瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『それから』の文庫本(1)

・角川文庫321(1)
 たまたま4種類のカバーを見たので、メモしてみることにした。いづれもその本の発行日の前に「昭和二十八年十月五日初版発行・昭和四十二年十月三十日四十三版発行」とあるのだが、363頁のものと335頁のがあって、奥付に示されていない改版があるのである。まず、現行のものだが、このカバーはまだ見たことがない。

それから (角川文庫)

それから (角川文庫)

 私の見たのはこうなる前のもので、カバー表紙折返しの下部に「カバーわたせせいぞう」とある。なか見!検索では、このわたせせいぞうのカバーの「平成十九年五月十五日改版六十九版発行・定価380円」を見ることが出来る(これもいつ差し替えられるか分からないが*1)。
・平成十八年三月二十日改版六十八版発行(335頁)定価400円
・平成二十年十一月十日改版七十一版発行(335頁)定価400円
 改版六十八版と改版七十一版のカバーは同じ。しかし、なか見!検索で見る改版六十九版のカバーは、表紙は一致する(背表紙は見えない)が他が違っている。すなわち、表紙折返しは(写真が消去されているが)3月22日付「夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(05)」に記述し昨日も言及した角川文庫79『坊っちゃん』改版八十五版(定価280円)と一致するようだ。裏表紙折返しに挙がる15点もこれに一致するが、下部に「カバー 泉文社 R」とある(Rは◇で囲われている)ところは違う。裏表紙は後述する改版五十七版のそれに近いので、後述する。
 改版六十八版のカバーだが、背表紙は肌色地、上部に「 1-6」ゴシック体で著者、その下で囲われたがあって、太字の明朝体で標題、下部に「角川文庫|■」。裏表紙は左上にバーコード2つ、その下にISBNコード13桁、Cコードに「\400E」、「定価本体400円(税別)」とある。表紙折返しは上部に縮小した範囲も減らした写真に、横組み24行(1行17行)の紹介文、裏表紙折返しには3月23日付「夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(06)」で見た、角川文庫13390『坊っちゃん』改版九版に同じ「角川文庫|夏目漱石の本 ||」11点。
 さて、改版六十九版のカバーが定価380円で、改版六十八版のカバーが定価400円なのだが、これは返本されたものに新しい定価の入ったカバーをかけて再出荷したものと思われる。
 奥付、それぞれの発行日の他、発行者が改版六十八版と改版六十九版の間で変わっている。また、改版六十八版は発行所のみだったのに対し、改版六十九版では発行所とは別に発売元が記載されている。従って、前者で「電話」が「編集/営業」と2つ記載されていたのが、後者は発行所に「電話・編集」が、発売元に「電話・営業」が記載されている。後者は住所は同じものが2箇所に記載されているのが、同じ住所なのに郵便番号は違っていて、前者にあった番号は発売元の方と一致する。前者にあった「振替」番号の変わりに後者はHPアドレス、前者「小社受注センター読者係」が後者「角川グループ受注センター読者係」に、また匡郭内にあった「定価はカバーに明記してあります。」が後者では匡郭外、左辺の下部に移されている。
 奥付の裏、角川源義「角川文庫発刊に際して」があって、最後に「角川文庫ベストセラー」1頁に7点の目録が14頁、なか見!検索では一部消去されているが一致するようだ。改版六十八版と改版七十一版は一致。(以下続稿)

*1:2015年7月30日追記】何故か「定価38円」となっていたのを修正した。現在でもわたせ氏のカバーの改版六十九版が示される。