瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(146)山本周五郎

 山本周五郎の小説は、2011年1月1日付「森鴎外『雁』の年齢など」に述べたような理由で、私は読んでいない。父の本棚にもそこそこあったと思うのだけれども。
 穏健な読書家で時代小説を特に愛好していた祖母は、昭和50年代に続刊されていた新潮文庫を中心に、かなりの冊数を買い込んで読んでいた。
 今の部屋に転居する20年程前の、限定された時期に纏めて買ったためであろう、これまでに見た司馬遼太郎藤沢周平佐伯泰英等の著作と違い、大多数が同じ場所に保管されていた。よって客間のクローゼット右側2段めにあったものは註記しない。
 =客間クローゼット右側1段め
 右伯=客間クローゼット右側伯母の訳書などとともに
 =客間クローゼット左側1段め
 =客間のクローゼット左側の床の上の段ボール
 =寝間(確か本棚でないところ)
 寝本=寝間の本棚
 =仏間の本棚
 なお、新潮文庫は当初、夏目漱石川端康成など点数の多い作家は作家毎に同じ装画のカバーを掛けていた。山本氏もカバー表紙折返し右下に「カバー 佐多芳郎」とある、佐多芳郎(1922.1.26~1997.12.16)の水色で描いた装画を使用していた。初めは裏表紙まで、後にその裏表紙の右上に紹介文が入り、その後、裏表紙は白地になっている。この装画がカバー表紙・裏表紙の両面か、カバー表紙のみかは、次の符号でメモして置いた。
 =カバー表紙・裏表紙
 =カバー表紙のみ
 この符号のないものは現在と同じように作品毎にオリジナルの装画になっているか、祖母の蔵書がカバーを欠いているものである。
新潮文庫(新潮社)
1222/草134H小説 日本婦道記』昭和三十三年 十 月二十五日 発   行・昭和四十六年十二月 三十 日 十九刷改版・昭和五十一年 一 月 二十 日 二 十 六 刷・¥ 220・241頁
1614/や-2-1『樅ノ木は残った(上)昭和三十八年十一月 十 日 発   行・昭和六十二年 十 月 二 十 日 五十刷改版・平成 十 二 年 三 月 十 五 日 七 十 五 刷・定価705円・528頁

※ 通常のカバーの上に「新潮文庫20世紀の100冊」カバー掛かる。「1954年」が本作。
1615/や-2-2『樅ノ木は残った(下)昭和三十八年十二月 二 十 日 発    行・昭和六十二年十二月 十 日 四十九刷改版・平成 十 二 年 三 月 十 五 日 七 十 三 刷・定価781円・594頁
※ 通常のカバーの上に「新潮文庫20世紀の100冊」カバー掛かる。「1954年」が本作だが(上)にあった1954年の表紙に2行、裏表紙の左下にあった世相の紹介、右下にあった関川夏央に拠る山本周五郎の紹介が(下)のカバーにはなく、表紙の「この年、「樅ノ木は残った」新聞連載開始」のみになっている。
1658/草134G『大炊介始末』昭和 四十 年 一 月三十日 発  行・昭和五十一年 六 月二十日 十 八 刷・¥ 320・414頁1699/草134I『日日平安』昭和 四十 年 六 月十五日 発  行・昭和五十一年 一 月二十日 十 六 刷・¥ 280・394頁1727/草134K『虚空遍歴(上)昭和四十一年 九 月 十 五 日 発  行・昭和五十六年 七 月 十 五 日 二十三刷・定 価320円・328頁
1728/草134L『虚空遍歴(下)昭和四十一年 十 月 三 十 日 発  行・昭和五十五年 一 月 十 五 日 二 十 刷・定 価320円・352頁
 画像検索ではヒットするが Amazon では書影を表示出来ない。上下で同じ絵柄を色違いで印刷している。
1961/草134O『おごそかな渇き』昭和四十六年 一 月二十五日 発  行・昭和五十六年 八 月 十 日 十 七 刷・定 価360円・407頁
※ 帯あり「新潮文庫 =山本周五郎全集発刊記念=山本周五郎の世界」
1961/や-2-15『おごそかな渇き』昭和四十六年 一 月二十五日 発    行・平成 二 年 三 月 三 十 日 三十二刷改版・平成 十 二 年 二 月 十 五 日 四 十 七 刷・定価590円・416頁
