瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小堀杏奴 編『森鴎外 妻への手紙』(1)

ちくま文庫

妻への手紙 (ちくま文庫)

妻への手紙 (ちくま文庫)

 森鴎外小堀杏奴 編『妻への手紙』一九九六年九月二十四日第一刷発行・定価602円・238頁。
・二〇一〇年十月二十日第二刷発行・定価800円・238頁*1
 カバー表紙折返しに鴎外の写真、横書きで1行13字で15行の略伝、その下に小堀杏奴(1909.5.27〜1998.4.2)の4行の略伝、写真はない。編者の生前に刊行されている。一番下に「カバー装画 安野光雅」。
 奥付の前の頁に「本書は一九三八年一一月、岩波書店より刊行された。」とある。
岩波新書17*2
 奥付には「岩波新書(赤版) 17」とある。岩波新書昭和13年(1938)創刊。私が見たのは上製本B6判の特装版(1938年11月20日第1刷発行・1982年3月19日特装版発行Ⓒ・定価800円・227頁)。
 以下、岩波新書版とちくま文庫版とを比較しながら記述してみる。
 まず、書名が違う。岩波新書版では「森鴎外」は標題に小さい活字で冠してあるが、ちくま文庫版では著者扱いである。
 岩波新書版は扉があって、目次はなく、1〜187頁に手紙の翻刻、189〜227頁に小堀杏奴「父の手紙」。1頁白紙で奥付、その裏が岩波茂雄岩波新書を刊行するに際して」で「昭和十三年十月靖國神社大祭の日」付。目録類はない。特装版は(それ以前の増刷で既にそうだったのだろうが)表紙(の文字)と扉・奥付は組み直されている。
 ちくま文庫版は1頁(頁付なし)扉、3〜4頁(頁付なし)目次、5頁(頁付なし)中扉、7〜190頁に手紙の翻刻、191〜227頁に小堀杏奴「父の手紙」。229〜238頁「解説 夜更け、風のなかの足音……」森まゆみ。目録類はない。
 鴎外が妻にわざわざ手紙を書く機会は、「明治三十七年」「明治三十八年」「明治三十九年」と「大正四年」「大正七年」「大正八年」「大正九年」「大正十年」「大正十一年」で、岩波新書版を見るに、前者は1頁「明治三十七年」の章題の左に「* 一より一三九までは出征第二軍軍醫部より東京市芝區明舟町十九番地荒木邸方森しげ子宛」と小さく注記がある。後者は149頁「大正三年」の章題の左に同様に「* これ以後は全部奈良帝室博物館より東京市本郷區千駄木町二十一森しげ子に宛てたもの」とある。ちくま文庫版では前者は7頁、後者は153頁、注記はそれぞれ章題の右に「より」の次で改行して2行になっている。(以下続稿)

*1:2016年10月4日追加。

*2:2017年12月7日追記】書影を2017年12月7日付「小堀杏奴『晩年の父』(1)」に貼付した。