瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(101)少女小説

 祖母は少女小説を愛好していた。『赤毛のアン』シリーズは既に取り上げた。吉屋信子少女小説に限らずかなりの冊数があるので、別に取り上げよう。ここには点数の少ない作家の分を纏めて置こう。
【松田瓊子】
 松田瓊子(1916.3.19~1940.1.13)は野村胡堂(1882.10.15~1963.4.14)の次女で東京市小石川区に生れ、母ハナ(1888.3.7~1968.2.25)が教員を勤めていた日本女子大学附属高等女学校に学んでいる。祖母(1915.10.3~2020.6.6)とは同学年、通っていた学校は違うが、祖母も同じ小石川区にあった高等女学校に通っていたから、そうした親しみもあったのだろうか。野村胡堂の『銭形平次捕物控』の嶋中文庫版は5月22日付(054)に取り上げたが、その後、昭和期の文庫版『銭形平次捕物控』その他を掘り出した。――父親の著書に親しんでいたと云うことも、理由になりそうである。
・淳一文庫国書刊行会上製本(16.0×16.0cm)カバー・函なし
11『七つの蕾』昭和60年8月25日印刷・昭和60年9月1日発行・定価 2,000円・前付+279頁+後付

※ 帯あり
※「淳一文庫」の「愛読者カード」あり。表の左上[恐れ入ります/が40円切手を/お貼り下さい]下部に「■コンピュータに入れますので、ご氏名・ご住所には必ずフリガナをおつけ下さい■」とあって以下太線で仕切って細いゴシック体で上左寄せ(下右寄せ)で1段め「☆御氏名(ふりがな)|☆性別/ 男 女|☆年令/ 才」2段め「☆御住所(郵便番号)」3段め「☆御職業|☆御購読の新聞・雑誌等」。 参考までに全く同一に見える、新装版(「淳一文庫」と云う括りにはしていないらしい)の書影も貼付して置こう。
12『紫苑の園』昭和60年8月25日印刷・昭和60年9月1日発行・定価 2,000円・前付+299頁+後付※ 帯あり
※「淳一文庫」の「愛読者カード」あり。
23『香澄』昭和63年6月8日印刷・昭和63年6月15日発行・定価1800円・前付+270頁※ 帯あり
※「淳一文庫」の「愛読者カード」あり。
 確か廊下の物入れにこの3冊が纏めて積んであって、『香澄』と同時刊行されたらしい淳一文庫24『サフランの歌』は見当たらなかった。
 今後、ここに作家ごとに追加、点数が多くなれば独立させた記事としよう。(以下続稿)

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 さて、祖母宅は長男が相続したのだが、地方都市に家を建てていて、退職後に建て替えてもいるので、今更祖母宅に住む必要がない。その間、海外赴任なども経験しているが地方都市での暮らしは50年以上になる。末娘は地元で就職して地元の人と結婚して、近所に孫と住んでいる。
 3年前に祖母が死んでから売却まで時間が掛かったのは、もちろんコロナのせいで、私らは葬儀にも行けなかったし、納骨も昨秋にまでズレ込んだ。しかし売却は、動き始めてからはあっと云う間であった。
 ところが、この期に及んで、長男の妻が、私が買い戻す、あそこに住みたい、と言い出したのである。
 いや、もちろん誰もまともに取り合っていない。慣れ親しんだ祖母宅を手放すことになって、少々情緒不安定になっているのだと思っている。本当にそのつもりなら祖母宅の近所に住んでいて売却手続の代理人を務めている長女が不動産屋に相談に行く前に、その話をすべきである。それを、後戻り出来なくなってから――いや、今からだって買い戻せなくはないが、仲介業者その他に余計な、結構な額の金を支払うことになるだけである。
 確かに、一昨日書いたように老人が暮らすには便利な街である。銭湯はとうになくなり、馴染みの漢方薬局も最近閉店してしまったが、病院通いや買物には頗る便利である。――私の母の、旧家に嫁いだ叔母が、子や孫に結構な広さの屋敷を継ごうと云う者もないまま、1人で維持していたのだが、関東に出て来ている娘に説得されて埼玉県北部の高崎線の駅の近くのマンションに移って、近場で用事が全て済んで、坂道もなく、掃除も手間が掛からず、非常に快適に過ごしていると聞いていたから、義母の主張も、思い付きだろうけれども、尤もだとは思うのである。老人の運転が色々と問題になっているが、自動車も必要ない。
 家人は念のため、義父にも確かめて見たのだが、地方都市から移ろうと思っていないとのこと。他の家族にはこんなことは言っていないらしいから、長女に溢れる思いを訴えたに過ぎないのであろう。
 長男夫婦は引き渡しの日が決まった先月の下旬に、昨秋の納骨時以来の、そして最後になる整理に3日間、娘たちに手伝ってもらいつつ、近くに宿を取って通った。当初、7月前半は都合が悪い、と云うので後半にせざるを得ないか、と思っていたのだが、来週末に行くと言う。6月の方が宿も空いているし、若干汗ばむ程度の暑さだったから良かった。それでもって、残りを、この恐ろしい暑さの中どう整理しようか。知恵を絞らねばなるまい。(以下続稿)