 カバー表紙は次の映画の写真を使用し、最上部の標題も映画の題字「雨あがる」を横に並べ、その下に橙色の明朝体を白く縁取りした著者名。写真はカバーの方が上部の空が広く取られている。 但しカバー背表紙の標題は「おごそかな渇き」で本体も同じ。カバー表紙のみ改題したようになっている。カバー折返しはカラー写真が3点ずつ、全て主演の寺尾聰を写しているが表紙折返し・裏表紙折返しとも2つめにヒロインの宮崎美子が写る。文字はカバー表紙折返し、3つの写真の右、表紙写真の間を僅かに白地にして、その下寄せ左寄りに明朝体で1行「題字/黒澤明 写真提供/アスミック・エース エンタテインメント」とある。
1977/草134=17『ながい坂(上)昭和四十六年 七 月 十 五 日 発  行・昭和五十九年 九 月 十 日 二十二刷・定価400円・426頁
1978/草134=18『ながい坂(下)昭和四十六年 七 月 十 五 日 発  行・昭和 六 十 年 二 月 十 日 二十五刷・定価400円・429頁
1982/草134P『正雪記』昭和四十六年 四 月三十日 発  行・昭和 五 十 年 十 月三十日 七  刷・新潮社・675頁
※ カバー欠、よって定価不明。
2046/や-2-19『つゆのひぬま』昭和四十七年 二 月二十八日 発  行・昭和六十一年十二月 五 日 二十六刷・定価440円・383頁2141/草134W『松風の門』昭和四十八年 八 月三十日 発  行・昭和五十一年 五 月二十日 六  刷・¥ 320・403頁
2155/草134X『深川安楽亭昭和四十八年十一月三十日 発  行・昭和四十九年 二 月 五 日 二  刷・¥ 320・404頁2528/草134d町奉行日記』昭和五十四年 三 月二十六日 発  行・昭和五十六年 三 月 二 十 日 十  刷・定 価360円・396頁※ 帯あり、緑色地、表紙側左半分が主演の仲代達矢のモノクロ写真、右半分、横組みにて、まず黒のゴシック体で「フジTV系」次いで白抜きで題のみゴシック体、3行めは右詰め「時代劇スペシャル/「着ながし奉行」/原作」とあり、下に左詰め「新潮文庫」次いで1行右詰め「[草]134d/定価360円」と細い黒のゴシック体で添える。このテレビTVは昭和56年(1981)5月1日放送だから十刷が出た当座からのこの帯だったのか、それとも直前に追加で掛けたのかが気になる。
2528/や-2-29町奉行日記』昭和五十四年 三 月二十六日 発  行・平成 十 二 年 二 月 五 日 五十三刷・定価552円・396頁
※ 帯あり、表紙側は横組み、上部3/5はクリーム色地で「」下部左は黒字に白抜き「市川崑〈監督/作品〉」割書は細いゴシック体、監督名の下に紫色の細いゴシック体で「新潮文庫」、「」の下から右は薄浅葱色地で、まづ黒の明朝体に細いゴシック体で「役所広司 主演」、その下は白抜きで、下が細くなっている「\」と「/」の間にゴシック体で2行「2000年5月13日(土)/全国東宝系ロードショー」その下に明朝体でごく小さく「©2000「どら平太」製作委員会」と添え、右に斜めに黒い小判型に明朝体白抜きで「原作」これは丁度「」の下右に添えるような按配になっている。背表紙側はクリーム色地で隠しているカバー背表紙と同じ整理番号、レーベル名、定価が入るが整理番号のところ白く抜いているがほぼ無意味である。この整理番号の上にゴシック体で横並びに「映画化」とある。裏表紙側は縦組みで右側に黒地に白抜きで「脚本[四騎の会]  /黒澤明木下惠介市川崑小林正樹」1行めは楷書体で人名明朝体、次いで薄浅葱色の太線を挟んで薄紫色の鮫小紋地に「【出演】役所広司浅野ゆう子|宇崎竜童/片岡鶴太郎菅原文太」とこれは1行めのみ明朝体で人名楷書体。折返しは少し外側の地色が入り込んでいるが白地で、裏表紙側折返しの左下に明朝体縦組みでごく小さく標題。
 カバー表紙の写真は次のDVDのパッケージと同じ写真を使っている。 映画のタイトルは帯に使われており、帯に隠されているところは最下部左詰めでレーベル名があるのみ。ゴシック体横組みで最上部左詰め著者名、その下に薄浅葱色の斜体で「Yamamoto shûgorô」と添え、標題は役所氏の右に「町奉行」左に「 日記」と赤の明朝体太字縦組みで大きく示す。帯のない状態でのカバー全体のレイアウトは yojiro のブログ「みずすまし亭通信」の2012年07月03日「山本周五郎「町奉行日記」どら平太」にて察することが出来る。折返しにカラー写真が3点ずつ、カバー表紙折返しの3点めの下、左詰め「写真:©2000「どら平太」製作委員会」と明朝体横組みで添える。
