瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

名和弓雄『拷問刑罰史』(01)

 そもそも昨年のうちに取り上げるつもりだったのだが、年末年始には住所録の更新を兼ねた年賀状以外に何もしないし、神社にも寺にも行く気がしないので初詣なんてもう何年も行っていなくて、私にとっては別に特別な時期ではなくて、まぁ寒い時分に仕事を休んでしばらく気が抜けて体調を悪くしている時期でしかないのだが、とは云えわざわざ年末年始に取り上げるのもどうかと思って、遅らせていたら今になってしまった。
 本書を借りて見ようと思ったのは2023年11月21日付「大和田刑場跡(22)」に取り上げた、同じ名和氏の河出文庫『続 間違いだらけの時代劇』の、2023年11月22日付「大和田刑場跡(23)」から検討した「沖田総司君の需めに応じ」を含む「[] 珍談奇談骨董談義」の章を眺めて行ったところ、18節め、192頁6行め~195頁12行め「目潰し異聞」の導入として、次のような按配で言及されていたのに興味をそそられたからであった。192頁7~15行め、

 かつて筆者は、自著『拷問刑罰史』の中で、板橋刑場の地域がはっきり分からず、あいま/いな推定を記載した。
 出版直後、滝野川三軒家(種子物を商う店が三軒あったので滝野川三軒家の地名になった)付/近に居住される古老から、地図を描いた克明な、葉書をいただいた。
 そのご注意によって、板橋刑場が旧中山道と、飛鳥山道の交叉する一角にあったことを知/り、近藤勇の首を晒した獄門台のあった場所も分かった。獄門台跡は、現在、大正大学構内/右端角になっているが、その場所に立ってみると、いかにも獄門台のあった場所らしい雰囲/気である。前述書重版のさい、早速ご厚意に甘えて、そのことを加え、的確な記載に訂正さ/せてもらったことは、もちろんである。読者の方々というものは有難いものである。


 本書は国立国会図書館デジタルコレクションでは「国立国会図書館限定公開」なので俄に閲覧出来ないが、昭和38年(1963)2版と昭和41年(1966)増補版の2種が国立国会図書館デジタルコレクションに収録されている。
 版元の雄山閣出版2018年4月8日付「阿部主計『妖怪学入門』(1)」にも注意したように、版次を断らずに改装・改版を繰り返すことが多く、本書もやはりその弊を免れない。そこで阿部主計『妖怪学入門』に倣って整理して置こう。
・名和弓雄『拷問刑罰史』雄山閣出版・A5判
①1963年版(264頁)初版

 書影は恐らく函。私は図書館蔵書を見ているので函は未見。
②1966年版(282頁)増補版*1
 オークションサイトにはこのようなカバーの掛かっていない1966年版が挙がっており、少々不安はあるが仮にここに示して置こう。
③1970年版(?頁)最新版
 ①は上製本で②③は現物未見だが恐らく上製本。版次もこれだけなのか分からない。
 ④以下は並製本である。
④1987年版(282頁) 書影にある帯は未見。
⑤1990年代(282頁)改装⑥2012年版(239頁)改訂新版⑦2022年版(239頁)改訂二版 書影にある帯は未見。
 まづ②で1篇増補され、④に際して註が32箇所追加された。⑤までは基本①の版を踏襲している。⑥で頁が減ったのは組み直したからで、②→③に際してどの程度手を入れたのかは分からないが④→⑤、⑥→⑦は改装である。よって①②④⑥の4版になるのではないかと思う。(以下続稿)

*1:2月8日追記】頁数を(?頁)としていたが、複数の図書館の蔵書情報から補った。