中央(4.2×5.5cm)に、以下のように刷ってある。

       お詫びとお願い
 本文189頁「日本伝説名彙」項目中,3行めが
印刷上の手違いから脱落し印刷されました。
ここに深くお詫び申し上げますと共に,誠に
ご面倒ながら下記文章を貼付の上ご使用下さ
いますようお願い申し上げます。


(昭和25年),日本放送出版協会から


 当該箇所、189頁左、8行めまでを抜いて置こう。

日本伝説名彙〔にほんでんせつめいい〕
柳田國男監修,日本放送協会編。1950
                 
刊行。民俗学的立場に基づいて,日本
の伝説資料を総集し独自の分類のもと
に集大成したもの。柳田の指導のもと
関敬吾,石原綏代が中心となって直接
その編纂に当った。‥‥


 執筆者は(花部英雄)。
 私は本書を複数の図書館で見ているのだが、これまでこのような紙片の存在に気付いていなかった。恐らく多くの図書館では紙片の指示通りに当該箇所に貼り付けた上で廃棄したのだろう。そうすると、それらの本には189頁3行めに紙が貼ってあるはずなのだが、これまで注意したことがなかった。今後、気を付けて見ることとしよう。(以下続稿)

*1:「白馬岳の雪女」に関連して、どのような改訂がなされるか刊行予告が出た時点から注目していた。