2596/草134e『一人ならじ』昭和五十五年 二 月 十 五 日 印  刷・昭和五十五年 二 月二十五日 発  行・定 価320円・367頁2655/草134=32『人情裏長屋』昭和五十五年 九 月 十 五 日 印  刷・昭和五十五年 九 月二十五日 発  行・定 価360円・376頁寝本
2733/草134=33『扇野』昭和五十五年 九 月 十 五 日 印  刷・昭和五十五年 九 月二十五日 発  行・定 価360円・376頁2754/草134=34『寝ぼけ署長』昭和五十六年 八 月二十五日 発  行・昭和五十六年 九 月二十五日 三  刷・定 価320円・317頁2755/草134=35『あんちゃん』昭和五十六年 八 月 十 五 日 印  刷・昭和五十六年 八 月二十五日 発  行・定 価360円・379頁2810/草134=37『やぶからし昭和五十七年 一 月 十 五 日 印  刷・昭和五十七年 一 月二十五日 発  行・定 価360円・378頁2959/草134=41『月の松山』昭和五十八年 二 月 十 五 日 印  刷・昭和五十八年 二 月二十五日 発  行・定価360円・365頁2997/草134=42『花匂う』昭和五十八年 四 月 十 五 日 印  刷・昭和五十八年 四 月二十五日 発  行・定価320円・309頁3683/や-2-51『夜明けの辻』昭和六十一年 九 月 十 五 日 印  刷・昭和六十一年 九 月二十五日 発  行・定価400円・318頁
※ 帯あり「歴史・時代小説フェア」裏表紙側「歴史・時代小説フェアの新刊」10点12冊の3点め本書。
5875/や-2-61『明和絵暦』平成 九 年 三 月 三 十 日 発  行・平成 十 二 年 五 月 十 日 四  刷・定価705円・530頁
 祖母が熱心に山本氏の作品を買っていたのは昭和51年(1976)から昭和58年(1983)と云う見当になろう。次のシリーズはやや先行する。 
・『山本周五郎小説全集』新潮社・四六判並製本
11『五瓣の椿』昭和四十二年十一月 三 十 日発 行・昭和四十八年 三 月 二 十 日十三刷・定価四〇〇円・255頁右伯
2『柳橋物語・むかしも今も・花筵』昭和四十三年 七 月三十日発 行・昭和五十一年 六 月三十日十六刷・定価 七五〇円・389頁寝本
※ 帯あり、橙色地、恐らく書影に同じ
25『おたふく物語』昭和四十四年五月 三 十 日発 行・昭和五十一年四月 三 十 日十五刷・定価 七五〇円・361頁寝本
・Roman Books講談社)新書判並製本
赤ひげ診療譚昭和37年4月20日 第1刷発行・昭和47年9月20日 第4刷発行・257頁
 カバーが失われているので定価不明。
・『全集未収録作品集』実業之日本社・B6判並製本
7『滑稽小説集』昭和五十年 一 月 十 日 初版発行・昭和五十四年十月十五日 12判発行・980円・292頁寝本
 新潮文庫は映画のカバーの2冊だけ手許にある。他は全てメモに拠っている。しかしそれにしても、まだ未入力のメモは200冊はあって、それに昨年来持ち帰ったままになっているもの、時間切れで廃棄を前提に持ち帰った雑誌などもあり、祖母の蔵書整理は中々先が見通せない。いや、何となくは分かっているのだが、点数が多い。そこで翻って我が身のことを思うに、――整理する人がいないのだから、自分で見切りを付けて片付けて行かないといけない。溜め込む一方だったが捨てて行こう。祖母の本も先日、相撲雑誌を纏めて捨てたが、この週明けにはパズル関係の数十冊を古紙回収に出すつもりである。もし興味があると云う人がいれば御一報、送料着払いで進呈します。それから、しばらく行っていなかったが新古書店に持って行く本も溜まって来た。古本屋に約束している本の整理が滞っているが、これは涼しくなってからにしよう。
 山本周五郎に話を戻して、――ベテランの古本屋曰く、10年前だと売れたんだが、とのことで、新古書店に持ち込むつもりの映画のカバーの2冊を除く全てを、祖母宅にそのまま残して来た。昨日の昼、買物の序でに祖母宅の下を通って見上げると、仏間の障子はそのままだが、隣の客間のカーテン、居間の出窓のカーテンが取り外されていた。近隣のマンションからはがらんどうになった祖母宅が見えるのだろう。私が作家・内容別に分類して段ボールに詰めて仏間に並べて置いた祖母の蔵書は、どうなっているのだろうか。