瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

北杜夫『南太平洋ひるね旅』(3)

・諸本
 本書の成立事情や諸本については、文庫版の「後記」や「北杜夫全集月報3」の「創作余話 (3) 」を、10月27日付「赤いマント(289)」に引いて置いたのですが、『北杜夫全集11』の本体にある、肝腎な記述を抜いて置くのを忘れておりました。
 すなわち、321~322頁「初 出 と 収 録(収録は単行本、文庫、全集の順に記載)」の、321頁9行め「南太平洋ひるね旅」とあって、1字下げで10~12行め、

○書下ろし
①『南太平洋ひるね旅』(ポケット・ライブラリー)昭和三十七年六月、新潮社刊 ②『南太平洋ひるね旅』(新装/版)昭和四十二年八月、新潮社刊 ③『南太平洋ひるね旅』(新潮文庫)昭和四十八年四月、新潮社刊

とありました。諸本を一覧にするにはここにさらに、

 ④『どくとるマンボウ航海記・南太平洋ひるね旅』(北杜夫全集11)昭和五十一年十一月、新潮社刊

を追加すれば良い訳です。
 さて、これら4つの版のうち③文庫版と④全集は、複数見ることが出来ましたが、①ポケット・ライブラリ版と②新装版は見るのが難しいだろうと思っていました。
 しかし、調べて見るに、緊急事態宣言が出たときに利用を止めていた隣の市の図書館に①が所蔵されているのです。しかも、2件ヒットするのです。この図書館は近隣市の住民にはネットサービスを提供していないので、予約(取り寄せ)や返却延長が出来ません。そこでこの夏、自転車を2週間ごとに漕いで通うのはしんどいと思って、遠ざかっていたのですが、久し振りに出掛けて見ました。
 書庫請求して出て来たのを見るに、①が2冊出て来るのかと思いの外、①は1冊でもう1冊は②でした。思い掛けず諸本を揃えることが出来た次第です。
①ポケット・ライブラリ25『南太平洋ひるね旅』1962年6月6日 印刷・1962年6月10日 印刷・定価200円・258頁・新書判
②『南太平洋ひるね旅』小B6判(17.6×11.5cm)
・1967年8月30日 発行(259頁)
・1971年1月15日 12刷・定価300円
新潮文庫2118『南太平洋ひるね旅』
 諸本は11月11日(1)に示しました。今後もそちらに追加します。
北杜夫全集11『どくとるマンボウ航海記・南太平洋ひるね旅』
・一九七六年一一月二五日 発行(322頁)
・一九七七年 二 月一五日 二刷・定価一〇〇〇円
・一九八四年 九 月一〇日 三刷・定価一二〇〇円
 ①②④の書影は10月27日付「赤いマント(289)」に貼付しました。③の書影は10月26日付「赤いマント(288)」に貼付してあります。
 ここは貸出期間の延長が出来ませんので、順序からすると昨日の続きで文庫版の本体についてメモして置くべきところですが、先に①②の装幀について記述して置きましょう。(以下続稿)

北杜夫『南太平洋ひるね旅』(2)

