瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

奥野健男『文学における原風景』(2)

 5月31日付(1)の続き。
・『増補文学における原風景』一九七二年 四 月二五日 初 版第一刷発行・一九八九年 二 月一〇日 増補版第一刷発行・定価2,200円・集英社・302頁・四六判上製本
 本書の書影も既に3月15日付「奥野健男『北杜夫の文学世界』(5)」に貼付して置いた。そこに示したように初版とはカバー装画等も異なっている。
 カバーは白地で、折返しには何も刷られていない。
 カバー表紙、縦長の明朝体横組みで上部に「増補」と角書して大きく茶色の太字で標題。標題の下、左寄せで黒でやや小さく副題「原っぱ・洞窟の幻想」その右下に著者名。1辺12.3cmの正方形に抽象画。黄色を基調に草の蔓のようなものが主要部を占め、その中に黒線で幾つもの立方体が配置される。下部中央に小さく版元名、これのみ横長。
 カバー背表紙、上部に横長の茶色で明朝体で角書と太字の標題、副題はその下に縦長の黒で「原っぱ・  /洞窟の幻想」と割書。1字半空けて横長の黒で著者名、最下部にごく小さく黒で版元名。
 カバー裏表紙、最下部にOCR-Bフォントと明朝体で「ISBN4-08-772684-3 C0095 ¥2200E     定価2,200円」とある。
 見返し(遊紙)は茶色で麻布風のエンボス。
 表紙は獣皮様のエンボスの用紙に茶色の明朝体縦組みで、右上に縦長の「増補」その左に横長の太字で標題、その真下に小さく版元名、標題の左「お」の位置から縦長・薄い茶色で副題、その左上に縦長・茶色の著者名。左下部に骨を組み合わせたような構造物に、左上方から雨粒か光が当たっているような絵が、やはり薄い茶色で描かれる。
 1頁(頁付なし)1字下げで小さく「目 次」として以下5章、4行め、3章め「原っぱ・隅っこ・洞窟の幻想  69」算用数字はオールドスタイル。前後の章も題の下、2字分空けて頁を示す。2頁(頁付なし)もその続きで3章、続いて1字下げでやや小さく「初版あとがき  300/増補版後記  302」。
 3頁(頁付なし)中扉は組み直されており、明朝体太字の標題にやや小さく「増補」を冠しているところが異なる。
 5~223頁は同版に見える。
 225頁(頁付なし)6章め「ふたつの自然」の扉。本文227~254頁16行め。本文の組み方は5章めまでと同じだが同じ明朝体でも字体がまるで違う。
 255頁(頁付なし)7章め「他界の原風景/――〝死者たちの住む国〟の復活――」の扉。本文257~288頁12行め。
 289頁(頁付なし)8章め「「自我」から「関係」へ」の扉。本文291~299頁11行め。
 300~301頁「あとがき」は「目次」の「初版あとがき」だが1行50字に組み直して2頁にきっちり収めている。
 302頁「増補版後記」は、最後に1行分空けて19行め「一九八八年十二月五日」付。1行めは「あとがき」と同じく7字下げでやや大きく題、1行分空けて本文、冒頭2~7行めを抜いて置こう。

 一九七二年四月二十五日、集英社刊行の『文学における原風景』は幸いにも七版をかさねた。その後、月刊に/なった「すばる」に一九八〇年八月号から一九八二年十月号まで二十六回にわたって連載した評論をもとに/『”間〟の構造』を一九八三年二月十日、集英社から刊行した。『”間〟の構造』は第十三回平林たい子文学賞を/受賞し、さらに思いがけず『文学における原風景』と『”間〟の構造』の二冊が、一九八六年四月、日本建築学/会創立百周年記念文化賞を受けた。光栄であるがこの二冊が括られてみると、その間が少しあき過ぎ、飛躍が目/立つ。‥‥


 そこで、7~8行め「一九七二年「季刊すばる」九号に「ふたつの自然」を、一九七六年/「季刊すばる」二十二号に他界の原風景――〝死者たちの住む国〟の復活――」の二つの原稿を書いて」あったのと、9~10行め「一九八一年五月十日、集英社より『小説のなかの人間たち――関係性の文学』(絶版)を刊行した。その中に、/序論として発表した「『自我』から『関係』へ」という文章と」を11行め「加えることによって、『文学における原風景』から『”間〟の構造』への筋道がはっきりすると考え」、このような増補版が実現を見たのである。

 最後に謝辞、17~18行め、

 装幀は原版の『文学における原風景』でわずらわした多摩美術大学での昔の教え子小野絵里さんに新たに最近/の絵を用いて製作してもらった。増補版の担当の集英社出版部狩野伸洋氏の厚情と共に感謝する。

とある。
 しかしながら、次の奥付では「著 者」に続いて「装 画 小野絵里/装 丁 後藤市三」となっている。奥付の裏は『〝間〟の構造 文学における関係素』の広告で、枠(14.0×6.5cm)内中央上部に大きく標題、中央に副題、左上にゴシック体で「●平林たい子文学賞受賞/●日本建築学会創立百周年記念文化賞受賞」、下部に以下の紹介文。

現代人の居住空間で/ある都市と人間との/関わりを核に文学の/新しい可能性をダイ/ナミックに追求。
「文学における原風/景」と対をなす意欲/的長編評論。
   定価二二〇〇円


 右辺の外にゴシック体で小さく、上部に「奥野健男作品」下部に「集英社」、左辺の外、下部にごく小さく明朝体で「定価は改定されることがあります。」とある。

 ビートたけしの次の本の標題は、これをもじったのだろうか。(以下続稿)