瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(346)

 続いて、1月24日付(338)に引いた鈴木邦男竹中労』に、鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』とともに挙がっていた「父親の本」を取り上げようと思ったのだが、その前に『風のアナキスト』と同じ版元から出た、やはり竹中労と一緒に仕事をした経験のある人の著書を取り上げて置こう。
木村聖哉竹中労・無頼の哀しみ』一九九九年十月十日 第一版第一刷発行・二〇〇〇年一月十日 第一版第二刷発行・定価2000円・現代書館・205頁・四六判上製本

 ここに、昨日触れた『逆桃源行』と同じ時期に書かれた、竹中労の幼年・少年時代の回想が取り上げられている。133頁16行め「 『漫画アクション』に連載した「青春遊泳ノート」(一九七二年)によると、‥‥」として、以下140頁辺りまで、一部原文を引用しながらルポライターになるまでの経歴を紹介している。 この連載は本になっている。ただ『青春遊泳ノート』も『逆桃源行』も、都下の公立図書館では都立多摩図書館にしか所蔵されていない。花粉症の時期が済んで、コロナが落ち着いておれば都内の図書館に借りに行くこととしよう。――買ってまで確認しようとは思わないのだが、ネット検索の横着でもう少し内容が分からないものかと思っていたら、Amazon に別に出品されている初版について、目次や奥付の画像が示されていることを知った。
深沢七郎他『青春遊泳ノート』昭和48年6月15日 初版発行・定価五八〇円・双葉社 著者名は奥付による。カバー表紙・背表紙には6人全員の名前が示されている。目次によって各人の題も分かる。石堂淑朗「青春放浪記」浅川マキ「あの娘がくれたブルース」深沢七郎「滅亡教年代記唐十郎「僕の青春株式会社」嵐山光三郎「さらばコスモス」竹中労「無頼と荊冠わが青春残俠伝」――そうすると、1月6日付(332)に引いた寺島珠雄「美的浮浪者の過程 ――私記・竹中労」に「竹中の『無頼と荊冠』(73年三笠書房)のうち「わが青春残俠伝」にこんなことが出ている。」と云うのは、この『青春遊泳ノート』の1篇、元は「漫画アクション」連載だった訳である。
 鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』の「結び」に、213頁4~5行め「‥‥、願わくば「竹中労著作集」のような本が出版されて、竹中/労の世界が徹底研究されんことを祈ってやまない。」とあるのだが、紙で出すのは難しいだろう。小学館の電子版全集のような形ではどうだろう。しかしその前に、「漫画アクション」の連載がどうなったか、寺島珠雄木村聖哉が同じ竹中氏の回想を用いていることが直ちに分からないといけない。そのためにはまづ、竹中氏の詳細な年譜、それから初出と再録を網羅した著述目録、舞台・テレビ・ラジオの完璧な出演記録を作らないといけないだろう。そして、何よりもまづ、生年月日を確定させる必要があるのである。
 細目を見て置こう。
はじめに(5~9頁)
第一章 大阪労音(10~22頁)
第二章 美空ひばり(23~38頁)
第三章 『話の特集』(39~59頁)
第四章 マルチイメージ(60~80頁)
第五章 琉球フェスティバル(81~97頁)
第六章 大演説会(98~111頁)
第七章 革新自由連合(112~131頁)
第八章 世界革命浪人(132~147頁)
第九章 造反・訣別(148~158頁)
第十章 竹中英太郎(159~174頁)
第十一章 晩年・死(175~188頁)
第十二章 別れの音楽会(189~202頁)
あとがき(203~205頁)
 見返し(遊紙)は小豆色、細かい毛を漉き込んで横縞の透かしのある扉はカバー表紙を群青色単色で刷ったもの。1~3頁(頁付なし)「目次」、1頁は扉、3頁6行め下寄せで「装幀 501  」とある。
 奥付の前は1頁白紙、裏は『現 代 書 館」目録で6点、1点めは「FOR BEGINNERS シリーズ㉛大杉栄」、2点めは鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』。奥付の上右に著者「木村聖哉(きむら せいや」の紹介、2~4行め「一九四〇年中国・大連生まれ。同志社大学文/学部社会学科卒業。大阪労音事務局、話の特/集編集室を経て、フリーライターに。」5~8行めに著書3点。(以下続稿)