瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介『地獄變』の文庫本(4)

集英社文庫地獄変』(2)
 3月16日付(3)の続き。
 カバー表紙折返し、上部の顔写真は一致。但し森村氏のカバーは3.3×2.5cmで、その下に縦組み明朝体で、

芥川龍之介(一八九二〜一九二七)
東京生れ。東京帝大英文科卒。|早くから/文学的才能を示し、『鼻』(一九一六)|が/漱石に認められ、文壇生活の出発と|な/る。歴史に材をとった多くの短篇は、/端麗な文体と人間性の深い洞察により、/|多くの読者の支持を得ている。


 森村氏のカバーでは全て明朝体だが小畑氏・久保氏の文字は全てゴシック体横組みで、写真(2.3×2.0cm)の左に「芥川龍之介あくたがわ・りゅうのすけ(1892〜1927)」とあり、その下に朱色の横線(4.5cm)があって以下、6行の紹介文は森村氏のカバーとほぼ同じで1行めは「東京生まれ。東京帝国大学英文科卒業。/」と若干異なるが、2行め以降は同文である。先の引用に「|」で改行箇所を示した。行末(1・4・5行め)の句読点が半角になっている。二重鍵括弧が半角であるの森村氏のカバーも同じ。
 下部、右寄りに横組みで3行「装画・森村 玲/AD・菊地信義口絵レイアウト・野崎麻理」とあり、左下隅に破線で上辺と右辺(2.2×2.5cm)を区切って「S」マークの下に横組みで「あ-22-1」。小畑氏・久保氏のカバーでは裏表紙折返しの右下に移されている。森村氏のカバーよりも小さい破線(1.8×2.1cm)でマークは将棋の駒に「S」を組み合わせたようなもので下にゴシック体「な-19-2」。
 小畑氏のカバーは3行「イラストレーション/小畑 健」「カバーデザイン/泉沢光雄」「口絵レイアウト/野崎麻理」、久保氏のカバーも3行「カバーデザイン/泉沢光雄」「イラストレーション/久保帯人」「口絵レイアウト/野崎麻理」。
 口絵は同じ。
 1頁(頁付なし)扉は第18刷は古い形式、第20刷と第22刷は現行の形式。
 第20刷と第22刷の本体、口絵から頁付のある最後262頁まで一致、第18刷も扉以外は一致。
 その次に第18刷は下部中央に小さく3行、

資料写真提供 ●口絵P2上より3段め中央/山梨
県立文学館 ●P2下/芥川瑠璃子 ●P4上/東宝
●P4下/大映 ●日本近代文学館 (敬称略)


 第20刷はこの前に1行分の空白を挟んでゴシック体で1行「口絵レイアウト/野崎麻理」とある。第22刷ではこれらは左側に明朝体で、

資料写真提供
●口絵P2上より3段め中央/山梨県立文学館 ●P2下/芥川瑠璃子
●P4上/東宝 ●P4下/大映 ●日本近代文学館(敬称略)

口絵レイアウト/野崎麻理

とあって、その右には何があるかというと同じ大きさの明朝体で〈おことわり〉と題して12行、2〜9行めまでは「羅生門」に「唖*1」という「差別的なニュアンス」の言葉が、「地獄変」に「盲従」という「差別を助長する」表現があること、そして6〜9行め

‥‥。さらに、本書の解説で、/芥川龍之介氏の「点鬼簿」の引用がありますが、その中で「狂人」という言葉が使われ/ています。この言葉も精神障害者の方への差別的な表現です。これらの言葉は、本来使/うべきではありません。

と纏めている。そして2つめの段落(10〜11行め)に「原文のまま」としたことを断っている。12行めは下寄せで「集英社文庫編集部」。
 その裏が奥付で第18刷は古い形式、第20刷と第22刷は現行の形式で、それぞれの発行日が異なるのみ。(以下続稿)

*1:ルビ「おし」。