瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

図書館派の生活(5)

 今週、都内の図書館の返却期限が来るのだが、これはもう、守らなくても良かろうか。
 館によっては来月中旬まで完全休館してしまうところも出て来た。
 先刻、今日の東京都の感染者数が減った、と受け取られそうなニュースが出たが、実は日曜日に都ではPCR検査をしていないだけらしい。それなのにこれで安心して、みんなの外出自粛、手洗い励行の効果が出たと感激して tweet してしまう医者(?)がいて、それが多数 Retweet されたり、♡されたりしている。――これは駄目かも分からんね。
 しかしそもそも、どうして数字の根拠をしっかり報道しないのだろうか*1。どの範囲で、これまでのデータと条件が同じなのか、違いがあればそれはどこなのか、そこのところを詰めていないデータは参考程度にしか使えない。いや、参考にもならない、気休めに過ぎないだろう。内陸の地震に「津波の恐れはない」と言うのと同じくらい、謎である。
 夕方、家賃を払いに銀行に寄ったら、これまでは「明日お取り扱いします」と表示されて手数料0円だったのが、今日お取引実行しようとして良く見ると「手数料220円」と出ている。慌ててやり直すと、これまでと違って「一部のお取引については明日お取り扱いします」との表示になっていて、さて決済の画面に進もうとすると「このお取引は本日お取り扱いします」と出やがった。余計なことするんじゃねえ。平日の開店時間内に来ないといけないじゃないか。ネットで入金したら手数料要らないのか。まぁこれまでずっと開店時間内に来られなくもない勤務だったから払いに来ていたのだけれども。

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 全世界で15億人の児童・生徒が登校を控えていると云うのに、最近漸く緊張感が高まって来た日本では再開させるらしい。
 急に独断で決めたのと、企業の休業とセットでなかったためにかなり批判を浴びた全国一斉休校だが、こうなって見るとかなり効果があったと見るべきなのではないか。残念ながら政府がPCR検査を相変わらず渋っているために、具体的な根拠を示すことが出来ないのだけれども。
 しかし、それ以外の対策はまるで駄目である。Korea が始めたドライブスルー検査を頑なに導入しない。若者は重症化しないと云う説(そりゃ老人に比べれば重症化しない確率が高いに決まっている)を垂れ流し、新学期から学校再開の方針を示して、オリンピック延期決定前の3連休に大幅な気の緩みを招いた。
 しかし、この再開決定によって全国一斉休校も熟慮の末の決断でも何でもなかったことを自ら暴露してしまった訳だが、児童・生徒の行動を抑制して得られた猶予の間、病床の増設や人工呼吸器の増産と云った手をまるで打って来なかったらしいのである。相変わらずマスクも買えない、アルコール消毒液も買えない、ガーゼすらない。それなのにマスコミも政府に追随して、オリンピック延期の影響がどうたらと云い続けている。そんなにオリンピック特需に与りたいのか。本気でオリンピックや IR や辺野古埋立やイージスアショア導入や憲法改正(正?)をやろうと思っているのだろうか。ただでさえ金、ないんだろう? これが良い口実になるんだからこの際、無駄なことは止しなさい。
 それはともかくとして、話を学校再開に戻そう。本当に再開出来ると思っているのか。――三つの密がいけない、と言っているが、教室なんて三密そのものである。学校によっては1クラスの人数が多過ぎて、周囲と1mの間隔を空けることも難しい。公立小中学校は徒歩だから良い。私立小中学校や高校・大学の電車・バス通学はどうなる。テレワーク推進で2月ほど混まないかも知れないが、通学時間中は相当混雑するだろう。
 少数ながら基礎疾患を持った生徒もいる。少しでも体調が悪ければ休むように指導するとして、授業は成り立つのだろうか。それよりも教員は安全なのか。若者が重症化しなくても、無症状の生徒から感染した教員が授業が出来なくなったら、どうするのだ。そもそも教員は少し体調が悪いくらいで休めるのか。いや、教員に感染の疑いが出たらどうする? 陽性になったら、もちろん学級閉鎖・学校閉鎖することになる。生徒が複数陽性になったら、どうする? インフルエンザどころでない期間、出席停止になる。一斉授業は成り立つのか。教員が重症化したら? その間に代わりの常勤講師・非常勤講師を探す? コロナウィルスの代替に手を挙げる猛者がいるのか。インフルエンザのように、稀に死に至る場合もあるが、殆どが後遺症もなく完治する病気なら良い。コロナウィルスはどのような影響が残るか、まだ分からないのだ。