新潮文庫2118(2)
 11月11日付(1)の続きで、カバーについて。
 カバー表紙、同じだが獣皮様の模様が薄く入った黄色地が、私の見た初刷は黄土色に近く、二十一刷は明るい黄色、二十二刷は淡い檸檬色に見える。二十二刷は大分褪色しているようだ。文字は初刷が大きくはっきりしているように見える。
 カバー背表紙、紺色地に明朝体白抜きで上部に標題、中央やや下に著者名が入っているのは同じ。地色は二十一刷が最も褪色しているようである。下部、初刷は細いゴシック体の白抜きで「新潮文庫〔草〕 一三一J 140」〔草〕は明朝体で横並び、定価も横並び。二十一刷と二十二刷は、角の丸い長方形(2.0×0.5cm)に白く抜いて[き 4 10]と入れているのは同じ。その下は二十一刷・二十二刷とも白抜きで、二十一刷は長方形の枠(0.4×0.7cm)に横長の細いゴシック体横組み「新潮/文庫」すぐ下に横並びで「131/-10-」1字分空けて最下部「320」、二十二刷は「新潮文庫 320」横並びの算用数字には白い下線。
 カバー裏表紙は上部に横線(9.4cm)が2本、その間(6.6cm)の右側に明朝体横組み11行の紹介文、同文だがやはり初刷が濃い。初刷、2本め横線の下、中央に葡萄マーク、右下隅に「¥ 140」とある。二十一刷と二十二刷は文字の薄さもレイアウト同じで、異同は中央やや上の横線の下、ISBNコードとCコードの次が二十一刷「¥320E 定価320円」だったのが二十二刷「P320E 定価320円」定価のすぐ下に「(本体311円)」と添える。その下、中央に葡萄マークがあるがやはり初刷より薄い。
 カバー折返しは表紙の地色がそれぞれ 1.0cm くらいずつ入っているが、他は白地。黒で文字が刷られるがやはり初刷が濃い。
 カバー表紙折返しは白地の右端下部に明朝体縦組みで「カバー 串 田 孫 一」とあって、一致。
 カバー裏表紙折返しの文字は全て横組み、最下部左寄り、明朝体で小さく入っている「カバー印刷 錦明印刷」は一致しているように見える。
 上部はゴシック体で、初刷「~~新潮文庫~~/北 杜夫の作品」は半行分空けて9点10冊を列挙、「夜と霧の隅で/幽霊/どくとるマンボウ航海記/どくとるマンボウ昆虫記/船乗りクプクプの冒険/楡家の人びと(上)/   〃   (下)/遙かな国 遠い国/高みの見物/南太平洋ひるね旅」均等割付だが詰めた。2行めよりも大きくゆったりと組まれていて、全部が上半分に収まっている。
 二十一刷「~~新潮文庫~~/北  杜夫の作品」は1行分空けて29点30冊。1~2行めよりも小さい文字で「夜と霧の隅で/幽霊/どくとるマンボウ航海記/どくとるマンボウ昆虫記/船乗りクプクプの冒険/楡家の人びと(上)/   〃   (下)/遙かな国遠い国/高みの見物/南太平洋ひるね旅/星のない街路/奇病連盟/あくびノオト/天井裏の子供たち/へそのない本/マンボウおもちゃ箱/月と10セント/黄いろい船/マンボウぼうえんきょう/木(こだま)精/マンボウ周遊券/白きたおやかな峰/ぼくのおじさん/さびしい王様/酔いどれ船/さびしい乞食/さびしい姫君/悪魔のくる家/マンボウ博士と怪人マブゼ/まっくらけのけ」カバー印刷まで4行分余裕がある。
 二十二刷は「~~新潮文庫~~/北杜夫の作品」も縮小して、1行分空けて34点37冊。「夜と霧の隅で/幽霊/どくとるマンボウ航海記/どくとるマンボウ昆虫記/船乗りクプクプの冒険/楡家の人びと(上・下)/遙かな国遠い国/高みの見物/南太平洋ひるね旅/星のない街路/奇病連盟/あくびノオト/天井裏の子供たち/へそのない本/マンボウおもちゃ箱/月と10セント/黄いろい船/マンボウぼうえんきょう/木(こだま)精/マンボウ周遊券/白きたおやかな峰/ぼくのおじさん/さびしい王様/酔いどれ船/さびしい乞食/さびしい姫君/悪魔のくる家/マンボウ博士と怪人マブゼ/まっくらけのけ/マンボウ交友録/怪盗ジバコ/マンボウ百一夜/輝ける碧き空の下で/   第一部(上・下)/輝ける碧き空の下で/   第二部(上・下)」が目一杯。
 この、私の見た二十二刷のカバーは10月26日付「赤いマント(288)」に注意して置いたように消費税導入後のもので、最後にある新潮文庫版『輝ける碧き空の下で』は「第一部」が昭和63年(1988)12月、「第二部」が平成元年(1989)1月の発行ですから、4月の消費税導入に合わせてカバーを作り直したものでしょう。(以下続稿)