瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(28)俳句・俳諧①

 祖母は句作もしていたらしいが結社に属した訳ではなく、短歌とともに女学校以来、嗜みとして物していたらしい。まだノートや手帳類には手を着けていないので、これから実作が見付かるかも知れない。
 句に関する思い出としては、――夫が戦死した後、夫の郷里に疎開したのだけれども、折合が悪く東京に戻った。この疎開中にそれまで住んでいた陸軍の官舎は空襲で焼けたのだけれども、幸い着物などは疎開先に送り、そして中野に住んでいた父と長兄を頼って上京した際に(終戦前に戻ったらしい)持ち帰ったので、戦後の筍生活の原資にすることが出来たのだけれども、夫の物は残して行かざるを得なかった。そのまま絶縁したようになったので、手許に夫の物は殆ど残らなかったようだ。夫は几帳面な人で、植木を育てるのが得意で鉢植えをたくさん並べていて、しばらく家を空けるときに祖母に世話を頼んで行くのだが、祖母は生物全般に世話が苦手で、枯らしてしまったりして苦笑いされたと云う。句帳を付けており、几帳面な性格を反映した、良い句が随分あったのだが、あれを持って来られなかったのが心残りだと後悔していた。
 そんな訳で、実作については未確認だが、小説ほどではないが俳句・短歌・漢詩の本もそこそこあって、仏間の硝子棚など取り出しやすい場所に並べてあった。まづは歳時記から見て置こう。
・角川文庫『新版 俳句歳時記』 角川書店
角川文庫1047 緑 一五九 1『春の部』昭和四十七年八月十日 初版発行・¥180・257頁

角川文庫1048 緑 一五九 2『夏の部』昭和四十八年一月十五日 初版発行・¥180・304頁角川文庫1049 緑 一五九 3『秋の部』昭和三 十 年八月二十日 初 版 発 行・昭和四十七年八月 一 日 二十八版発行・昭和四十八年八月三十日 改版初版発行・¥180・248頁角川文庫1050 緑 一五九 4『冬の部』昭和三 十 年十一月十五日 初 版 発 行・昭和四十七年十一月 一 日 二十九版発行・昭和四十八年十一月 十 日 改版初版発行・¥180・243頁 各冊の奥付に「全 五 冊」とあるようにもう1冊『新年の部』が出ているのだが、硝子棚に並べてあったのはこの4冊だけである。しかし初版を出る度に買っていたらしいので買わなかったとは思えない。見付かったら追加して置こう。日本画のカバー装画は『春の部』はカバー裏表紙の全面、他の3冊も右側を少し白地にしているだけで大半を占めており、この美しい装画を見ているだけでも詩心が湧きそうである。
 祖母はこの後に出た第三版も買っていて、これは客間のクローゼット(左側)に収まっていた。
・角川文庫『第三版 俳句歳時記』 角川書店
角川文庫9962/か 3-1『春の部』平成八年三月二十五日 初版発行・平成九年八月 三 十 日 五版発行・定価480円・278頁角川文庫10030/か 3-2『夏の部』平成八年五月二十五日 初版発行・平成十年六月 二 十 日 六版発行・定価540円・341頁※ 栞あり「角川文庫創刊50周年」裏面「カドカワ/エンタテインメント Kadokawa Entertainment」
角川文庫10087/か 3-3『秋の部』平成八年八月十日 初版発行・平成九年五月五日 四版発行・定価460円・271頁角川文庫10178/か 3-4『冬の部』平成八年十月二十五日 初版発行・平成九年五月 五 日 四版発行・定価480円・273頁※ 栞あり「KADOKAWA BUNKO 自 分 を 読 む[角川文庫」「KADOKAWA NOVELS」
角川文庫10210/か 3-5『新年の部』平成八年十一月二十五日 初版発行・平成九年 六 月 二 十 日 四版発行・定価460円・240頁※ 栞あり「KADOKAWA BUNKO 自 分 を 読 む[角川文庫」「自分を創る。/自分だけの一冊。 本の感動――――/’97角川文庫の名作100 金城武」写真。
 5冊揃っている。『夏の部』が見当たらなかったのだが、客間のベッドの枕元の棚に、チラシを附箋代わりに挟んで置いてあった。長男の妻が、祖母が都下の施設に入っていた頃、夫婦で見舞いに来て祖母宅に泊まり、就寝前に読んでいたのがそのままになっていたらしい。
 客間の右側のクローゼットにはカラーブックスが何冊かあったうちの1つが、歳時記だった。
・カラーブックス 141) 松田 修『カラー歳時記 ”花木" 』昭和42年12月20日 印刷 昭和43年1月5日 発行・定価250円・保育社・153頁
※ 透明の横縞のカバーあり
 「《表紙写真》  ツバキ」の書影は表示出来ない。表示可能になったら補うことにしよう。(以下続稿)

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 さて、先に出て来た長男の妻は今、全国規模の俳句結社の中堅といったところで、たまに月刊の句誌に選評を頼まれたりして、居住する地方都市の支部の中心人物といった感じになっているので、俳句関係の本は形見として送って、既に所持していて不要の場合は、句会の若いお仲間にでももらってもらえば良いのでは、と考えているのである*1。そう上手く運ぶかどうか分からんけど。

*1:角川文庫『俳句歳時記』は例句を大幅に入れ替えている。