瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

北杜夫『南太平洋ひるね旅』(4)

 昨日の続きで、①ポケット・ライブラリ版と②新装版について。
 書影は10月27日付「赤いマント(289)」に貼付して置きました。
 現在、新書にはカバーが掛かっておりますが、当時の新書にはカバーはありません。①の表紙は光沢のあるやや厚い紙で、文字は横組みで上部には右寄りに明朝体で標題、その下に以下の版には引き継がれていない「● ナマケモノの神の息吹きを浴びて」との副題、少し空けて「北 杜 夫」の著者名、飛行機から見下ろした環礁のカラー写真があって、最下部中央にゴシック体で小さく「ポケット・ライブラリ」のシリーズ名。
 ②の表紙は白地に、椰子が1本生え、水色と青の水に取り囲まれた焦げ茶色のドーム状の島の絵。椰子や島、水は切り絵で、椰子の横縞19本と水の周囲の7つの波が黒(もしくは濃紺)の万年筆で書き入れられている。文字は横長のゴシック体横組みで、最上部に幅一杯に大きく標題、中央やや右上にやや大きく「北 杜夫」。
 ①の背表紙は明朝体縦組みで上部に標題、中央に上空から見下ろした木々の生い茂った森の写真を木の形に合わせてほぼ円形に切ったものに緑色を被せたカット(径0.9cm)、その下に標題よりやや大きく「北 杜 夫」、2字分空けて小さく「25 」その下、最下部に版元名が入っているのではないかと思われるのだが分類票貼付のため不明。
 ②の背表紙は横長のゴシック体で、上半分に青で大きく標題、中央やや下にやや大きく黒で「北 杜夫」。最下部の版元名は横長ではないゴシック体。
 ①の裏表紙は左上に白黒写真(4.6×4.2cm)、草原(?)の向こうに壁のない、屋根ばかりが大きい家3棟と何本かの椰子を遠景に、現地の子供の肩を右後ろから軽く抱いて笑顔の北氏が写る。アロハシャツで右肩に大きな袋状の鞄を肩に掛けている。右傍下寄せに明朝体で小さく「東サモアの部落にて」のキャプション。その右にゴシック体縦組みで、

ハワイタヒチフィジー→ /ニューカレドニアサモア。 /アオレレ(飛ぶ雲)のように放浪したどくとるマンボウの紀行!

とある。その右、上に背表紙中央と同じような緑のカット(右上~左下1.0cm)。
 これら、リード文や写真の下、裏表紙の大部分を明朝体の紹介文が占めている。

日本の端、奄美、いや沖縄の海辺に立って太平洋の彼方を/見ると、……この向うは何処だろう、アメリカかな? と/思う。その前に何かあったようだ。ハワイだ。そしてその/南!、南太平洋の、日本へ回流してくる潮のちょうど上手/の方に、無数にちらばる島々。夜半にジェット機で羽田を/立つとホノルルまで一とび、夢のような気候のなかで、東/京の人よりはもっと日本式の一世が働き、二世が飛躍して/いる。タヒチ、フィジーニューカレドニア、東西サモア/となると、気持ちの良さにうとうとと、うっかり飛行機を/逃がせば一週間はおいてきぼり、丸木舟なら何日かかるか/見当もつかぬ。土人へみやげのビニール風船片手に、島か/ら島へと気の向くままのどくとるマンボウ単独行。ポリネ/シア娘をものにするなんてことより、もっと楽しい旅の味/を、胸いっぱい吸って歩く、日本脱出の二カ月。……風と/光と、観光の仮面を脱いだ生のままの大人、子供との交り/に、文明的ストレスも雲散霧消!


 バーコードで隠れているところもあるが裏から光を当てて何とか全部読み得た。
 最下部、中央上寄りに緑のカット(左上~右下1.0cm)、その左にやや大きく「¥ 200  」、右に「  新 潮 社 版」と明朝体横組み。
 ②の裏表紙は表紙と同じ絵をやや左寄りに載せ、文字は右下にゴシック体で「¥ 300」。
 ②は、カバーではないが折返しがある。しかし切除されていて、表紙折返しは上部に写真(縦2.7cm)、その下に明朝体縦組みの紹介文があったことが分かるが、1行め「夜半、ジェット機に乗り込んで日本を脱出すると、ホノルル‥‥」までが読めるばかりである。裏表紙折返しは下部に細いゴシック体縦組みで「装幀 柳原良平」とある。(以下続稿)