瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

村上春樹『ノルウェイの森』

 村上春樹の小説は、読んだことがない。いや、アンソロジーに収録されていた短篇を1つ読んだことはある。けれども、村上春樹の本というのは読んだことがない。それは、このブログの初期に書いた、有名な、皆が読むような作家の小説は、私が読まなくても皆が読んでるんだから、構わないだろう、という妙な理屈で所謂「名作」を読まなかったのと同じではなくて、大体が新作の小説を殆ど読まないので、それは村上春樹に限らない。のだけれども、やはり私の中でも村上春樹は特別(?)で、読まない理由があるのである。
 ――『ノルウェイの森』がブームになったとき、私は高校生だった。同級生に、コバルト文庫で作家デビューするとほざいている野郎*1がいて、その野郎がある日、これ見よがしに『ノルウェイの森』を教室に持ち込んだのである。例の、赤いカバーと緑のカバーで、金色の帯*2が付いている2冊を見せびらかして、彼は、こう言った。
「どや。おしゃれやろ」
 それで、カチンと来たのである。
 誰が読むか、と思った。

ノルウェイの森(上)

ノルウェイの森(上)

ノルウェイの森(下)

ノルウェイの森(下)

 けれども、そんな素振りを見せずに調子を合わせていると、拒否反応を示さないと見て調子に乗った彼は、特に仲が良かった訳でもないのに、頁を開いて気に入った場面を見せて来るのだ。――緑という女性が、全裸になって鏡に映してあんなポーズをしたりこんなポーズをしたりした、という話を主人公にする、そんなような場面だった。
 正直、なんじゃこりゃ、と思った。どうせ下らん話なんだろう、と決め付けた。
ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (下) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (下) (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 公式ガイドブック (1週間MOOK)

ノルウェイの森 公式ガイドブック (1週間MOOK)

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

 或いは、こんなことで拒絶するなど、自ら幅を狭める行いだと思われるかも知れない。しかし、どうせ限りある人生にこの世の全ての本を読尽せはしないのである。だから村上春樹は彼らに任せて置けば良いと思った。
 その後も、読もうという気が起こらなかった。今回は1週間で100万部とか言っているけれども、あのペースでは良いから売れているのではなくて、煽って強迫観念を植え付けて、買わせているのだろう。売れているから買ってみるか、と思わせて、買わせているのだろう。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

 一部芸能人や一部スポーツ選手の煽り方に似たものを感じて、嫌な感じしかしない。
 尤も、今や血気盛んだった高校時代は遥か昔、どうにか生きているオッサンになって、『ノルウェイの森』にかつてのような反感が沸き上がることも、なくなった。どんな話なんだか、今でもよく分からないのだけれども。

*1:今、彼の当時のペンネームで検索してみたが、名前占いのページ以外、ヒットしなかった。別の名前で出ているのかも知れないし、人のことは言えないのだけれども。

*2:ここに書くに当たってネットで調べるまで、赤いカバーに金の帯、緑のカバーに銀の帯だと思っていた。それでも当時のこととしてはよく覚えていた方である。