瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(169)

【4月10日追記】
 以下の内容については、先方より誠意ある回答を得て解決しました。
 記事については備忘と自戒のため、そのままとして置きますが、現在何の問題もなきことをお断りして置きます。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 昨日の一件に関しては、四月馬鹿に託けて一言だけ釘を刺して、笑って済ませようと思っていたのですが、それにしても内容が奇妙なので、なおも色々と検索してみました。
 西日本化け物・妖怪愛好会の妖怪同人誌はまだ刊行されていないらしく、烏山氏の文章の題も分かりませんし、内容も初期の吸血鬼として赤マントを扱ったものくらいしか分からないのですが、2月25日にニコニコ動画にアップされた「[ゆっくり妖怪雑話] 赤マントは日本初の吸血鬼である」なる動画に気が付きました。

 途中まで見て、これは酷いなぁ。――と思っていたらなんと投稿者が「烏山奏春」なのです。
 冒頭「今回は、とある同人誌の企画の一環として、赤マントについて調べていましたので、その話をしたいと思います。」との前置きがあるので、同人誌の内容もこれとほぼ同じなのでしょう。
 しかも、――殆ど私の揃えた資料の使い回しじゃないか。うっかり『三田村鳶魚日記』を見落としていたくらいだ。一応「個人ブログ」として当ブログに言及してあるけれども。自分で直接資料に当たっていないから、典拠の示し方が良い加減である。こういうことをして欲しくないから、細かく現物に当たって、関係のないところまでメモを取っているんじゃないか。
 違いがあるとすれば『三田村鳶魚日記』の他に、吸血鬼に着目して『ノートルダム・ド・パリ』に触れたこと、それから要点の纏めがあることでしょうか。‥‥私は途中経過的な纏めしかしていません。総合的な纏めを書いていませんが、それは、それを書くと便利に使われてしまう――そこだけ見て、色々な論証の上に達した結論であると云う点を見ずに利用する者が出て来るのが嫌だからで、しかし資料を公開しているのは、プライオリティの問題があるからです。いくら資料を溜めても、日付とともに公開しなければプライオリティを主張出来ません。本当なら2月までに新聞・雑誌記事に回想・小説などの資料篇と、私は余り当て推量を述べたくないので、結局どのような事件だったのかを整理した考察篇から成る書籍に纏めたかったのですけれども、一昨年・昨年の勤務がきつく、その余裕を持てませんでした。しかし2月19日付(167)にも述べたように、赤マント流言80年で、或いは体験者からの情報が得られる最後の機会になりそうな今年中に、纏めたいと思っているのです。
 もちろん、誰もが見うる資料ですから、鳥山氏には「瑣事加減」を見たのではない(孫引き・剽窃ではない)と主張する余地は残されています。しかし、烏山氏は一応「個人ブログ/瑣事加減」の名前も出しています。けれども、殆どを当ブログに依拠しながら、脇筋にとどめて主筋を自分で調べたかのように装う辺り、確信犯的にさえ見えます。当ブログに触れているのは国立国会図書館マイクロフィルムで閲覧するしかない「報知新聞」や「國民新聞」だけです。しかし、私はもう5年以上前に今回烏山氏が引用した全ての新聞記事を当ブログに公開しているのですから、他の新聞記事だって当ブログに依拠していることは火を見るより明らかでしょう。それに、当ブログのことは廣田龍平の 2018年9月22日18:31 の tweet にて知っていたはずで、当然当ブログのプライオリティを承知していたはずなのです*1
 もちろん、ブログ記事が、例えば「Wikipedia」では「信頼できる情報源」とは見なされていないことは承知しています。しかし「検証可能性」を満たすレベルの記事として投稿しているつもりです。それをそのまま取ったものは、やはり「剽窃」と云うことになるのではないでしょうか。今はここに私見を述べるにとどめますが、商業利用と云うことになってくれば断固抗議するつもりです。そのために twitter のアカウントを作っても構わない。
 そして、クダンノシゴト―― twitter プロフィール欄に載る論考から検索するに笹方政紀と云う人らしいので、以下笹方氏と呼ぶことにしますが、笹方氏が昨日引いた3月11日付の tweet で「確認している事象は違いますが、していることが手に取る様に分かります。/いま、時間に余裕が無い私は羨ましい。/思う存分確認したい。/国会図書館関西館では不満も多いが、それでも通いつめたい。」と烏山氏に呼び掛けている理由がよく分かりました。
 笹方さん。貴方、褒める相手を間違えています。貴方が察したように国立国会図書館に通い詰めて、通う時間がなくなってからも何とか時間を見付けて、国立国会図書館でしか見られない資料を筆写し、入力し、書誌情報も揃えてネット上に公開したのは私です。私の公開した資料を殆どそのまま引き、それに私が付けた書誌情報や考証に依拠し、それなのにその膨大な作業量を察した笹方氏の感嘆 tweet に対してせいぜい、その返信 tweet にて「赤マントを調べるなら、やはりブログ「瑣事加減(https://samatsutei.hatenablog.com )」が一番情報が豊富でした。」と言ってお茶を濁した態度は、立派な「剽窃行為」だと云って差し支えないでしょう*2。内容的にも結論(まだ明確に書いていませんが、十分察することが出来ると思います)的にも、当ブログの方が先に進んでいることは明らかです。
 しかし、仕方がありません。甚だ気が重いのですぐに取り掛かることが出来るか、覚束ないのですが、遠からず「[ゆっくり妖怪雑話] 赤マントは日本初の吸血鬼である」の典拠について(そして如何に当ブログの成果を不十分に――これは意図的なのかも知れませんが――扱ったものであるかを)検証していくつもりです。
 取り敢えず笹方さん。貴方は史学系統の研究者のようですね。当ブログと烏山氏の寄稿とを検討なさった上で、研究者倫理に照らして良識ある対処をされることを期待する次第です。(以下続稿)

*1:今、確認して見るとなくなっているようですが、烏山氏も当初、この tweet に like♡ をしていたと記憶します。それは私が烏山氏のことを認識した最初でしたから。

*2:私の赤マント追究に大きな示唆を下さった、漫画家泉すずしろのブログ「スナーク森」の2013/11/09「『わたしの赤マント』について」のように、きちんと典拠として断ってもらえれば良いのですが、烏山氏の場合、そんなことを一々していたら殆どオリジナルの部分は残らなくなってしまう、すなわち、コンパクトに纏めた、と云うことの他に発表の意義自体が問われるような内容である、と云わざるを得ないのです。