瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

鳥越信『子どもの替え歌傑作集』(5)

・まえがき(4)
 1月5日付(4)の続き。
 鳥越氏が16頁に挙げた文献に、平凡社ライブラリー版に「二〇〇〇年」のものを2点追加しながら、17頁に単行本刊行の「一九九八年」現在の記述をそのまま残していることを指摘した。この辺りをもう少し詳しく見て置こう。
 単行本17頁2〜8行め、前回最後に引用した一文の続き、

‥‥。それは大阪国際/女子大学のコミュニケーション学科が出している雑誌「ポラーノ」*1の第八号(一九九七年三月)/に掲載された、竹内オサム・亥川朋子「子どもの替え歌」である。この文章は竹内が非常勤講/師をつとめる神戸女学院大学の学生・亥川の卒業論文をもとに書かれたもので、おそらく一九/九五〜九六年時点での調査と思われる。私が本稿のために、大阪府下の小・中学校の先生に調/査の協力を頼んだのが一九九三〜九四年だから、最も新しい資料ということになる。
 ただいずれにしても、網羅的なものがないというのは気になる。‥‥


 これが平凡社ライブラリー版17頁5〜11行めでも、そのままになっている。――「新聞連載」の「直後」というのは良いとして、「最も新しい資料」を平凡社ライブラリー版で改めていないのは「二〇〇〇年」の文献追加と矛盾するし、その「二〇〇〇年」刊行の文献のうち(L)有馬敲『替歌研究』について「子どものものも網羅した本」と評価する加筆をしていたのに「網羅的なものがない」とは、おかしい。
 完成されたものに部分修正を加えるのは、実は容易ではない。1箇所を書き換えると、そのことによって全体にわたって矛盾が生じることもある。このような場合、原文は取り敢えずそのままにして、追記で初版刊行後の状況を説明するべきだと思う。いづれ他の著者の本でこのことを説明したいと思っている。
 なお、1月4日付(3)に指摘した、単行本14頁9行めに存した奥田継夫『ボクちゃんの戦場』の刊年と版元(一九六九年、理論社)が、平凡社ライブラリー版14頁8行めでは省略された理由だが、単行本244頁「16ページにかかげた文献以外の参考図書目録(登場順)」の1点めに、

奥田継夫『ボクちゃんの戦場』(一九六九、理論社

と示されており、これとの重複として省いたのであろう。平凡社ライブラリー版では261頁「一六〜一七ページにかかげた文献以外の参考図書目録(登場順)」として同じ12点が並ぶ。なお目次ではともに「参考図書目録」である。表示の仕方が僅かに異なっているので、例として1点めを示して置こう。

奥田継夫『ボクちゃんの戦場』(一九六九年、理論社


 すなわち、単行本・平凡社ライブラリー版16頁の示し方に合わせたのである。そして17頁も含めたのは、竹内オサム・亥川朋子「子どもの替え歌」への配慮である。
 他に、9点めの著者が「林田正他」となっていたのを「林田正ほか」に改めている。(以下続稿)

*1:平凡社ライブラリー版は誌名二重鍵括弧。