 そういえば、先週終わってしまった連続テレビ小説「スカーレット」第22週「いとおしい時間」の3月7日(土)放映第132回にて、主人公の川原喜美子(戸田恵梨香)が親友の熊谷照子(大島優子)に、

「なんでなん? なんで武志が! なんか悪いことしたか? してへんで! なんも悪いことしてへん、ほやのになんで武志が……。あの子ええ子やで、ほんまええ子やで。ほやのになんで……なんで武志が……なんで……。なんもしてへん、なんも悪いことしてへんのやで。そやのに、そやのになん……なんでや……(啜り泣き)」

と泣きながら訴える場面があって、名演技ではあったが私は、病気になるのは行いが悪いからだ、と云う因果応報説に基づいていることにげんなりしたのである。同じ発想が所謂自己責任論の素地になっているので、コロナウィルスでもこのような、罹患した者が悪い、と云った発想に容易に結び付いてくるのではないか。いや、ドラマの中の時間は昭和58年(1983)だから仕方がないが、この発想が日本人には、未だ深く根付いていて、むしろ強まっているような気さえするのである*2
 このまま再開したら、誰が伝染させたのか、と云った話になって、そこに自己責任、不注意と云った色付けがなされてしまう。教室で感染爆発が起こって誰かが死んだら、消すことの出来ない傷跡を残すことになるだろう。再開を判断した側は責任を感じない、巻き込まれた方が傷付くのだ。
 いっそこの際、学校年度を9月に戻したらどうか、と云う意見を目にした。いや、戦時中、昭和19年(1944)から20年夏に掛けて、殆ど勉強させなかった時期もあるのだ。1年くらい学校を休んだってどうってことないだろう。この際、大学浪人以外は完全横並びの入学・卒業・就職をもっと自由にしても良いのではないか。和歌山県など囲い込みに成功して、感染爆発しなかった地域は4月から新学期を開始すれば良い。政府とオリンピックのせいで感染爆発した地域にお付き合いする義理はないのだから。しかし大都市圏はもう今年度は休止した方が良いだろう。
 と、この期に及んで、五輪開会式7月23日で調整、との速報が出た。何度でも言う。早く中止にしてくれ。中止にせずに今後、延々と無駄な調整に時間と資金を費やさないでくれ。‥‥仮に終熄して開催出来たとして、ここまで隠蔽と無策を重ね、この他にも諸々の悪行のある上に、自分がコロナウィルスに打ち克ったような顔をして開会を宣言するのであろうか。今から悪夢を見るようだ。

*1:夜のニュース番組では13人の根拠にも触れていた。その前に都知事の「不要不急の記者会見」があった訳だが。

*2:4月6日追記】4月4日、巣鴨地蔵通り商店街とげぬき地蔵尊の縁日で露店も並んで賑わっていたようだ。まさに「なんも悪いことしてへん」むしろ仏様に参拝に来たのだからそんな殊勝な心懸けの自分は罹患しない、罹患しても悪化しない、と思っているからであろう。罹患したら自分では気付いていないけれども、自分には実は悪いところがあったのだ、と思うのだろうか。いや、何も考えていないだけかも知れない。だって、4月4日付「花粉サイクリング(3)」にも書いたが、その前日の日中も、平和な春の一日と云った按配で、本当に気持ちが良かったのだもの。