瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(139)相撲

 祖母の家には小型の液晶テレビがあったが、付いていた記憶は殆どない。耳が遠くなって、台詞が聞き取れないのでドラマなどは久しく見ていないようだった。大きな声でしっかり話せば聞こえるので、買物などでは困らない。90代には見えなくても80代には見えたから、店員が声を大きくして応対してくれる。それで、長男夫婦が上京した折に、近所の補聴器専門店でかなり良い補聴器を買ったのだが、結局付けなかったようだ。この補聴器は仏間の硝子棚の横、箱に収まったままになっていて、そのままにして来た。テレビを付けていなくとも本を読んでいれば満足な人だったので、耳が遠くなると共にテレビを見なくなってしまったようだ。ラジオも聞かない。音楽は(後述すると思うがその趣味がなかった訳ではないのだが)そもそも聴く趣味がなかったようでレコード・カセットテープの類は全く見なかった。再生機器もない。CDプレイヤーは家人が買った小型のものがあったが、これは長女(家人の伯母)が翻訳した英詩を気に入って曲を付けてくれる作曲家が2人ほどいて、家人が著作権を継承したので出版の度に版元2社から楽譜とCDが送られて来る。その楽譜とCDを祖母のところに持って行って、聴いて下さい、と云う訳なのだが結局聴かなかったらしく未開封のCDが何枚もそのままにしてあった。
 そんな祖母が最後まで見ていた放送が、大相撲なのである。――行きつけの料理屋にお供するときには大体、夕方6時の開店時に予約を入れるので、その前に祖母の家に伺うことになる。そのとき、大相撲中継が付けてあったことがあるような記憶が、微かにある。尤も、私たちが来てしまうと私たちの応対の方に掛かって、和菓子を出して緑茶を入れて、私たちに一服させてから、さぁ出掛けましょう、と云う段取りで、そんなにしっかりは見ていなかったのだけれども。千秋楽の日だと家を出る前に優勝が決まっているから、そこまで見てから出掛けたように思う。
 私が会った当時の贔屓は朝青龍であった。しかし大のお気に入り、と云った風ではなかった。
 家人によれば、貴乃花が大のご贔屓であったとのことで、しかしもう現役引退していたからどの程度であったのか直接見聞きする機会はなかったのだが、祖母の部屋を整理していて相当なものであったことが分かった。
 私も貴乃花を贔屓にしていて、洗脳騒動のときも、母がいくら考えが違うと云っても家族と口も利かないと云うのは駄目、と貴乃花を批判したのに対し、そもそも3敗したら横綱昇進はない、と云っていたのに兄弟横綱で盛り上げようと云う目論見から我慢出来ずに若乃花を昇進させてしまった協会に批判的だった私は、あんなへなちょこ相撲の兄と相撲観が違うなんてのは当然のことだ、と断乎貴乃花を支持したのである。だから花田虎上が引退後アメリカンフットボールを始めたり、不倫が原因で離婚したりして、家人の母は「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」と言って若乃花贔屓だったので、家人との電話で不倫で離婚と聞かされたとき「ひえっ!」と言って絶句したと云うのを私は高みの見物のような気分でいたのだが、貴乃花のその後もまぁ散々なもので、私が天下の愚策の1つと思っているふるさと納税の返礼品*1サイト「ふるなび」のCMなぞに出演して、あの音痴な歌や棒台詞を見る度に家人に贔屓力士の没落振りをからかわれては「言うたるな」と苦しげに答えるしかない私としては、祖母がこうした貴乃花の「浅ましく下れる姿」を認識することがなかったのがせめてもの救いのように思えるのである。
 それはともかくとして、少しはそれ以前のこと、柏鵬時代や双葉山の69連勝のことなども、聞いて置けば良かったと今更ながらに思うのである。
 ここには、相撲に関する本、雑誌、スポーツ紙などを纏めて置きたい。
講談社文庫 と 37-1 銅谷志朗『満員御礼! 大相撲なんでも早わかり1996年1月15日第1刷発行・定価466円・253頁

