瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

文藝別冊「芥川龍之介」没後九十年 不滅の文豪(4)

 11月21日付(3)の続きであれば、神門酔生『芥川龍之介殺人事件』と、同じシリーズ卑弥呼の木像が出た!』『忠臣蔵なんてなかった』について少しでも検討して見るべきなのだけれども、現在の時間と精神に余裕のない(経済的余裕もないけれども、それはまぁ関係ない)私にはちょっと読んでいられない。芥川氏についてもっと詳しければ『芥川龍之介殺人事件』だけでも検討するのだけれども、私の芥川氏に関する知識は正直歪なので、バランスを取るためにはもっと色々と読まないといけない。その余裕が今のところ、ない。そんな訳で、返却期限が迫っている神門酔生の3冊は、そのまま何もせずに返してしまうつもりである。
 その『芥川龍之介殺人事件』を借りた図書館では、11月7日付「芥川龍之介旧居跡(7)」に書影を貼付した年表作家読本『芥川龍之介』の新装版も借りて来た。
・鷺只雄 編著『年表作家読本 芥川龍之介一九九二年 六 月三〇日 初版発行・二〇一七年一〇月二〇日 新装版初版印刷・二〇一七年一〇月三〇日 新装版初版発行・定価1800円・河出書房新社・222頁・A5判並製本
 私の借りて来た本には松田氏のイラストが全くない。カバーは金色地で、カバー表紙には大きく、左手を顎に当てて上目遣いにこちらを見詰めている写真があって、カバー表紙折返し、左下に白抜きで「大正13年、田端の自宅にて」とのキャプションがある。
 文藝別冊14~20頁「松田奈緒子が選ぶ 龍之介アルバム」に17点の写真が選ばれているが、その16点め、20頁左やや下がこの写真で、松田氏は「定番!」との見出しを附している。キャプションには「大正13年(1924)7月20日 32歳」とある。なお、この「定番!」にはもう1点、20頁右下の17点め「大正10年(1921)3月 29歳」も選ばれており、こちらは1頁(頁付なし)扉にも使用されている。
 それはともかく、年表作家読本『芥川龍之介』新装版は、文藝別冊の丁度1ヶ月前に刊行されているので、わざわざ文藝別冊に合わせてカバーを掛け替えた訳ではなさそうだ。文藝別冊の裏表紙にある広告を見るに「新装版帯イラスト:松田奈緒子」とある。この広告の書影を見ても、Amazon の書影を見ても所謂「帯」ではなく、表紙の全面を覆っているようである。Amazon 詳細ページを覗いて見ると「イメージ」として3点、この金色カバー表紙と松田氏描くイラストの表紙が、やはり松田氏のイラストの入った裏表紙と並べて表示されている。確かに、カバーを完全に覆うように、松田氏がイラストを担当した「帯」が掛かっているらしい。某市立図書館がこの「帯」を外して「カバー」だけを残した理由は、よく分からない。
 カバー裏表紙の白抜き明朝体は、帯裏表紙では右上の「目 次 よ り」が黒になっている他は全て黄緑色になっている。異同は右下の横組み「年 表 作 家 読 本」がなくなっていることと、左下に縦組み下寄せで入っていた「詳細な年表、/数々のエピソードと写真による/芥川龍之介 完全ガイド」が、帯裏表紙では下部に右寄せ横組みになっていることで、帯裏表紙の左下には草履履き、銜え煙草で七夕の笹飾りを肩にして歩く芥川氏のイラストが入っている。
 カバー裏表紙左上のバーコードやISBNコード、定価・版元名は同じ。帯裏表紙は白地だが、カバー裏表紙はバーコードの周囲だけ角丸の四角形(4.5×4.2cm)に白く抜いている。
 カバー折返しの文字は上記の他に、カバー表紙折返し、中央左寄りに横組みで「年 表 作 家 読 本」黒でやや小さく、その下に白抜きで「Ryunosuke/AKUTAGAWA」とあるのみ。
 本体については、初版と比較する機会が得られたらメモすることとしよう。(以下続稿)

赤いマント(212)

・朝里樹 監修『大迫力! 日本の都市伝説大百科』(2)
 西東社の「大迫力!」シリーズは、初めA4判の「写真と絵でわかる」シリーズが出て、次いでA5判のイラスト「大百科」シリーズが現在も続刊中で、「日本の都市伝説」は最新刊である。

大判ビジュアル図解 大迫力! 写真と絵でわかる日本史

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大迫力! 世界の天使と悪魔大百科

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 さて、昨日図柄を紹介したイラストだが、気になるのは軍服姿の若い男が、やや蟹股に立ち、そして右手は赤いマントから出して右肩の辺りでマントを押さえ、そして左手は腰の高さの辺りで、マントの中に何か隠し持っているのか、少しマントを前方に膨らませている。この何を持っているのか、何をしようとしているのか隠している辺り、中々巧みな構図だが、それ以上に気になるのは、上半身が異様に前のめりに見えるところである。すなわち佝僂で、脊柱が背中に湾曲して、それで前のめりになっていると云う描写かも知れない、と思ったのだが、視点が斜め右前の低い位置からこの男を見上げるように設定されているので、背中がどうなっているのかは全く分からない。
 私がそんなことを気にするのは、当ブログで発掘して来たように、昭和14年(1939)2月下旬頃、東京でこの流言が広まったときに「赤マントの佝僂男」との呼称が尤も流布していたと思われるのだが、その点を取り入れたのかと思ったのである。
 しかし、本書のライターが依拠したはずの朝里樹『日本現代怪異事典』は、赤マント「発生の背景」として唱えられている「いろいろな説」に触れているが、流言当時の報道に頻出する「赤マントの佝僂男」には触れていない(時期を特定出来ていないから当然なのだけれども)。だから急いで取り上げて批判する必要を感じなかったので、これまで放置して来たのであった。
 しかしながら、このイラストを見て、赤マントが軍服姿なのは朝倉喬司の、二・二六事件に参加した陸軍将校の赤マントに由来すると云う説を踏まえたものであろうが、これにイラスト担当者が「佝僂男」の要素を、当ブログで流言発生当時の報道を目にして( !? )取り入れたのだろうか。だとしたら、2015年9月10日付「山本禾太郎『小笛事件』(3)」述べたように、私が常々問題視している、混ぜてはいけない(両立しない)2つの説を混ぜて新たな、元々存在しなかった説を拵えてしまったことになるかも知れない、と思って俄然、取り上げて検討する準備をしないといけない、そんな気分になったのである。
 尤も、ただでさえ過疎ブログの上に「赤いマント」の記事は殆ど参照されていないらしいので、影響があったとは思い上がりかも知れない。しかし、そんな取り越し苦労(?)をさせるほどに、このイラストの、若い軍人の前のめりは尋常ではないのである。(以下続稿)