瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

森満喜子「濤江介正近」拾遺(01)

 早速、今日・明日から課金記事の投稿を始めようと思っていたのだが、仕様が違うので中々慣れない。昨日無料部分を書き終えて、今日有料部分を書き掛けたのだが、システムエラーとかで保存出来なかった。
 で、気分屋の私は忽ち、どうせ売れやしないのに課金記事などにしなくても良かろうに、と云う気分になっている。
 と云う訳で、柄にもないことは当分慎んで、通常運転に戻ろう。自分の著述をネット上に、好い加減に扱われない状態でアーカイヴしたいとは思っているのだけれども。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 私の酒井濤江介正近探索は、大和田刑場跡の確認から始まったので、当初「大和田刑場跡」の題で記事にしていた。
 しかし、濤江介正近が大和田河原の刑場で斬首されたとするのは村下要助『生きている八王子地方の歴史』のみで、他の文献には大和田刑場の話が一向に出て来ない。
 その後、森満喜子に短篇小説「濤江介正近」があることを東屋梢風のブログ「新選組の本を読む ~誠の栞~」の2つの記事、2015/10/08「森満喜子『沖田総司抄』」及び2015/11/04「名和弓雄『間違いだらけの時代劇』」によって知った。この短篇はネット上にもちらほら持ち出されているが、それらは東屋氏が題を何故か「濤江介正近」と間違えているのをそのまま踏襲しているらしく、どうも本文に当たらずに東屋氏の記事を元にして書いているらしい。
 と、云うことに、森満喜子の短篇集『沖田総司抄』を借りて読んで気が付いた。
 そこで、どうも余りまともに読まれていないらしいこの短篇について、森氏が何処まで濤江介正近について知識を有していたのか「森満喜子「濤江介正近」」と題して検証して見たのである。
 すなわち、名和弓雄が『続 間違いだらけの時代劇』に書いた、森氏が司馬遼太郎から贈られた「浮洲」銘の短刀について、森氏本人はどのように記述しているか、それから「あとがき」に名和氏と並んで「貴重な資料をお教え下さった」と名前を挙げている、当時の下原刀研究の第一人者・村上孝介の見解にどの程度従っているのかを、名和氏の記述する、電話での村上氏との会話内容と、村上氏の主著『刀工下原鍛冶』に照らして見ることで、この良く分からない人物について、森氏が資料の空白をどのように想像を膨らませて小説化したのかを、大体確認することが出来たのであった。
 まだ濤江介正近に関する資料はぼちぼち集めている。しかし、もう「森満喜子「濤江介正近」」については一通り書き尽くしてしまった。かと云って「大和田刑場跡」の題に戻して濤江介正近の検証を続けるのもおかしい。そこで、これからは「森満喜子「濤江介正近」拾遺」の題にしよう。森氏についても昨日、Wikipedia「森満喜子」に若干の追加訂正を行い、なお近隣の図書館の書庫に仕舞い込まれている著書を借り集めているような按配で、小説の検証までしようとは新選組のファンでない私は思わないが、森氏の経歴等については調査を継続しようと思っている。つまり「濤江介正近」についての拾遺であると同時に「森満喜子」についての拾遺でもある訳だ。
 今回は、2023年12月9日付「森満喜子「濤江介正近」(1)」以後に借りて今手許にある森氏の著書を列挙して置こう。版元はいづれ新人物往来社で判型は四六判上製本(丸背・カバー)である。
・『沖田総司哀歌』昭和四十七年十一月 二十 日 第一刷発行・昭和五十二年十一月二十五日 第十刷発行・定価980円・282頁

・『沖田総司幻歌』昭和四十九年十一月十五日 第一刷発行・昭和五十一年 十 月十五日 第二刷発行・定価980円・269頁
 書影は2023年12月9日付「森満喜子「濤江介正近」(1)」に第一刷を取り上げた際に示した。
・『小説 沖田総司昭和五十三年六月二十五日 発行・1200円・257頁
・『新選組青春譜――勇と歳三と総司と一九九四年四月三十日 第一刷発行・定価1942円・206頁 他に新人物往来社 編の、2023年12月16日付「森満喜子「濤江介正近」(08)」に見た新選組隊士列伝』2023年12月24日付「森満喜子「濤江介正近」(16)」に見た『幕末のおんな』と同様に、次の本にも寄稿している。
・『沖田総司の世界』昭和四十九年 二 月十日 第一刷発行・昭和五十一年十一月十日 第五刷発行・980円・249頁 次回、これらの本から森氏の経歴等を確認して置くこととしよう。(以下続稿)