※ 帯あり「最新刊」書影に同じ。表紙側折返し「オリジナル文庫BOX/「庫之介」ブレゼント !! 」で「➍プレゼント期間は1996年12月末日まで。」。裏表紙側折返しは「INPOCKET〈直接定期購/読のご案内〉」。
※ 栞あり「講談社文庫」裏面「講談社文庫「マザー・グース 1」より」の「えっさか ほいさ/ねこに バイオリン/‥‥」
 一昔前の状況をおさらいするには良い資料になりそうだ。これは寝間の本棚にあったと思う。
 居間のソファの脇に歴史の雑誌などとともに次の1冊があった。
・「Gallop」臨時増刊 3月6日号/サンケイスポーツ特別版「さよなら平成の大横綱 貴乃花」引退速報(2003年1月23日発行・定価571円・産業経済新聞社・78頁・28.5×23.5cm) この書影は右側が少し切れており、左の二の腕のテーピング、それから左膝の出血が欠けている。
 居間の隅の9段の簞笥の前のマガジンラックにはセコムから毎月送られてくる雑誌が、一部未開封のまま何冊か差してあったが、そこに次の1冊が紛れていた。
・別冊NHKウィークリーステラ「NHK大相撲中継 九州場所展望号」通巻164号(平成14年11月1日発行・定価581円・(財)NHKサービスセンター・64頁・B5判)
 書影を表示出来ないが表紙写真は土俵入りの際の貴乃花で最上部に「復 活 !! 貴 乃 花」とある。巻頭1~6頁の特集が「完全復活!! 貴乃花/華麗な雄姿、再び」で、祖母が買った目的は明らかである。
 寝間の鏡台の脇の本立ては、枕許に当ると思われるのだが、ここにも何冊か並べてあった。
・別冊NHKウィークリーステラ「NHK大相撲中継 春場所展望号」通巻154号(平成13年3月1日発行・定価581円・(財)NHKサービスセンター・112頁・B5判~
 やはり書影を表示出来ないが表紙写真は稽古場で笑顔の貴乃花である。
・別冊NHKウィークリーステラ「NHK大相撲中継 名古屋場所展望号」通巻156号(平成13年7月1日発行・定価581円・(財)NHKサービスセンター・112頁・B5判)
 やはり書影を表示出来ないが表紙写真は土俵入りの際の目を剥いた貴乃花である。
 特に欲しくなったものだけ買ったのか、それとも毎号買っていて、特に残してたいものだけ取って置いたのか。
・別冊NHKウィークリーステラ「NHK大相撲中継 平成17年 部屋別 全相撲人名鑑」(平成17年1月1日発行・(財)NHKサービスセンター・頁付なし・B5判)
 これは「初場所展望号」の付録と思われるのだが「初場所展望号」本体は見当らなかった。1枚刷(49.5×34.5cm)の「大相撲初場所星取表  平成十七年一月九日から十五日間」には「別冊NHKウィークリーステラ「NHK 大相撲中継」付録」とあって同じ号の付録である。
・別冊NHKウィークリーステラ NHK大相撲中継「決まり手集 82手と5勝負結果のすべてNHKサービスセンター・25頁・B5判)
 これも25頁(裏表紙の裏)に「平成17年大相撲カレンダー」があるから同じ号の付録であろう。裏表紙の左下にゴシック体横組みで「発  行●NHKサービスセンター/編集協力●NHK情報ネットワーク/監  修●日本相撲協会 大山 進/イラスト●峰村 勝子」とある。
・「日刊スポーツ」第19827号(2001年5月28日・日刊スポーツ新聞社・32頁)
 1面は「貴 鬼だ!! 鬼が勝った」との見出しで上述「さよなら平成の大横綱 貴乃花」と同じ場面の写真。「右足引きずり 武蔵投げた」「独走一転/決定戦」「右ひざ震え/左ひざ流血」「感動14秒・・・/22度目賜杯」の文字が配される。祖母が保存していたのは外側の2枚(1~4頁・29~32頁)だが他に相撲の記事はない。別に取って置いたのか、それとも間違って捨ててしまったのか。
 それから角背の雑誌が何冊か、
・「大相撲」第46巻第4号(通巻512号)平成12年春場所総決算号(平成12年4月1日発行・定価八一九円・読売新聞社・174頁・B5判)
 表紙は若乃花の写真で「若乃花引退特集号」の文字が左側に大きく入り、優勝者は右下に小さく賜杯を持った写真と「32歳/涙の初優勝」と云う扱い。
 祖母は貴乃花ほどではないにしろ、若乃花も贔屓にしていたようである。いや、私とて協会が無理に横綱にしなければ別にそこまで毛嫌いしなかった。
・「大相撲」第47巻第2号(通巻522号)平成13年 初場所決算号(平成13年2月1日発行・定価七六二円・読売新聞社・146頁・B5判) 表紙写真は賜杯を持つ貴乃花で「V21/帰ってきた「日本一」」背後に万歳する関係者。
・「大相撲」第52巻第5号(通巻585号)平成18年 夏場所展望号(平成18年5月1日発行・定価八一九円・読売新聞東京本社・138頁・B5判) 表紙写真は白鵬
・「相撲」第57巻第4号 通算749号 春場所総決算号(平成20年4月15日発行・定価790円 ㈱ベースボール・マガジン社 146頁) やはり朝青龍はお気に入りだったようだ。(以下続稿)

*1:ふるさと納税なぞやらなくても良いが、どうしてもやりたいと云うのであれば返礼品抜きでやるべきだ、という考えである。今のまま続けるのであればまづ実態にそぐわない「ふるさと」を省き、返礼品が制度の目的と化していることを強調するべきである。しかしマスコミはこういう奇怪な制度と言葉のまやかしを全く批判しなくなった。夕方のニュース番組などでは魅惑の返礼品の宣伝ばかりしている。